
Pat Metheny Group(パット・メセニー・グループ)の『OFFRAMP』(オフランプ)は、1982年にリリースされた3枚目のスタジオアルバムで、グループの音楽性に大きな転換点をもたらした作品です。
コンセプトと音楽性
このアルバムは、メセニーとライル・メイズの創造的なパートナーシップを基盤としながら、新たな音楽的要素を取り入れることで、グループのサウンドを大きく進化させました[1][2]。特筆すべき点は以下の通りです:
- ギターシンセサイザーの導入:メセニーが初めてRoland GR-300を使用し、その後彼のシグネチャーサウンドとなりました[19]。
- ワールドミュージックの要素:ブラジルの打楽器奏者ナナ・ヴァスコンセロスの参加により、ラテン・南米的な音色が加わりました[18]。
- ボーカルの使用:グループ初のボーカル要素の導入により、サウンドの幅が広がりました[19]。
- アバンギャルドな要素:フリージャズの影響を受けた実験的な楽曲も含まれています[1]。
サウンドの特徴
『OFFRAMP』のサウンドは、フォーキーなアメリカンサウンドと現代ジャズの融合、そしてワールドミュージックの要素が絶妙にブレンドされています[1]。メセニーのギターシンセサイザーによる表現力豊かな演奏と、メイズのキーボードワークが見事に調和し、広大な音響空間を創り出しています[3]。
アルバム全体を通して、メロディアスでリリカルな曲調と、より抽象的で実験的な楽曲が巧みにバランスを取っています[20]。
参加ミュージシャン
- Pat Metheny(パット・メセニー):ギター、ギターシンセサイザー、シンクラビアギター
- Lyle Mays(ライル・メイズ):ピアノ、シンセサイザー、オートハープ、オルガン、シンクラビア
- Steve Rodby(スティーブ・ロドビー):ベース
- Danny Gottlieb(ダニー・ゴットリーブ):ドラムス
- Nana Vasconcelos(ナナ・ヴァスコンセロス):パーカッション、ボーカル、ベリンバウ[19]
制作時のエピソード
このアルバムは、メセニーとメイズが前作『As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls』(ウィチタ・フォールズ)で試みた実験的なアプローチを、グループの文脈でさらに発展させたものです[19]。ギターシンセサイザーの導入は、メセニーの音楽的表現の幅を大きく広げ、以後の彼の作品に大きな影響を与えました[19]。
また、ベーシストのマーク・イーガンからスティーブ・ロドビーへの交代も、グループのサウンドに新たな要素をもたらしました[19]。
発表時の反響と評価
『OFFRAMP』は発表当時から高い評価を受け、商業的にも成功を収めました[16]。1983年のグラミー賞で「最優秀ジャズ・フュージョン・パフォーマンス賞」を受賞し、グループにとって初のグラミー獲得となりました[15]。
批評家からは、作曲の成熟度や技術的な先進性が高く評価され、特にギターシンセサイザーとボーカル要素の導入が、グループのサウンドの新たな方向性を示したと称賛されました[20]。

特筆すべき楽曲
- 「Are You Going With Me?」:メセニーの代表曲の一つとなり、ライブでも人気の高い楽曲です[1]。
- 「Offramp」:オーネット・コールマンへのオマージュとされ、フリージャズの要素を取り入れた実験的な楽曲です[16]。
- 「James」:シンガーソングライターのジェームス・テイラーにインスパイアされた楽曲で、メセニーのメロディアスな側面が際立っています[16]。
『OFFRAMP』は、パット・メセニー・グループの音楽的進化を象徴する重要なアルバムとして、今もなお高い評価を受け続けています。その革新的なサウンドと洗練された作曲は、現代ジャズの一つの到達点を示すものとして、音楽史に深く刻まれています。
Citations:
[1] https://www.patmetheny.com/music/detail.cfm?id=39
[2] https://www.guitar9.com/column/pat-metheny-group-offramp
[3] https://www.audaud.com/pat-metheny-group-offramp-ecm/
[4] https://ontherecord.co/2022/09/03/pat-metheny-offramp-2/
[5] https://en.wikipedia.org/wiki/Offramp_(album)
[6] https://jazzfuel.com/best-pat-metheny-albums/
[7] https://catchgroove.com/2020/01/12/catchgroove-hall-of-fame-pat-metheny-group-offramp/
[8] http://kudojazz.music.coocan.jp/pat.htm
[9] http://jazz-rock-fusion-guitar.blogspot.com/2020/02/pat-metheny-1983-offramp.html
[10] https://www.jazzguitar.be/forum/improvisation/66283-anyone-wanna-discuss-pat-metheny-style-improvisation.html
[11] https://v-matsuwa.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/cool-side-6f57.html
[12] https://somethingelsereviews.com/2006/09/13/pat-metheny-group-offramp-first-circle-19821984/
[13] https://ontherecord.co/2022/09/03/pat-metheny-offramp-2/
[14] https://www.reddit.com/r/Jazz/comments/1blvni9/the_art_of_modulation_in_pat_methenys_music_and/
[15] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97
[16] https://ecmreviews.com/2011/11/07/offramp/
[17] http://kudojazz.music.coocan.jp/pat.htm
[18] https://en.wikipedia.org/wiki/Pat_Metheny_Group
[19] https://en.wikipedia.org/wiki/Offramp_(album)
[20] http://jazz-rock-fusion-guitar.blogspot.com/2020/02/pat-metheny-1983-offramp.html
[21] https://www.progarchives.com/album.asp?id=11536
[22] https://zawinul.hatenablog.com/entry/2021/03/06/234411
[23] https://www.guitar9.com/column/pat-metheny-group-offramp
[24] https://organicmusic.jp/en/products/pat-metheny-group-offramp
[25] https://www.last.fm/music/Pat+Metheny+Group/Offramp/+wiki
[26] https://www.discogs.com/release/446885-Pat-Metheny-Group-Offramp
[27] https://ecmrecords.com/product/offramp-pat-metheny-group/
[28] https://www.patmetheny.com/music/detail.cfm?id=39
[29] https://www.sputnikmusic.com/review/55475/Pat-Metheny-Offramp/