ロジャー・ウォーターズ『イン・ザ・フレッシュ』を聴く
ロジャー・ウォーターズ『イン・ザ・フレッシュ』
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ピンク・フロイドのメンバー、ロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)による2000年に行われたアメリカ・ツアーのライブを収めた2枚組のアルバム『イン・ザ・フレッシュ(In The Flesh)』である。
ピンク・フロイドの古くからのファンなら、おそらく、ピンク・フロイドはデイヴッド・ギルモアでなくてロジャー・ウォーターズのバンドだという人が多いのではないだろうか?
もちろん、ピンク・フロイドの世界観を完成させたのはウォーターズに他ならない。

正直にいえば、自分は別にどちらのバンドでもいいのだけれど…。
しかし、このアルバムを聴くと、ギルモアの存在感の大きさを感じずにはいられない。

ピンク・フロイドの楽曲におけるギルモアのギターのフレーズは、そのフレーズがなければ楽曲が成立しないというぐらいの存在感と輝きを持つ。
その証拠に、このウォーターズのライブではスノウィー・ホワイト(昔、在籍したシン・リジーでは、ゲイリー・ムーアとツインギターを組んでいた)とドイル・ブラムホールⅡ(二世)という二人のギタリストがリードギターを務めているが、そのリードギターのフレーズはギルモアのフレーズを踏襲するものだ。
かといって、二人のギターがよくないということではない。
楽曲によってはツインギターが、ものすごく効いている。
動のドイル・ブラムホールⅡに対し静のスノウィー・ホワイトという趣きでギルモアのライブより聴かせる感すらある。

ただ、1987年のツアーでギルモアが率いるピンク・フロイドとウォーターズのツアーがぶつかった際、観客動員で圧倒的な差をつけられたというが、わかるような気がする。
具体的にどこが、とは言えないのだが、どういうわけか、なんというかロジャー・ウォーターズには華がない。
思うにライブにおけるウォーターズの存在価値はどのあたりにあるのだろう。

とはいえ、このライブ・アルバムのできが悪いということではない。
なんといっても、完璧主義者を標榜するウォーターズのアルバムだ。
よく聴き込めば『P.U.L.S.E』というギルモア率いるピンク・フロイドのアルバムより、いいんじゃないかと思う。
『P.U.L.S.E』は1994年はツアー、本作は2000年のツアーのライブアルバムなので、後だしジャンケンじゃないが『P.U.L.S.E』以上のパフォーマンスをウォーターズが求めたことは推察できる。

ソロになってからの楽曲も多く取り上げられているのはもちろんだが、ギルモアなどのライブアルバムでは、あまり聴くことのできないフロイドの楽曲も聴けるし1枚目のアルバムの中盤で演奏される『Animals』からの楽曲「dogs」は白眉だと思う。
特に二人のギタリストが輝いている。

なんとなく、何が言いたいなのかわかないような文章になってしまった。
つまりは、本作のほうが『P.U.L.S.E』より出来がいいし、やっぱり、ピンク・フロイドはギターバンドなのだと。

トラックリスト

    DISC:1
  1. In The Flesh
  2. The Happiest Days Of Our Lives
  3. Another Brick In The Wall, Part 2
  4. Mother
  5. Get Your Filthy Hands Off My Desert
  6. Southampton Dock
  7. Pigs On The Wing, Part 1
  8. Dogs
  9. Welcome To The Machine
  10. Wish You Were Here
  11. Shine On you Crazy Diamond (Parts 1-8)
  12. Set The Controls For The Heart Of The Sun
    DISC:2
  1. Breathe (In The Air)
  2. Time
  3. Money
  4. The Pros And Cons Of Hitch Hiking, Part 11(AKA 5:06 AM - Every Stranger's Eyes)
  5. Perfect Sense (Parts 1 And II)
  6. The Bravery Of Being Out Of Range
  7. It's A Miracle
  8. Amused To Death
  9. Brain Damage
  10. Eclipse
  11. Comfortably Numb
  12. Each Small Candle

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