Electric Light Orchestra(ELO・エレクトリック・ライト・オーケストラ)の7枚目のスタジオアルバム『Out of The Blue』(アウト・オブ・ザ・ブルー)は、1977年10月3日にリリースされた記念碑的な作品です。このダブルアルバムは、ELOのフロントマンであるジェフ・リン(Jeff Lynne)によって書かれ、プロデュースされました[1][2]。
コンセプトと制作
『Out of The Blue』は、ジェフが4週間という短期間で集中的に作曲したものです[2]。当初、レコード会社はライブアルバムを要求しましたが、ジェフはスタジオでの録音を主張し、タイトな締め切りの中で創作に没頭しました[4]。
アルバムの制作はミュンヘンのMusiclandスタジオで行われ、ジェフは創作のインスピレーションを得るためにスイスアルプスの山小屋に滞在しました[1][3]。特に印象的なのは、Side 3の「Concerto for a Rainy Day」という4曲組の組曲で、天候と気分の変化をテーマにしています[6]。
音楽性とサウンドの特徴
『Out of The Blue』は、ELOの特徴的なサウンドを極限まで追求した作品です。オーケストラとロックを融合させた壮大なアレンジ、多重録音による複雑な音の重なり、そしてシンセサイザーやボコーダーなどの最新技術を駆使した革新的なサウンドが特徴です[1][2]。
ジェフは1曲あたり最大250トラックもの楽器や声を重ねるなど、緻密な制作を行いました[1]。また、当時最新のVocoder 2000シンセサイザーを使用し、ロボット的な声を生み出すなど、革新的な試みも行っています[4]。
参加ミュージシャン
アルバムにはELOのメンバーであるBev Bevan(ドラムス)、Richard Tandy(キーボード)、Kelly Groucutt(ベース、バックボーカル)が参加しています[3]。しかし、このアルバムを境に、バイオリニストのMik KaminskiやチェリストのMelvyn Gale、Hugh McDowellの役割が縮小され、後にバンドを離れることになります[3]。
ELOメンバー
- ジェフ・リン(Jeff Lynne):ヴォーカル・ギター
- ベヴ・ベヴァン(Bev Bevan):ドラムス
- リチャード・タンディ(Richard Tandy):キーボード
- ケリー・グロウカット(Kelly Groucutt):ベース、バックボーカル
- ミック・カミンスキー(Mik Kaminski):バイオリン
- メルヴィン・ゲイル(Melvyn Gale):チェロ
- ヒュー・マクダウェル(McDowell):チェロ
発表時の反響と評価
『Out of The Blue』は発売と同時に大きな成功を収めました。アルバムは米国とイギリスでともに4位、オーストラリアで3位、スウェーデンで2位を記録し、400万枚の事前予約を獲得しました[1][9]。
批評家の反応は当初分かれていましたが、時間の経過とともに評価は上がっています。『Rolling Stone』誌は当初「完全に空虚で平凡」と評しましたが[5]、後年の評価では『Pitchfork』が8.1/10点を付けるなど、高い評価を得ています[7]。
特筆すべき点
- 「Mr. Blue Sky」「Turn to Stone」「Sweet Talkin' Woman」など、ELOの代表曲が多数収録されています[1][4]。
- アルバムジャケットに描かれた宇宙船は、その後のツアーで実際に舞台装置として再現され、壮大なショーの一部となりました[3]。
- 「Concerto for a Rainy Day」組曲の冒頭では、実際の雨音が録音され、さらにモールス信号で「ELO」とスペルアウトされるなど、細部まで凝った制作が行われています[6]。
- アルバムは1978年に「Album of the Year」を受賞し、ジェフは初のアイヴァー・ノヴェロ賞(Ivor Novello Awards)を受賞しました[7]。
『Out of The Blue』は、ELOの音楽的野心と技術的革新が結実した作品であり、70年代のロック音楽の金字塔として今なお高く評価されています。
Citations:
[1] http://1001albumsyoumusthearbeforeyoudie.wikidot.com/electric-light-orchestra-out-of-the-blue
[2] https://acrn.com/2019/03/06/dad-rock-bi-weekly-electric-light-orchestra-out-of-the-blue/
[3] https://ultimateclassicrock.com/electric-light-orchestra-out-of-the-blue-album/
[4] https://bestclassicbands.com/electric-light-orchestra-elo-out-of-the-blue-review-3-29-21/
[5] https://www.loudersound.com/reviews/elo-out-of-the-blue-40th-anniversary-album-review
[6] https://1001albumsgenerator.com/albums/2qd7QaBMaK15aNWo7mdWMH/out-of-the-blue
[7] https://en.wikipedia.org/wiki/Out_of_the_Blue_(Electric_Light_Orchestra_album)
[8] https://www.popmatters.com/electric-light-orchestra-out-of-the-blue-2495792235.html
[9] https://ontherecord.co/2024/05/11/electric-light-orchestra-out-of-the-blue-2/
[10] https://andrewdsweeney.wordpress.com/2014/09/27/classic-album-review-the-electric-light-orchestra-out-of-the-blue-1977/