スティーリー・ダン『キャント・バイ・ア・スリル』を聴く
スティーリー・ダン『キャント・バイ・ア・スリル』
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スティーリー・ダンsteely dan)の『キャント・バイ・ア・スリルCan't Buy A Thrill)』です。
1972年に発表された彼らのデビューアルバム。

スティーリー・ダンといえば『エイジャ』や『ガウチョ』のように洗練された大人のロックをイメージするが、本作はちょっと違う。
ジャズとラテンテイストをまとった泥臭いサウンドで、彼らのアルバムの中で最もロックバンドらしいアルバムに仕上がっている。

1曲目の「ドゥ・イット・アゲイン」は全米のシングルチャートでは6位となり、彼ら最初のヒット曲となった。
イントロはジム・ホッダーのパーカッションがラテンのリズムを奏で、全体にタイトで緊張感のあるソリッドなロックである。
デニー・ダイアスのエレクトリックシタールとフェイゲンが弾くオルガン、各々のソロが効いている。
ヴォーカルはドナルド・フェイゲン。
歌っている内容は登場人物の絞首刑になったジャックの悲哀だろうか…。

また、2曲目の「ダーディーワーク」のヴォーカルはデイヴィッド・パーマー。
デイヴィッド・パーマーはこの曲と「ブルックリン」でリードヴォーカルを担当するが、次作の『エクスタシー』ではバックグランドヴォーカルに名を連ねるだけで結局、解雇されてしまう。
ちなみに、パーマーはドナルド・フェイゲンがツアーの時にバンドのフロントマンになるのが嫌で誰かシンガーはいないかと探していたときにギターのジェフ・"スカンク"・バクスターの推薦で加入した。
余談だが、パーマーはキャロル・キングとも親交があり彼女の「ジャズマン」や「ナイチンゲール」などの作詞も行っている。
才能のある人なのだ。

B面1曲目の「リーリン・イン・ジ・イヤーズ」は軽快なロックナンバー。
本作でのギター・ソロはエリオット・ランドール。
『スティーリー・ダン大事典』(シンコーミュージック・エンタテイメント)によれば、ジミー・ペイジが「あらゆる曲の中で最も好きなギター・ソロだ」と絶賛しているとか…(ホントかいな?)
ランドールは3曲目の「キングス」でもギター・ソロをとっている。

ちなみに、このアルバムの楽曲、やたら映画で使われている。
ざっと挙げてみると1曲目の「ドゥ・イット・アゲイン」は『僕を育ててくれたテンダー・バー』、『マスク』(ジム・キャリー主演じゃないやつ)、『インヴィンシブル 栄光へのタッチダウン』、『しあわせの法則』、『幸せの行方...』など
2曲目の「ダーティー・ワーク」は『アメリカン・ハッスル』で使われたのが印象的だったし、「リーリン・イン・ジ・イヤーズ」はケヴィン・コスナー主演の『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』で使われた。
アメリカではテレビドラマでもかなり使われているらしい。

最初にスティーリー・ダンを聴いたのは大学1年生の時に聴いた『aja』だったと思う。
これまで聴いてきたアメリカやイギリスのロックとはまったく違うテイストで、すっかり彼らの音楽に魅了されてしまった。
そうなると「これは、1枚目から聴かなくては」と、さっそく、中古レコード屋に駆け込み購入したのが本作だった。
以来、いまだにスティーリー・ダン推しである。

トラックリスト

Side 1

  1. Do It Again(ドゥ・イット・アゲイン) - 5:56
  2. Dirty Work(ダーティ・ワーク) - 3:08
  3. Kings(キングス) - 3:45
  4. Midnight Cruiser(ミッドナイト・クルーザー) - 4:08
  5. Only a Fool Would Say That(オンリー・ア・フール) - 2:57

Side 2

  1. Reelin' in the Years(リーリン・イン・ジ・イヤーズ) - 4:37
  2. Fire in the Hole(ファイア・イン・ザ・ホール) - 3:28
  3. Brooklyn (Owes the Charmer Under Me)(ブルックリン) - 4:21
  4. Change of the Guard(チェンジ・オブ・ザ・ガード) - 3:39
  5. Turn That Heartbeat Over Again(ハートビート・オーバー・アゲイン) - 4:58

パーソネル

スティーリー・ダン

  • ドナルド・フェイゲン - ピアノ、エレクトリックピアノ、プラスチックオルガン、ボーカル
  • ウォルター・ベッカー - ベース、ボーカル
  • ジェフ・"スカンク"・バクスター - ギター、ペダル・スティール・ギター
  • デニー・ダイアス - ギター、エレクトリックシタール
  • ジム・ホッダー - ドラムス、パーカッション、ボーカル
  • デイヴィッド・パーマー - ボーカル

ゲストミュージシャン

  • ヴィクター・フェルドマン - パーカッション
  • エリオット・ランドール - ギター
  • ジェローム・リチャードソン - テナーサクソフォーン
  • スヌーキー・ヤング - フリューゲルホルン
  • ヴェネッタ・フィールズ - バックグラウンドボーカル
  • クライディ・キング - バックグラウンドボーカル
  • シャーリー・マシューズ - バックグラウンドボーカル
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