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リー・モーガン『ヒアズ・リー・モーガン』

リー・モーガン『ヒアズ・リー・モーガン』
リー・モーガン(Lee Morgan)『ヒアズ・リー・モーガン』(Here's Lee Morgan)

Lee Morgan(リー・モーガン)のアルバム『Here's Lee Morgan』(ヒアズ・リー・モーガン)は、1960年2月8日にニューヨークのBell Sound Studio Bで録音され、Vee-Jay(ヴィージェイ)レーベルからリリースされたハードバップの名作です[1]。

『ヒアズ・リー・モーガン』のコンセプトと制作背景

『ヒアズ・リー・モーガン』は、当時21歳にして既に“ベテラン”とも評されたリー・モーガンが、ブルーノートと並ぶ水準の音質と演奏で独自のハードバップ像を鮮烈に打ち出したアルバムです。制作の狙いは、従来のブルーノート的文法に依存せず、より自由かつ熱量の高いバンドサウンドを打ち立てることでした。Vee-Jayレーベルは「ブルーノート品質」のLPを目指しつつも、マイルス・デイヴィスの成功モデルを踏襲しつつ新味を加えたのが特徴です[2]。

音楽性とサウンドの特徴

このアルバムはハードバップの王道を行きながらも、モーガンのブリリアントかつ力強いトランペットと、クリフォード・ジョーダンの堂々たるテナーの組み合わせが既成の枠を越えて開放的かつ豪快に響くのが印象的です。ウィントン・ケリー(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、アート・ブレイキー(ドラムス)という一流どころが脇を固め、アンサンブルもソロもスリリングかつ温かみのある音色で展開します。リマスター音源ではレコーディングの鮮明さと生々しい力感がさらに際立ちます[1]。

収録曲は「Terrible “T”」「Mogie」「Bess」のモーガン作や、ウェイン・ショーター作「Running Brook」、ミルト・ジャクソン作「Off Spring」、バラード「I'm a Fool to Want You」など多彩です[2]。

参加ミュージシャン

  • リー・モーガン(Lee Morgan):トランペット
  • クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan):テナー・サックス
  • ウィントン・ケリー(Wynton Kelly):ピアノ
  • ポール・チェンバース(Paul Chambers):ベース
  • アート・ブレイキー(Art Blakey):ドラムス

この顔ぶれは当時のジャズ・メッセンジャーズやマイルス・クインテットをほうふつさせ、まさにオールスター仕様と言えるでしょう[2]。

制作時のエピソード

録音プロデューサーはSid McCoy(シド・マッコイ)で、このセッションのエンジニアは詳細不明ながら、卓越した録音技術でバンド本来の熱気や躍動感を見事にパッケージしています。また、アート・ブレイキーは通常ブルーノート所属でしたがゲスト起用されており、「貸し出し」的な扱いも話題となりました[2]。

発表時の反響

AllmusicのScott Yanowは「モーガンがクリフォード・ブラウン流を自らの急速なスタイルへと発展させた」「完成度の高いハードバップ」と評価し、ペンギン・ガイド・トゥ・ジャズでも高評価を受けています。リリース時には新次元のハードバップとして注目され、ブルーノート盤と遜色ないサウンドに加えて熱量と自由度の高さが絶賛されました[2]。

特筆すべき点

  • 本作は当時のブルーノート的フォーマットからの解放を感じさせ、ソロもアンサンブルもより自由で鋭い[1]。
  • 収録メンバーはその後のモダン・ジャズ史を彩る巨人で、「ジャズ・メッセンジャーズ的フレーバー」を残しつつも独自色が強い[2]。
  • 近年も180グラム重量盤やリマスター音源などで再評価が進み、マニアにも広く支持されている[1]。

『Here's Lee Morgan』は、若きリー・モーガンのリーダー作品としても、また1960年代ハードバップの転換点を示す傑作としても重要な位置を占めています。

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  4. https://www.ne.jp/asahi/for-rock-listener/jazz-guide/CCP010.html
  5. http://tensionnote.seesaa.net/article/318611971.html
  6. https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009036552
  7. https://jazzjournal.co.uk/2020/04/02/lee-morgan-heres-lee-morgan/
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  14. https://aoki.sub.jp/musician_m_l_lee_morgan.html
  15. https://music.apple.com/jp/album/heres-lee-morgan-bonus-track-version/1443216061
  16. https://dgmono.com/tag/lee-morgan/
  17. https://www.reddit.com/r/Jazz/comments/1htk3k6/lee_morgan_the_complete_blue_note_lee_morgan/
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