ジェシ・コリン・ヤング『ソング・フォー・ジュリ』
ジェシ・コリン・ヤング(Jesse Colin Young)『ソング・フォー・ジュリ』(Song For Juli)
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Jesse Colin Young(ジェシ・コリン・ヤング)の『Song for Juli』(ソング・フォー・ジュリ)は、1973年9月にリリースされた彼の4枚目のソロアルバムです。このアルバムは、ヤングの音楽キャリアにおいて重要な転換点となり、彼の個人的な経験や環境から深く影響を受けた作品となりました。

コンセプトと背景

『Song for Juli』は、ヤングがカリフォルニア州マリン郡の山頂に建てた自宅とスタジオで制作されました。アルバムのタイトルは彼の娘、ジュリ(Juli)に捧げられており、家族や自然との繋がりが強く反映されています[1]。

ヤングは1967年にニューヨークからポイントレイズに移住し、その地域の自然や生活様式に魅了されました。彼は「ニューヨークのロウアー・イースト・サイドから来て、天国に行ったような気分だった」と語っています[1]。

音楽性とサウンドの特徴

アルバムの音楽性は、カントリーロックとフォークロックを基調としており、ジャズの要素も取り入れられています[4]。サウンドの特徴として以下が挙げられます:

  1. オープンで風通しの良い雰囲気
  2. ジャズの影響を受けたサックスやフルートのソロ
  3. ピアノとギターの調和
  4. 快適なグルーヴ感

これらの要素により、キャロル・キング(Carole King)の『タペストリー』(Tapestry)やヴァン・モリソン(Van Morrison)の『ムーンダンス』(Moondance)、ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)の『レディズ・オブ・ザ・キャニオン』(Ladies of the Canyon)に通じる開放的な雰囲気が生み出されています[1]。

制作エピソード

ヤングは、このアルバムの制作について次のように語っています:

「『Song for Juli』の制作は、私にとって大きな音楽的転換期でした。1970年頃、ヤングブラッズから夏休みを取り、大きなダッジのバンを買って、新しい音楽の共同制作者となるミュージシャンたちと旅に出ました」[1]

彼は自宅の隣に新しいスタジオを建設し、そこで録音を行いました。これは彼の長年の夢の実現でもありました[1]。

参加ミュージシャン

アルバムには以下のミュージシャンが参加しています[4]:

  • ジェシ・コリン・ヤング(Jesse Colin Young):ギター、ボーカル
  • スージー・ヤング(Suzi Young、当時のジェシの妻):ハーモニーボーカル
  • デイヴィッド・ヘイズ(David Hayes):ベース、ハーモニーボーカル
  • ジェフ・マイヤー(Jeff Myer):ドラムス
  • スコット・ローレンス(Scott Lawrence):ピアノ、ビブラフォン
  • ジム・ロザメル(Jim Rothermel):クラリネット、サックス、フルート

他にも、バイオリン、トランペット、トロンボーンなど、多彩な楽器奏者が参加しています。

楽曲と歌詞

アルバムの楽曲は、ヤングの生活や環境から強く影響を受けています。例えば:

  • 「Ridgetop」は、彼の自宅がある山頂の生活を描いています。
  • 「Evenin'」では、「海岸線の雨の天気のにおいをかぎ、潮の満ち引きを見る」といった歌詞が登場し、カリフォルニア海岸の美しさを表現しています[1]。

発表時の反響と評価

『Song for Juli』は、ヤングのソロ作品の中で最も高いチャート順位を記録し、彼のキャリアの中で最も長くチャートに留まったアルバムとなりました[4]。

アルバムは、Van Morrisonの『Moondance』や『His Band and Street Choir』、『A Period of Transition』などと比較されるほどの評価を得ています[1]。特に、ジャズの要素を取り入れた点でローラ・ニーロ(Laura Nyro)の『Smile』の影響も感じられると評されています。

特筆すべき点

  1. アルバムは、ヤングの個人的な転換期を象徴する作品となりました。
  2. 自然や家族との繋がりが強く反映されており、ヤングの人生観が色濃く表れています。
  3. スタジオミュージシャンたちとの協力関係が、単なる演奏者以上の共同制作者としての役割を果たしています[1]。
  4. 1995年のMount Vision火災で、アルバムの舞台となったヤングの自宅が焼失しましたが、録音スタジオは奇跡的に残りました[5]。

『Song for Juli』は、ジェシ・コリン・ヤングの音楽的成熟と個人的な成長を示す重要な作品として、今もなお高く評価されています。2023年には50周年を記念して、完全リマスター版がリリースされました[5]。

Citations:
[1] https://www.newdirectionsinmusic.com/jesse-colin-young-song-for-juli/
[2] https://sebastianaor.blogspot.com/2017/08/jesse-colin-young.html
[3] https://www.discogs.com/release/1345399-Jesse-Colin-Young-Song-For-Juli
[4] https://en.wikipedia.org/wiki/Song_for_Juli
[5] https://givebutter.com/8GRYnt
[6] https://www.discogs.com/ja/release/15275078-Jesse-Colin-Young-Song-For-Juli
[7] https://www.allmusic.com/album/song-for-juli-mw0000106543
[8] https://colossalreviews.com/music/song-for-juli-by-jesse-colin-young-vinyl-record-album-review/

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