オスカー・ピーターソン『プリーズ・リクエスト』
『We Get Requests』（邦題：プリーズ・リクエスト）は、1964年にオスカー・ピーターソン・トリオ（Oscar Peterson Trio）が発表したアルバムで、そのタイトルの通り「観客やファンからのリクエスト曲」を中心に構成された作品です[1][7][10]。
『We Get Requests』のコンセプト
ジャズ・スタンダードや当時人気の高かったボサノヴァ、映画音楽など、幅広い楽曲が選ばれています。ピーターソン自身が「ファンの声に応える」ことを意識し、親しみやすさと芸術性を両立させた内容となっています[7][10]。
参加ミュージシャン
このアルバムは、オスカー・ピーターソン（ピアノ）、レイ・ブラウン（ベース）、エド・シグペン（ドラムス）という黄金のトリオによって演奏されています[1][2][6][7]。このメンバーは1958年から約5年間にわたり活動を共にしており、抜群のアンサンブル力と相互の信頼感がサウンドに表れています[6][7]。
- ピアノ：Oscar Peterson
- ベース：Ray Brown
- ドラムス：Ed Thigpen
音楽性・サウンドの特徴
1. メロディ重視のアプローチ
本作は、ソロの応酬よりもメロディの美しさや楽曲の雰囲気を大切にしたアレンジが特徴です。ピーターソンのピアノは全曲でメロディを丁寧に歌い上げ、スウィング感に満ちた心地よい演奏が展開されます[10]。ソロは主にピーターソンのみで、しかも1コーラス程度に抑えられており、楽曲の持つ魅力を最大限に引き出しています[10]。
2. トリオの一体感と緻密なアンサンブル
レイ・ブラウンの力強くクリエイティブなベース、エド・シグペンの繊細かつリズミカルなブラシワークが、ピーターソンのピアノを支えます。三者の連携は非常に緻密で、即興のやり取りや細やかなニュアンスが随所に感じられます[2][3][7]。
3. サウンド・プロダクション
Verveレーベルならではの高音質録音で、ピアノ、ベース、ドラムそれぞれの音がクリアに分離して聴こえます。特に初期盤やオーディオファイル向け再発盤では、楽器の定位や生々しさが際立ち、アナログ・サウンドの温かみも評価されています[3][6][8]。
4. 多彩な楽曲構成
収録曲は「Quiet Nights of Quiet Stars（Corcovado）」「The Girl from Ipanema」などのボサノヴァや、「The Days of Wine and Roses」「People」といった映画やミュージカルの名曲、そしてピーターソン自身のオリジナル「Goodbye J.D.」までバラエティ豊かです[1][2][10]。
代表的な楽曲
Side 1
- Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)
- The Days of Wine and Roses
- My One and Only Love
- People
- Have You Met Miss Jones?
Side 2
- You Look Good to Me
- The Girl from Ipanema
- D & E
- Time and Again
- Goodbye J.D.[1][10]
制作時のエピソード
本作はニューヨークのRCAスタジオで録音され、1964年10月19日～11月20日の間にセッションが行われました[1]。プロデューサーはジム・デイヴィス（Jim Davis）、エンジニアはヴァル・ヴァレンティン（Val Valentin）とボブ・シンプソン（Bob Simpson）です[1][4]。このアルバムはピーターソンが14年間在籍したVerveレーベルでの最後のスタジオ録音でもあり、トリオとしての集大成的な意味合いも持っています[1][7]。
録音技術面でも特徴があり、初期のLPでは楽器ごとの定位が明確で、ピアノが中央、ベースとドラムが左右に配置されるミキシングがなされています。リマスターやSACD再発時には、オリジナルの3トラック・マスターを活かした高音質化が図られています[3][8]。
発表時の反響と評価
リリース当初から高い評価を受け、ジャズ・ピアノ・トリオの名盤として世界中で愛されてきました[1][7][10]。特にピーターソンのテクニック、トリオの一体感、そしてリスナーに寄り添う選曲が多くのファンや評論家に支持されています[2][3][7]。録音のクオリティも時代を超えて評価されており、オーディオファイル向け再発盤も人気です[3][5][6]。
また、収録曲の多くがジャズ・スタンダードとして定着し、ピアノ・トリオの演奏スタイルにおける「お手本」として、多くの後進ミュージシャンに影響を与えました[7]。
特筆すべきこと
- ピーターソン・トリオの黄金時代を象徴する一枚であり、Verveレーベルでの最後のスタジオ録音[1][7]。
- ジャズ初心者から上級者まで幅広く楽しめる親しみやすさと芸術性の高さ[7][10]。
- 録音・ミキシング技術の高さから、オーディオファイル向けの再発が繰り返されている[3][6][8]。
- ピアノ・トリオのアンサンブル美、メロディ重視のアプローチ、そしてスタンダード曲の新たな解釈が詰まった名盤。
まとめ
『We Get Requests』は、オスカー・ピーターソン・トリオの完成度の高い演奏と、親しみやすい選曲、優れた録音技術が融合した、ジャズ史に残る名盤です。ピーターソンのピアノ、ブラウンのベース、シグペンのドラムが三位一体となり、聴く者に新たな感動を与え続けています[1][2][3][7][10]。
Citations:
- https://en.wikipedia.org/wiki/We_Get_Requests
- https://www.audaud.com/the-oscar-peterson-trio-we-get-requests-universal-music-group/
- https://www.soundstageultra.com/index.php/features-menu/recording-of-the-month-menu/254-the-oscar-peterson-trio-qwe-get-requestsq
- https://www.discogs.com/release/5965899-The-Oscar-Peterson-Trio-We-Get-Requests
- https://www.catfish-records.jp/product/30841
- https://www.analogplanet.com/content/oscar-peterson-trios-180g-1lp-we-get-requests-impresses-featuring-unstoppable-three-piece
- https://jazzfan.jp/?p=7333
- https://www.project-audio.com/en/product/the-oscar-peterson-trio-we-get-requests/
- https://www.discogs.com/release/24235580-The-Oscar-Peterson-Trio-We-Get-Requests
- https://tororopizza.com/we-get-requests-oscar-peterson/
- https://www.kinginternational.co.jp/genre/ele-700195
- https://blog.goo.ne.jp/kotobuki_analog/e/1b038ab7d96003a3f0775512a1afc071
- https://rockcerezo.blog.fc2.com/blog-entry-215.html
- https://recordings.burmester.de/products/oscar-peterson-trio-we-get-requests
- https://search.rakuten.co.jp/search/mall/oscar+peterson+we+get+request/
- https://www.waxpend.com/items/14105?page=322
- https://www.instagram.com/elemental_music_records/reel/C2Ns7dRtRpn/?next=%2Fp%2FCrhAeqpPeC6%2F
- https://tower.jp/item/4894393
- https://tower.jp/item/3001128
- https://www.reddit.com/r/Jazz/comments/3zarcv/week_134_oscar_peterson_trio_we_get_requests_1964/
- https://music.apple.com/jp/album/we-get-requests/1443078246
- https://www.discogs.com/release/3928907-The-Oscar-Peterson-Trio-We-Get-Requests
- https://voxmusicweb.com/products/oscar-peterson-we-get-requests-v6-8607
