Thin Lizzy(シン・リジィ)のアルバム『Live and Dangerous』(ライヴ・アンド・デンジャラス)は、1978年に発表されたライブアルバムで、バンドの代表作として高く評価されています。このアルバムは、Thin Lizzyの魅力を余すところなく捉えた作品として知られています。
コンセプトと制作背景
『Live and Dangerous』は当初、スタジオアルバムとして計画されていました。しかし、プロデューサーのTony Viscontiのスケジュールの都合上、フロントマンのPhil Lynottがライブアルバムの制作を提案しました[6]。このアルバムは、1976年と1977年に行われたツアーの録音から編集されています[1][2]。
録音の大部分は1976年11月にロンドンのHammersmith Odeonで行われた3日間のライブから取られており、一部の曲は1977年のフィラデルフィアとトロントでの公演から収録されています[1][2]。
音楽性とサウンドの特徴
『Live and Dangerous』は、Thin Lizzyの圧倒的なライブパフォーマンスを見事に捉えています。アルバムは、バンドの代表曲を網羅しており、スタジオ録音では完全に再現できなかったエネルギーと迫力を伝えています[1][2]。
特筆すべきは、Scott GorhamとBrian Robertsonによるツインリードギターの演奏です。左右のスピーカーから異なるギタリストの音が聞こえるように制作されており、それぞれの個性的なプレイスタイルを楽しむことができます[4]。
アルバムには、ハードロックから軽快なポップチューン、そしてバラードまで、多様なスタイルの楽曲が収録されています[4]。
参加ミュージシャン
このアルバムに参加したThin Lizzyのメンバーは以下の通りです:
- Phil Lynott(フィル・ライノット):ベース、ボーカル
- Brian Downey(ブライアン・ダウニー):ドラムス
- Scott Gorham(スコット・ゴーハム):ギター
- Brian Robertson(ブライアン・ロバートソン):ギター[3]
制作時のエピソード
『Live and Dangerous』の制作過程については、長年議論の的となっています。プロデューサーのTony Viscontiは、ドラムスと観客の音以外はほとんどスタジオでオーバーダブされたと主張しています[2]。
一方、Brian Robertsonは、ギターソロの再録音を拒否したと述べており、オーバーダブはバッキングボーカルと一部のギターパートのみだったと主張しています[2][3]。
Scott Gorhamも、ソロの再録音を試みたものの、ライブの音を再現できなかったと述べています[3]。
発表時の反響と評価
『Live and Dangerous』は発売と同時に大きな成功を収めました。イギリスのアルバムチャートで2位を記録し、62週間にわたってチャートインし、最終的に60万枚以上を売り上げました[8]。
批評家からも高い評価を受け、AllMusicは「70年代最高のダブルライブアルバムの1つ」と称賛しています[8]。
トラックリスト
Side 1
- Jailbreak (脱獄)
- Emerald (エメラルド)
- Southbound (サウスバウンド)
- Rosalie / Cowgirl Song (ロザリー/カウガール・ソング)
Side 2
- Dancing in the Moonlight (ダンシング・イン・ザ・ムーンライト)
- Massacre (虐殺)
- Still in Love With You (それでも君を)
- Johnny the Fox Meets Jimmy the Weed (サギ師ジョニーとヤクザのジミー)
Side 3
- The Boys Are Back in Town (ザ・ボーイズ・アー・バック・イン・タウン)
- Don't Believe a Word (ドント・ビリーヴ・ア・ワード)
- Warriors (勇士)
- Are You Ready (アー・ユー・レディ)
Side 4
- Suicide (スーサイド)
- Sha La La (シャ・ラ・ラ)
- Baby Drives Me Crazy (ベイビー・ドライヴス・ミー・クレイジー)
- The Rocker (ザ・ロッカー)
特筆すべき点
- 『Live and Dangerous』は、多くの音楽誌やウェブサイトで「史上最高のライブアルバム」として評価されています[1][7][8]。
- このアルバムは、Thin Lizzyのライブパフォーマンスの魅力を完璧に捉えただけでなく、スタジオアルバムでは十分に表現できなかったバンドの真の姿を示しました[1][2]。
- 2023年には、45周年を記念して8枚組のスーパーデラックス版が発売され、オリジナルアルバムの新リマスター版に加え、7つのライブ公演の新ミックスが収録されています[6]。
『Live and Dangerous』は、Thin Lizzyの代表作としてだけでなく、ロックミュージック史に残る重要なライブアルバムとして今も高く評価され続けています。
Citations:
[1] https://www.loudersound.com/features/why-thin-lizzys-live-and-dangerous-is-the-greatest-live-album-ever
[2] https://thequietus.com/opinion-and-essays/anniversary/thin-lizzy-live-and-dangerous-review-anniversary/
[3] https://en.wikipedia.org/wiki/Thin_Lizzy
[4] https://theguitarworld.com/blogs/album-reviews/thin-lizzy-live-and-dangerous
[5] https://www.loudersound.com/features/thin-lizzys-live-and-dangerous-the-real-story-of-the-greatest-live-album-ever
[6] https://superdeluxeedition.com/news/thin-lizzy-live-and-dangerous-super-deluxe-edition/
[7] https://www.udiscovermusic.com/stories/thin-lizzy-live-and-dangerous/
[8] https://en.wikipedia.org/wiki/Live_and_Dangerous
[9] https://www.discogs.com/release/2644587-Thin-Lizzy-Live-And-Dangerous
[10] https://www.reddit.com/r/thinlizzy/comments/nqm6yf/was_alive_and_dangerous_actually_live/