スティーリー・ダン『幻想の摩天楼』

スティーリー・ダンの『幻想の摩天楼』です。
原題は『Royal Scam(堂々たるペテン)』で1976年の春に発表された彼らの5作目のアルバムです。

『彩(エイジャ)』以降の作品に比べると洗練された感じはありませんが、その萌芽を感じさせます。
緻密なアレンジと文学的なリリックは、まさに彼らの真骨頂。
彼らの作品全体に通じるジャズのニュアンスはここでも十分、聞き取れますが、そうした中でもロックの色彩の強い作品。

これまでもスタジオミュージシャンを使ってましたが、このアルバム以降そうした傾向がより顕著になり一流のスタジオミュージシャンを多用していきます。
参加ミュージシャンは、ドナルド・フェイゲン(ヴォーカル)、ウォルター・ベッカー(ギター・ベース)、デニー・ダイアス(ギター)といったオリジナルメンバー3人の他に、リック・マロッタ(ドラム)、チャック・レイニー(ベース)、ドン・グローニック(キーボード)、バーナード・バーディー(ドラム)、etc…といった腕利きのミュージシャンを起用しています。

なかでもギターリストにはラリー・カールトンやエリオット・ランドール、ディーン・パークスといったミュージシャンが参加しギターアルバムとしても聴きどころ満載です。
1曲目の『Kid Charlemagne』と3曲目の『Don't Take Me Alive』のギターソロはラリー・カールトン。
特に『Kid Charlemagne』のソロは彼のベストプレイといわれることもあります。

オリジナルメンバーのデニー・ダイアスはこのアルバムを最後にスティーリー・ダンを脱退しますが、推察するに、彼がオリジナルメンバーとして、そもそもどの程度、発言権があったのか? なかなか微妙なポジションだったのではないかという気がします。

プロデューサーはゲイリー・カッツ、録音エンジニアはロジャー・ニコルズというスティーリー・ダン御用達のスタッフ。
蛇足ながらロジャー・ニコルズは渋谷系のミュージシャンに影響を与えた「ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ」の、その人とは別人です。
彼らはこの一年後にロック史に残る名盤『彩(エイジャ)』を発表します。
それにしても『彩(エイジャ)』にくらべるとジャケットのデザインはかなり、イマイチな感じ。

トラックリスト

  1. 滅びゆく英雄(キッド・シャールメイン) - Kid Charlemagne 4:38
  2. アルタミラの洞窟の警告 - The Caves of Altamira 3:33
  3. 最後の無法者 - Don't Take Me Alive 4:16
  4. 狂った町 - Sign in Stranger 4:23
  5. トルコ帽もないのに - The Fez 4:01
  6. 緑のイヤリング - Green Earrings 4:05
  7. ハイチ式離婚 - Haitian Divorce 5:51
  8. 裏切りの売女 - Everything You Did 3:55
  9. 幻想の摩天楼 - The Royal Scam 6:30

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