キャノンボール・アダレイ『サムシン・エルス』
Cannonball Adderley(キャノンボール・アダレイ)『Somethin' Else』(サムシン・エルス)
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Cannonball Adderley(キャノンボール・アダレイ)のアルバム『Somethin' Else』(サムシン・エルス)は、1958年3月9日にニュージャージー州ハッケンサックのヴァン・ゲルダー・スタジオで録音され、同年8月にBlue Noteレーベルからリリースされたジャズの名盤です。このアルバムは、アダレイがリーダーを務めた唯一のBlue Note作品であり、マイルス・デイヴィスがサイドマンとして参加した数少ない録音の一つでもあります。以下に、このアルバムのコンセプト、音楽性、制作背景、参加ミュージシャン、発表時の反響、そして特筆すべき点について詳しく解説します。

アルバムのコンセプトと音楽性

『Somethin' Else』は、ハード・バップとビバップを基調としながらも、シンプルで親しみやすいメロディを重視した作品です。このアルバムは、翌年に発表されるマイルス・デイヴィスの『Kind of Blue』と比較されることが多く、その「予行演習」とも言われます。特にオープニング曲「Autumn Leaves」は、その静謐で浮遊感のあるイントロとミニマリズム的なアプローチが特徴で、後にデイヴィスのレパートリーとして定着しました[1][2][6]。

デイヴィスが作曲したタイトル曲「Somethin' Else」では、彼とアダレイのコール&レスポンス形式の掛け合いが際立っています。この楽曲は12小節ブルース形式ですが、伝統的なブルースとは異なる複雑なハーモニー構造を持ち、明るくも洗練された雰囲気を醸し出しています[5][6]。他にも、「Love for Sale」や「One for Daddy-O」など、多彩なスタイルの楽曲が収録されています。

制作背景と参加ミュージシャン

このセッションは、アダレイが当時マイルス・デイヴィス・クインテットに所属していた時期に行われました。アルバムには以下の豪華なメンバーが参加しています:

  • キャノンボール・アダレイ(アルトサックス)
  • マイルス・デイヴィス(トランペット)
  • ハンク・ジョーンズ(ピアノ)
  • サム・ジョーンズ(ベース)
  • アート・ブレイキー(ドラム)

このメンバー構成は、デイヴィスの通常のリズムセクションとは異なり、新鮮な化学反応を生み出しました。特にピアニストのハンク・ジョーンズは、その洗練されたブロックコード奏法で楽曲に豊かな色彩を加えています[3][6]。

制作時のエピソード

録音はBlue Noteレーベルの名プロデューサーであるアルフレッド・ライオンによって監修されました。また、録音エンジニアは伝説的なルディ・ヴァン・ゲルダーが担当しました。デイヴィスはセッション中、多くの楽曲選びやアレンジに関与し、「Autumn Leaves」の編曲についてはピアニストのアーマッド・ジャマルからインスピレーションを得たと語っています[4][8]。

発表時の反響

『Somethin' Else』は1958年当時から高い評価を受けました。『ビルボード』誌は、「ここ数ヶ月間でリリースされた中でも傑出したジャズセット」と評し、その年を代表する作品として位置づけました[2]。また、このアルバムは後年、『The Penguin Guide to Jazz』で「コアコレクション」に選ばれるなど、多くの批評家からも高い評価を受けています[4]。

特筆すべき点

  1. マイルス・デイヴィスの存在感:本作はキャノンボール名義ですが、多くの場面でデイヴィスが主導権を握り、「事実上マイルスのアルバム」と言われることもあります[5][7]。
  2. 「Autumn Leaves」の歴史的価値:この曲はジャズ史上最も有名なバージョンとして知られています。そのイントロとフィナーレは特に印象的です[7]。
  3. Blue Noteらしい美学:リード・マイルズによるカバーアートやフランク・ウルフによる写真など、本作は視覚的にもBlue Noteらしさが際立っています[4][7]。

トラックリスト

Side 1

  1. Autumn Leaves (枯葉) - 10:55
  2. Love for Sale (ラブ・フォー・セール) - 7:01

Side 2

  1. Somethin' Else (サムシン・エルス) - 8:15
  2. One for Daddy-O (ワン・フォー・ダディ・オー) - 8:26
  3. Dancing in the Dark (ダンシング・イン・ザ・ダーク) - 4:07

まとめ

『Somethin' Else』は、そのシンプルさと深遠さが絶妙に融合した作品であり、ジャズファンなら必ず聴くべき一枚です。キャノンボール・アダレイとマイルス・デイヴィスという二人の巨匠が織り成す対話的な演奏や、それを支えるリズムセクションとの一体感が、このアルバムを不朽の名作たらしめています。

Citations:
[1] https://www.milesdavis.com/albums/cannonball-adderley-somethin-else/
[2] https://www.udiscovermusic.com/stories/rediscover-cannonball-adderley-somethin-else/
[3] https://londonjazzcollector.wordpress.com/2021/02/19/collectors-guide-to-vintage-blue-note-classics-blp1595-cannonball-adderley-somethin-else-1958/
[4] https://en.wikipedia.org/wiki/Somethin'Else(Cannonball_Adderley_album)
[5] https://www.allaboutjazz.com/cannonball-adderley-somethin-else--1958-julian-cannonball-adderley-by-marc-davis
[6] https://www.newdirectionsinmusic.com/cannonball-adderley-somethin-else/
[7] https://www.jazzmessengers.com/en/79706/cannonball-adderley/somethinelsew-milesdavis
[8] https://raggywaltz.com/2022/08/17/songs-from-my-childhood-episode-i-somethin-else-cannonball-adderley-blue-note-1595/

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