『We And The Sea』(二人と海)は、ブラジルのボサノヴァグループTamba 4(タンバ・クアトロ)が1967年に発表したアルバムで、彼らのアメリカデビュー作品として知られています[1][3]。このアルバムは、ボサノヴァの伝統的な要素を保ちつつ、より洗練されたサウンドと実験的なアプローチを融合させた意欲作として評価されています。
音楽性とサウンドの特徴
Tamba 4は、サンバやボサノヴァ、アフロ系ブラジル音楽を基調としながら、ジャズやクラシック音楽の要素を巧みに取り入れています[5]。特筆すべきは、4人編成とは思えないダイナミックなアンサンブルと、複雑な和声構造です。ピアニストのルイス・エサは、ラヴェルやガーシュウィンの影響を感じさせる現代的な不協和音を取り入れ、20世紀の音楽語法を巧みに活用しています[3]。
アルバムには、ヴードゥーの呪文のような神秘的な雰囲気を醸し出す曲もあり、「Iemanjá」や「Chant of Ossanha」などでは、ブラジルの伝統的な宗教音楽の要素が色濃く反映されています[3]。また、グループのトレードマークである美しいハーモニーボーカルと、躍動感のあるボサノヴァリズムが絶妙に融合しています[1]。
制作と参加ミュージシャン
『We And The Sea』は、名プロデューサーのクリード・テイラーの手によって制作されました[1][3]。録音は1967年9月5日、6日、7日、11日、12日、14日にニュージャージー州のヴァン・ゲルダー・スタジオで行われ、エンジニアは名匠ルディ・ヴァン・ゲルダーが担当しました[1][3]。
参加ミュージシャンは以下の通りです[1][3]:
- ルイス・エサ (ピアノ、オルガン)
- ドリオ・フェレイラ (ベース、ギター、パーカッション)
- ルーベンス・オアーナ (ドラムス、ジョーボーン、コンガ)
- ジョゼ・デ・カスティーリョ・エ・ソウザ ("ベベート") (フルート、ベース、ボーカル)
アルバムの反響と評価
『We And The Sea』は、発表当時からその革新的なサウンドと高度な音楽性で注目を集めました。このアルバムは、ボサノヴァの境界線を押し広げ、より洗練された国際的なサウンドを追求した作品として高く評価されています[3][6]。
特に、オープニング曲「The Hill (O Morro)」は、7分39秒に及ぶ長尺の楽曲で、ルイス・エサのピアノが印象的です。この曲は、複雑な構成と20世紀の不協和音を取り入れた先進的なアプローチで、ボサノヴァの新たな可能性を示しました[3]。
アルバム全体を通して、Tamba 4の卓越した演奏技術と革新的なアレンジが際立っています。彼らの音楽は、単なるボサノヴァの枠を超え、ジャズやクラシック音楽の要素を取り入れた先進的なサウンドを確立しました[5][6]。
特筆すべき点
- このアルバムは、Tamba 4のアメリカデビュー作であると同時に、A&MレコードのCTIレーベル第1弾リリースでもありました[7]。
- ジャケット写真は、有名なフォトグラファーのピート・ターナーが担当し、アルバムデザインはサム・アンチュピットが手がけています[1]。
- 収録曲の多くは、アントニオ・カルロス・ジョビンやバーデン・パウエルなど、ブラジルを代表する作曲家の楽曲をカバーしています[1]。
- このアルバムは、後のラテンピアノの巨匠たち、例えばチューチョ・バルデスやゴンサロ・ルバルカバなどに影響を与えたとされています[3]。
- 2022年現在も、このアルバムは多くのジャズ愛好家やボサノヴァファンから傑作として支持され続けています[5][6]。
『We And The Sea』は、Tamba 4の音楽的才能と革新性を存分に発揮した作品であり、ボサノヴァの歴史に残る重要なアルバムとして今なお高く評価されています。その先進的なサウンドと高度な音楽性は、半世紀以上経った今でも色褪せることなく、多くの音楽ファンを魅了し続けています。
Citations:
[1] https://forum.amcorner.com/threads/tamba-4-we-and-the-sea-sp-3004.6861/
[2] https://www.forcedexposure.com/Artists/TAMBA.4.html
[3] https://www.jazzmessengers.com/en/99527/tamba-4/weandthesea-limitedgatefoldedition-
[4] https://www.allmusic.com/album/we-and-the-sea-mw0000256728
[5] https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008764421
[6] https://soundsoftheuniverse.com/sjr/product/tamba-4-we-and-the-sea-1968
[7] https://www.hmv.co.jp/artist_Tamba-4_000000000010114/item_We-And-The-Sea-Ltd_1390712
[8] https://www.discogs.com/release/1256979-Tamba-4-We-And-The-Sea
[9] https://www.discogs.com/master/594353-Tamba-4-We-And-The-Sea
[10] https://www.albumoftheyear.org/album/812418-tamba-4-we-and-the-sea/user-reviews/
[11] https://www.facebook.com/groups/139422786069273/posts/9274968885847905/
[12] https://eastzono.seesaa.net/article/102259304.html
[13] https://www.ctproduced.com/bebeto-castilho-tamba-4/
[14] https://www.jstor.org/stable/849882
[15] https://www.youtube.com/watch?v=p8RcjfWCkIU
[16] https://www.bbc.co.uk/schedules/p00fzl97/2009/03/31
[17] https://7virtualjazzclub.net/to-learn-more-about-arnaldo-desouteiro/
[18] https://forum.amcorner.com/threads/defining-the-60s-at-a-m.18168/
[19] https://www.barnesandnoble.com/w/we-and-the-sea-tamba-trio/40866949
[20] https://forum.amcorner.com/threads/antonio-carlos-jobim-wave-sp-3002.6821/
[21] https://lincoln-orens-middle-school.echalksites.com/summer_reading_7th_grade
[22] https://live.worldbank.org/en/event/2022/climate
[23] https://www.hyogo-c.ed.jp/~koko-bo/13kyouzai/habatan/H29_Habatanforstudents.pdf
[24] https://www.hyogo-c.ed.jp/~koko-bo/13kyouzai/habatan/R3_Habatanforstudents.pdf
[25] https://tribalcollegejournal.org/wise-men-elegant-speakers-reflecting-traditional-assiniboine-leadership/
[26] https://sanin-geo.jp/images/1802kabutoyama_en.pdf