ボズ・スキャッグス『スロー・ダンサー』
ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)『スロー・ダンサー』(Slow Dancer)
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Boz Scaggs(ボズ・スキャッグス)の1974年リリースアルバム『Slow Dancer』(スロー・ダンサー)は、彼のキャリアにおいて重要な転換点となった作品です。このアルバムは、スキャッグスがソウルミュージックの要素を本格的に取り入れ始めた作品として知られています。

アルバムのコンセプトと音楽性

『Slow Dancer』は、スキャッグスが本格的にソウルミュージックの世界に足を踏み入れた作品です[1]。プロデューサーにモータウンの重鎮、ジョニー・ブリストル(Johnny Bristol)を起用し、ソウルミュージックの要素を強く打ち出しています[7]。アルバムのサウンドは、ブルーアイドソウルとブギやパブロックを融合させた独特の味わいを持っています[1]。

アルバムのコンセプトは、都会的なソウルサウンドとスキャッグスの持ち味であるロック的な要素を融合させることでした。ブリストルのプロデュースにより、オーガニックなアーバンソウルサウンドが実現されています[3]。

サウンドの特徴

『Slow Dancer』のサウンドは、以下の特徴を持っています:

  1. 生き生きとしたブラスセクション
  2. 甘美な質感を持つストリングス
  3. 力強いベースライン
  4. スキャッグスの成熟した歌唱力[1]

特筆すべきは、コーラスパートが大きく、力強くなっても歪まないサウンドが実現されていることです[1]。

制作時のエピソード

制作にあたっては、スキャッグスとジョニー・ブリストルがタッグを組んで楽曲制作を行いました。アルバムの半数の楽曲を二人で共作しており、この経験がスキャッグスのソウル音楽への理解をさらに深めることになりました[4]。

参加ミュージシャン

アルバムには、当時の一流セッションミュージシャンが参加しています:

  • ギター:David Cohen, David T. Walker, Dennis Coffey, Greg Poree, Jay Graydon, Wah Wah Watson, Red Rhodes
  • キーボード:Clarence McDonald, Jerry Peters, Joe Sample, Mike Melvoin, Russell Turner
  • ベース:James Jamerson, Jim Hughart
  • ドラムス:Ed Greene, James Gadson
  • サックス:Ernie Watts, Fred Jackson, John Kelson
  • トロンボーン:George Bohanon, Lon Norman
  • トランペット/フリューゲルホルン:Chuck Findley, Jack H. Laubach, Paul Hubinon, Warren Roché
  • パーカッション:Gene Estes, John Arnold
  • コンガ:Joe Clayton, King Errison
  • バックグラウンドボーカル:Carolyn Willis, Julia Tillman Waters, Lorna Willard, Myrna Matthews, Pat Henderson[2]

発表時の反響

『Slow Dancer』は、商業的には大きな成功を収めませんでしたが、批評家からは好意的な評価を受けました。AllMusicは、このアルバムが『Silk Degrees』と同様にキャッチーなメロディに溢れていると評価しています[1]。

アルバムはビルボードチャートで81位を記録し、オーストラリアのKent Music Reportでは62位にランクインしました[2]。

特筆すべき点

  1. アルバムジャケット:当初のジャケットはアニー・リーボヴィッツ(Annie Leibovitz)が撮影したスキャッグスの浜辺での写真でしたが、『Silk Degrees』のヒット後に再発売された際には、Ethan Russellが撮影した優雅な衣装を着たスキャッグスと女性の写真に変更されました[2]。
  2. 楽曲:「Pain of Love」や「Sail on White Moon」といった楽曲で、スキャッグスはブリストルの楽曲を見事に歌いこなしています[1]。
  3. サウンド:1974年当時のアナログ録音技術の粋を集めた、バランスの取れた音作りが特徴です[1]。
  4. 影響:このアルバムでの経験が、後の大ヒット作『Silk Degrees』へとつながっていきました[4]。

『Slow Dancer』は、ボズ・スキャッグスがソウルミュージックの要素を取り入れ、自身の音楽性を拡大させた重要な作品として位置づけられています。このアルバムでの経験が、後の彼の成功につながる重要な一歩となったのです。

トラックリスト

Side 1

  1. You Make It So Hard (To Say No) / ユー・メイク・イット・ソー・ハード(トゥ・セイ・ノー) - 3:31
  2. Slow Dancer / スロー・ダンサー - 3:13
  3. Angel Lady (Come Just In Time) / エンジェル・レディ(カム・ジャスト・イン・タイム) - 3:28
  4. There Is Someone Else / ゼア・イズ・サムワン・エルス - 4:32
  5. Hercules / ハーキュリーズ - 4:03

Side 2

  1. Pain of Love / ペイン・オブ・ラブ - 3:11
  2. Sail on White Moon / セイル・オン・ホワイト・ムーン - 3:13
  3. Let It Happen / レット・イット・ハプン - 3:18
  4. I Got Your Number / アイ・ガット・ユア・ナンバー - 3:43
  5. Take It for Granted / テイク・イット・フォー・グランテッド - 4:19

Citations:
[1] https://ontherecord.co/2020/08/15/boz-scaggs-slow-dancer/
[2] https://en.wikipedia.org/wiki/Slow_Dancer
[3] https://www.musiconvinyl.com/products/slow-dancer
[4] https://altrockchick.com/2024/09/29/boz-scaggs-silk-degrees-classic-music-review/
[5] https://www.allmusic.com/album/slow-dancer-mw0000195643
[6] https://www.groovenutrecords.net/products/detail/30508
[7] https://note.com/mizoko/n/n41bf33781f84
[8] https://www.discogs.com/master/123326-Boz-Scaggs-Slow-Dancer

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