緊張感あふれるライブ
「なんか、凄いモノを観た」という感じ。
これまでも、いろいろライブは観ているが、最初から最後まで、こんなに、緊張感のあるライブは初めてだ。
彼らのライブは、もう、ロックというジャンルでは語れない。
クラシックやジャズも含め「音楽」に携わる、あるいは「音楽」を愛するすべての人に観てほしいと。
キング・クリムゾンってクラシックやジャズと本当に親和性が高いと今回のライブを観て、つくづく思った。
会場は仙台市にある仙台サンプラザホール。
開場18時の開演は19時。
という訳で、会社には「斯々然々で…、」といって早退し山形駅から宮城交通の高速バスに乗り仙台駅前で降りる。
予想通り、客はオジサンばかり
会場となった仙台サンプラザホールは初めて行くホール。
そのため様子がわからずチョット不安に思いながらも18時20分ごろには到着。
会場に到着し、意外に小さいのにビックリ。
とりあえず、このぐらいの列の長さなら開演の時間には余裕で間に合うなと思いながらグッズ売り場の列に並ぶ。
自分はマフラータオルと今日から発売を開始したというマグカップを購入する。
会場の中に入ると円形の会場の一辺にステージがあり、そこから拡散するように客席が配置されている珍しい設計で2階、3階も円周に沿うように設計されている。
キャパシティは1階で1,000人ぐらいでないだろうか。
1階はほぼ満席。
周りは、自分も含め五十代以上のオジサンばかり。
さもありなん、という感じ。
2階席はがらがら(当日券の場所はここだろうか?)。
3階席は客はいない。
開演前の会場内ではプロモーターのスタッフたちが呼びかける「携帯の電源はお切りください」との声が四方八方から聞こえてくる。
スマホで帰りの電車の時間を調べていたら、スタッフの若いお兄さんから「スマホの電源はお切りください」と注意されてしまった。
こちらは「別にイリーガルな行為はしませんよ」というかんじなのだが。
そもそも、スマホの電源を切ったりしたら撮影タイムでシャッターチャンスを逃すではないか!
というわけで、スマホはマナーモードのままポケットに入れる。
スマホの電源に、こんなに口うるさいライブも珍しい。
自分の席はステージから見て左翼のブロック、前から5番目ぐらいといったところ。
ステージ左に何段も積み重なった黒いスピーカー(ロゴも何もついて、いなかったがどこの製品だろう?)の音が、右耳を直撃するような場所にある。
音響的にはかなりイマイチだが、観るにはS席の割には悪くない。
なんといっても、ロバート・フィリップが近い。
圧倒的な演奏力
オープニング前、会場に流れていたSEは鐘のようなカーンとかコーンといったディレイのかかったスペイシーな金属音が流れている。
メンバーが登場してもSEの音は消えず、金属音に被せるようにして一曲目の「太陽と戦慄 パートI 」が始まる。
1曲目のフルートのソロの途中で、「君が代」のフレーズが入り会場がちょっと、どよめく。
2曲目は「エピタフ」。
期待の一曲だ。
ヴォーカルのジャッコ・ジャクジグの声は、オリジナルメンバーのグレッグ・レイクと似たているが、若干、硬質な感じ。
でも、悪くない。
ロバート・フィリップ先生は例の調子でスツールに腰かけたまま黙々とギターを弾いている。
ほかのメンバーもテクニシャンぞろい。
それにしてもトリプルドラムの破壊力はスゴい。
リズムの絨毯爆撃のよう。
実のところ、ドラムが3人なんて無駄なんじゃないかと思っていたのだが、それが、全然、無駄じゃなかった。
リズムがシンクロし分散し、またシンクロする。
クライマックスを迎え、3人がジャストでシンバルをミュートする。
もう、シビレる。
二部構成で途中、20分の休憩。
この間も、会場内には金属音のSEが流れる。
終盤での「ムーンチャイルド」、「クリムゾンキングの宮殿」、「スターレス」といった流れは圧巻。
「スターレス」あたりから、観客は総立ち。
このときだけ、ステージの照明が深い赤になりクリムゾンレッド色にメンバーが染まる。
照明の演出はこれだけ。
MCはまったくなし。
終電に遅れそう
メンバーが舞台袖に消え、数分もせずにステージに戻ってきた。
アンコールは、「21世紀の精神異常者」。
ステージ向かって右側に位置するギャビン・ハリソンのドラムソロはスゴかった。
しかし、こちらは終電に間にあわないんじゃないかと気が気じゃない。
早く、ドラムソロ終わってくれーといった感じ。
こちらは、遅くとも21時50分には会場を出て仙台駅に向かいたい。
「21世紀の精神異常者」を終えるや、ベースのトニーがカメラを掲げる。
スマホでの撮影OKの合図だ。
胸ポケットからスマホを取り出し3回シャッターを切る。
21時53分、撮った写真を確認する間もなく先陣を切るようにダッシュで会場を抜け出す。
おかげで、メンバーの挨拶もステージ袖に帰る姿を見送ることもできなかった。
急いで列をなして連なっていたタクシー乗りこむ。
タクシー代670円。
無事、22時16分発の仙台発山形行きに乗る。
いやー、タクシーがつかまらなかったら仙台に泊まらなければならなかった。
そういう意味でも、緊張感にあふれるライブだった。
個人的には「太陽と戦慄 パートII」が聴けなかったのが残念。
それでもチケット代は高かったけど、本当に行ってよかったライブだった。
メンバー
- ロバート・フリップ(Robert Fripp) – Guitar
- ジャッコ・ジャクジグ(Jakko Jakszyk) – Guitar, Vocals
- メル・コリンズ(Mel Collins) – Saxes, Flute
- トニー・レヴィン(Tony Levin) – Basses, Stick, Backing Vocals
- パット・マステロット(Pat Mastelotto) – Acoustic And Electronic Percussion(ステージ向かって左側ドラム)
- ギャヴィン・ハリスン(Gavin Harrison) – Acoustic And Electronic Percussion(ステージ向かって右側ドラム)
- ジェレミー・ステイシー(Jeremy Stacey) – Acoustic And Electronic Percussion, Keyboards(ステージ中央ドラム)
- ビル・リーフリン(Bill Rieflin) – Mellotron, Keyboards, Fairy Dusting
セットリスト
- Larks' Tongues In Aspic Part Ⅰ
- Neurotica
- Epitaph
- One More Red Nightmare
- Red
- Cadence And Cascade
- Discipline
- Peace - An End
- Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind)
- Meltdown
- Radical Action II
- Larks' Tongues In Aspic Part Ⅴ (Level Five)
- Suitable Grounds for the Blues
- Fallen Angel
- Indiscipline
- Easy Money
- Moonchild
- Cadenzas
- The Court of The Crimson King
- Starless
- 21st Century Schizoid Man
おまけ
今回のライブではやってくれませんでしたが、みんなに観てほしい。
ロバート・フリップが参加したデヴィッド・ボウイの『ヒーローズ』というアルバムに収められた同名曲のカバーです。