四人囃子(よにんばやし)の『一触即発』である。
ロックミュージックのカテゴリーにプログレッシブロックといわれる分野がある。
一般的に、大げさで、曲が長く、転調や変拍子が多く、とってつけたような効果音も使われ、聴いているのが退屈というような人も少なからずいるような音楽である。
その、プログレッシブロックの日本の先駆けともいわれるのが四人囃子であり、1974年に発表された『一触即発』は日本のロック史に残る名盤といわれる作品である。
当時はプログレッシブロックという言葉すら、確立しておらずアートロックやサイケデリックロックなんて言われたりもした。
初めて、このアルバムのことを知ったのは三十年以上も前、大学生のころ。
このアルバムが日本のロック史に欠かせない名盤らしいことは雑誌や音楽関連の本で知っていた。
当時は東京に住んでいたが、すでに、本作を普通のレコードショップで購入することは難しく、中古のレコードショップを探しまわっても、なかなか見つけることができなかった。
とにかく、四人囃子のアルバムを聴いてみたいと、やっとの思いで見つけることができたのは『ゴールデン・ピクニックス』という彼らのセカンドアルバム。
これはこれで「レディ・ヴァイオレッタ」という、フュージョンの萌芽をみるような名曲が入ってはいるのだが…。
とはいえ「やっぱり、『一触即発』欲しいな」なんていう意識が、頭の片隅にずっとあった。
…で、二十年が立ちインターネットが当たり前の時代となりネットショップで簡単にモノが買えるような時代を迎えることになる。
そういえば、なんていう軽い感じで「一触即発 通販」なんて検索すると、いとも簡単にいろいろと出てきたわけである。
こんな風にして購入したレコードが本作である。
しかも、決して高くはない価格で。
いやはや、“インターネット恐るべし!”である。
さて、本作であるが、やっぱり名盤だと思う。
発表から50年近くもなるが、今、聴いても全く色あせていない。
イギリスのプログレッシブロックの代名詞、ピンクフロイドと比較されたりもするが、それはナンセンス。
70年代のバンドで洋楽の影響を受けていない日本のロックバンドなんて皆無といっていい。
本作をリリースした当時、メンバーは全員、二十歳そこそこ。
いや、恐ろしいね…。
今でもたまに、このアルバムを聴くがオリジナリティがあるなぁと思う。
「空と雲」や「おまつり(やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった)」という楽曲は詞がいいなぁと。
こんな普通で当たり前のことを歌っていいの? というぐらいシンプルな歌詞だが、この詞とダイナミックで変化に富んだ演奏のギャップが効いているのだと思う。
まだ、聴いたことがないというロックファンの方は、ぜひ、ご一聴を。
おススメです。
ところで、どうでもいい情報ですが、ツボイノリオの『金太の大冒険』のバックが四人囃子(正確にいうなら、森園勝敏と岡井大二)というのはご存知でしたか…。
トラックリスト
- [hΛmǽbeΘ] (0:45)
- 空と雲 (5:20)
- おまつり (やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった) (11:13)
- 一触即発 (12:18)
- ピンポン玉の嘆き (5:03)
- 空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ (3:55)
- ブエンディア (5:03)
Side 1
Side 2
パーソネル
- 森園勝敏 - ボーカル、エレクトリックギター、アコースティック・ギター
- 中村真一 - ベース 、バッキング・ボーカル
- 岡井大二 - ドラムス、パーカッション、ベル、タンブリン
- 坂下秀実 - ピアノ、エレクトリックピアノ、オルガン、メロトロン、シンセサイザー
- 石塚俊 - コンガ (#3)
- 佐久間正英 - ベース (#6, 7)
- 茂木由多加 - キーボード (#6, 7)