南博カルテット&ジーン・ディノビ カルテットのライブを観る
南博カルテット&ジーン・ディノビ カルテットのライブを観る
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山形市のシベールアリーナで「南博カルテット&ジーン・ディノビ カルテット」のライブを観ました。
シベールアリーナは、ラスクというフランスパンのお菓子が大ヒットした山形市のお菓子屋さん「シベール」が所有するホールです。
山形市の南のはずれにある工業団地内に店舗や工場と併設して建てられ、ときどきクラシックのコンサートや井上ひさしの持つ劇団コマツ座などの上演を行っています。
また、ホールのすぐ隣には井上ひさしの蔵書を集めた遅筆堂文庫という図書館も併設してあります。

事前のチラシによると13時開演で終了が17時15分という長丁場。
とはいっても最初の1時間は「JAZZ入門講座」という企画です。
そのため「2時ぐらいから観れればいいか」という気分でもいたのですが、後学のために最初から見ることにしました。
会場に入ったのは開演の5分前でしたが、予想に反して1階席はほぼ満員。2階の一番後方に陣取りました。
観客は、予想通りおじさん率が高く口ひげの方と頭の薄い方が目立ったような気がします。
開演してすぐの「JAZZ入門講座」は今回、ピアノで出演する南博氏がJAZZの基礎について一席ぶつという企画のようでしたが、これはほとんど企画倒れでした。
南氏は10分程度、ジャズの成り立ちのようなものピアノを使いながら説明すると「すべてが、定かでない。それがジャズです」のひと言でまとめ、あとはディズニーの名曲「オーバーザ・レインボー」をカルテットで様々なスタイルで演奏し、最後は「(終了まで)あと、何分?」という調子で「JAZZ入門講座」は終了しました。
ちなみにここのピアノ、なかなかよい音です。
まぁ、こういうとんがったタイプのミュージシャンに1時間、客の前で話せというのも少々、無理があったのでしょうか?
思うに、菊池成好とかだったらCDとか準備して熱く語ってくれたような気もします。

客電が灯った:南博カルテット&ジーン・ディノビ カルテットのライブを観る
客電が灯った

「JAZZ入門講座」が終わると休憩をはさみいよいよ「南博カルテット」の登場です。
南博といえば、以前読んだ『白鍵と黒鍵の間に』というエッセイがとても上手くて感心して読んだ記憶があります。
以来、ずっとナマのライブを観てみたいと思っていました。
「ずいぶん、今っぽいジャズだなぁ」というのが印象です。
自分の好みかと訊かれれば「ちょっと、ビミョー」という感じです。
ピアノはバリバリと弾き倒すという感じではありません。
演奏した楽曲のせいかもしれませんが、なんとなく、プレイのバリエーションが少ないような印象を受けました。
ドラムやベースはグルーブしていましたが、きっと、このグルーブ感が今っぽさを醸しだしているのでしょう。

休憩を挟み、次に登場したのが「ジーン・ディノビ カルテット」。
こちらは前者の演奏とは一転、ノスタルジーを感じるクラシカルなジャズです。
ジーン・ディノビのピアノは軽やかで、グリッサンドも華やか。
ディノビは白人好みの明るくゴージャスなサウンドで、古いアメリカ映画のワンシーンに登場するホテルのラウンジで聴くピアノのような感じです。
ピアノのディノビは81歳、そしてサックスのテッド・ブラウンの年齢は驚くなかれ82歳だということです。
80を超えた年齢でアメリカから日本にライブツアーで訪れるエネルギーというのは、自分の身内のことを考えれば、ただ、もう、それだけでビックリです。
テッド・ブラウンはサックス以外のパートの場面ではイスに座って休んでいたのですが音だけ聴けば82歳という老人がプレイしているとはとても思えません。
円熟のまーるい音色のサックスでした。
年をとったら年をとったなりのプレイスタイルというのがあるんですね。
ラストは南博とジーン・ディノビ、各々のカルテットのメンバーによるセッションで幕を閉じました。

まるで、おじいさんと孫か息子といった感じですね
ライブが終わったのは18時に近かったと思います。
これで、チケット代が2500円(前売り)はとてもお得なライブでした。

南博カルテット メンバー

  • 南博(p)
  • 竹野昌邦(sax)
  • 水谷浩章(b)
  • 芳垣安洋(ds)

ジーン・ディノビ カルテット

  • Gene Dinovi(p)
  • Ted Brown(sax)
  • Neil Swainson(b)
  • Ernesto Cervini(ds)

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