アル・ディ・メオラ『カジノ』

Al Di Meola(アル・ディ・メオラ)の3枚目のスタジオアルバム『Casino』(カジノ)は、1978年2月にリリースされた作品で、ジャズフュージョンの歴史に重要な一石を投じたアルバムとして知られています[1][2]。
『カジノ』の音楽性とサウンドの特徴
『カジノ』は、ディ・メオラの卓越したギターテクニックと複雑な作曲力が遺憾なく発揮された作品です。このアルバムでは、ジャズフュージョンの枠組みの中でラテン音楽の要素を探究し、地中海文化やフラメンコの影響も色濃く反映されています[1]。
特筆すべき特徴として以下が挙げられます:
- 多様なスケールの使用: ディ・メオラは非西洋的なモードを積極的に取り入れています。例えば、オープニング曲「Egyptian Danza」ではフリギア・ドミナント・スケールを基調としています[3]。
- 複雑なリズムパターン: ラテン音楽の影響を受けた複雑なリズムが随所に見られます。
- 高速かつ精密なギターソロ: ディ・メオラの代名詞とも言える超絶技巧が存分に発揮されています。
- アコースティックとエレクトリックの融合: 「Fantasia Suite for Two Guitars」のようなアコースティック曲では、より繊細なタッチが披露されています[1]。
制作時のエピソード
『カジノ』の制作は1977年5月から9月にかけて、ニューヨーク市のエレクトリック・レディ・スタジオで行われました[2]。この時期、ディ・メオラは自身の音楽をラテン音楽と「美しいロマンティックなイタリアのメロディ」の組み合わせと表現しており、そこにロックンロールのエネルギーとジャズの複雑さを加えたものだと述べています[3]。
発表時の反響
『カジノ』は商業的にも批評的にも成功を収めました。オーストラリアのケント・ミュージック・レポートでは71位にランクインし[2]、ディ・メオラの人気を不動のものとしました。
参加ミュージシャン
アルバムには以下の優れたミュージシャンが参加しています[2]:
- アル・ディ・メオラ(Al Di Meola):ギター、マンドリン、パーカッション、ハンドクラップ
- バリー・マイルズ(Barry Miles):キーボード、パーカッション
- アンソニー・ジャクソン(Anthony Jackson):ベースギター
- スティーブ・ガッド(Steve Gadd):ドラムス
- エディ・コロン(Eddie Colon):パーカッション
- ミンゴ・ルイス(Mingo Lewis):パーカッション
トラック・リスト
Side 1
- 埃及(エジプト)の舞踏(Egyptian Danza) - 5:56
- ブードゥーの追跡(Chasin' the Voodoo) – 5:05
- 黒い瞳のタンゴ(Dark Eye Tango) - 5:23
Side 2
- セニョール・マウス(Señor Mouse) – 7:21
- 二つのギターの為の幻想組曲(Fantasia Suite for Two Guitars) - 5:11
- ヴィヴァ・ダンツァリーナ(Viva La Danzarina)
- 異国のギター(Guitars of the Exotic Isle)
- イタリア狂詩曲(Rhapsody Italia)
- ブラボト・ファンタジア(Bravoto Fantasia)
- カジノ(Casino) - 9:29
特筆すべき点
- 楽曲の多様性: アルバムには「Egyptian Danza」のようなアップテンポな曲から、「Señor Mouse」(チック・コリア作曲)のようなジャズ色の強い曲まで、幅広い楽曲が収録されています[2]。
- 技術的革新: ディ・メオラは高速のパートでもスウィープ奏法やエコノミーピッキングを使わず、オルタネイト・ピッキングで弾ききる独自のスタイルを確立しました[1]。
- ジャンルの融合: ジャズ、ロック、ラテン、クラシカルな要素を巧みに融合させ、新しいサウンドを創造しています。
- プロデュース能力: ディ・メオラ自身がプロデューサーを務め、自身のビジョンを忠実に音に反映させています[2]。
- 長期的影響: 『カジノ』は後のギタリストたちに大きな影響を与え、ジャズフュージョンの金字塔として今も高く評価されています。
『カジノ』は、アル・ディ・メオラの音楽キャリアにおける重要な転換点となったアルバムであり、彼の技術的卓越性と音楽的探究心が見事に結実した作品と言えるでしょう。
Citations:
[1] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%A9
[2] https://en.wikipedia.org/wiki/Casino_(Al_Di_Meola_album)
[3] https://en.wikipedia.org/wiki/Al_Di_Meola
[4] https://www.allmusic.com/album/casino-mw0000649478



