キング・クリムゾン『アイランズ』
キング・クリムゾン(King Crimson)『アイランズ』( Islands)
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King Crimson(キング・クリムゾン)の4枚目のスタジオアルバム『Islands』(アイランズ)は、1971年12月3日にリリースされました。このアルバムは、バンドの音楽的方向性の変化を示す重要な作品として位置付けられています。

コンセプトと音楽性

『アイランズ』は、前作『Lizard』(リザード)とは対照的な、より穏やかで瞑想的な雰囲気を持つアルバムです[1][4]。地中海の群島を霧越しに眺めるような、モノクロームの絵画的なイメージを喚起させます[4]。アルバム全体を通して、愛をテーマにした緩やかな物語性が感じられるという解釈もあります[11]。

音楽的には、ジャズロック、チェンバーミュージック、プログレッシブロックなど、多様なスタイルが融合しています[2]。静寂と音の対比が効果的に用いられており、特に冒頭の「Formentera Lady」と最後の「Islands」は穏やかで瞑想的な曲調が特徴的です[13]。

制作エピソードと参加ミュージシャン

アルバムは、バンドのUKツアーの合間を縫って、ロンドンのCommand Studiosでゲリラ的に録音されました[5]。ロバート・フリップ(Robert Fripp)は、疲労困憊の中で「Song Of The Gulls」のオーケストラパートを深夜に書き上げたと回想しています[5]。

参加ミュージシャンは以下の通りです[2]:

  • ロバート・フリップ(Robert Fripp):ギター、メロトロン、ハーモニウム
  • ボズ・バレル(Boz Burrell) :ボーカル、ベース
  • メル・コリンズ(Mel Collins):サックス、フルート、バスフルート、バッキング・ボーカル
  • イアン・ウォーレス(Ian Wallace):ドラムス、パーカッション
  • ピート・シンフィールド(Peter Sinfield):作詞

ゲストミュージシャンとして、キース・ティペット(Keith Tippett):ピアノ、マーク・チャリグ(Mark Charig):コルネット、ハリー・ミラー(Harry Miller):ダブルベース、ロビン・ミラー(Robin Miller):オーボエ、ポーリナ・ルーカス(Paulina Lucas):ソプラノ・ボーカルなども参加しています[2]。

楽曲の特徴

アルバムは6曲で構成されています:

Side 1

  1. Formentera Lady(フォーメンテラ・レディ) - 10:14 / 10分を超える幻想的な開幕曲[1][4]
  2. Sailor's Tale(船乗りの話) - 7:21 / Frippの印象的なギターソロが特徴的な楽曲[4][7]
  3. The Letters(レターズ) - 4:26 / ゴシック調のメロドラマ[7]

Side 2

  1. Ladies of the Road(レディース・オブ・ザ・ロード) - 5:28 / ブルース調のロック曲[7]
  2. Prelude: Song of the Gulls(プレリュード:かもめの歌) - 4:14 / 室内楽風の間奏曲[7]
  3. Islands(アイランズ) - 11:51 / アルバムを締めくくる美しいバラード[4]

特に「Sailor's Tale」は、フィリップのギターソロが従来のシンフォニックな要素から離れ、より尖ったメタル的な方向性を示しており、バンドの次なる展開を予感させる曲となっています[9]。

ジャケットデザインと反響

ジャケットデザインはピート・シンフィールドによるもので、複数のバージョンが存在します[6]。写真はロバート・エリス(Robert Ellis)が担当しました[12]。

イギリスと多くの国で使用された元のカバーは、いて座三裂星雲の写真を使用したもので、バンド名もアルバムタイトルも表示されていません。後にキング・クリムゾンのカタログが再発行された際、「いて座三裂星雲の写真」のカバーが世界的に標準化されました[2]。

発表当時の反響は分かれましたが、時を経て再評価が進んでいます。プログレッシブロックの専門家、ポール・ヘガティ(Paul Hegarty)とマーティン・ハリウェル(Martin Halliwell)は、『アイランズ』を「静謐な雰囲気の展開が支配的」と評しています[1]。

特筆すべき点

『アイランズ』は、このメンバーによるキング・クリムゾンによる唯一のスタジオアルバムとなりました[5]。また、ピート・シンフィールドが作詞を担当した最後のキング・クリムゾンのアルバムでもあります。

アルバムは、バンドの音楽的多様性を示すと同時に、次のスタジオ録音アルバム『Larks' Tongues in Aspic』(太陽と戦慄)へと続く新たな方向性の萌芽を感じさせる、過渡期の作品として位置付けられています[9]。

2010年にリリースされた40周年記念エディションには、90分に及ぶ未発表音源が収録され、アルバムの制作過程をより深く知ることができるようになりました[5]。

Citations:
[1] https://en.wikipedia.org/wiki/Islands_(King_Crimson_album)
[2] https://en.wikipedia.org/wiki/Islands_(King_Crimson_song)
[3] https://www.reddit.com/r/KingCrimson/comments/vddpm2/i_restored_the_full_gatefold_art_from_islands/
[4] https://pienemmatpurot.com/2023/11/15/review-king-crimson-islands-1971/
[5] https://www.dgmlive.com/news/kcs-islands-celebrates-52-years
[6] https://forums.stevehoffman.tv/threads/king-crimson-islands-why-three-different-covers.1159381/
[7] https://www.loudersound.com/features/king-crimson-islands
[8] https://www.dgmlive.com/albums/islands
[9] https://www.dgmlive.com/news/Sid%20Smith%20takes%20a%20look%20at%20the%20making%20of%20Islands
[10] https://www.elephant-talk.com/wiki/Islands_-_Reviews
[11] https://www.reddit.com/r/KingCrimson/comments/okot8y/was_islands_meant_to_be_a_sort_of_concept_album/
[12] https://progrography.com/king-crimson/review-king-crimson-islands-1971/
[13] https://progarchy.com/2012/11/20/kc_islands/
[14] https://www.progarchives.com/album.asp?id=1906
[15] https://www.discogs.com/release/1609667-King-Crimson-Islands
[16] https://www.discogs.com/master/436-King-Crimson-Islands

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