
Depeche Mode(デペッシュ・モード)の7枚目のスタジオアルバム『Violator』(ヴァイオレーター)は、バンドのキャリアにおける重要な転換点となった作品です。1990年3月19日にMute Recordsからリリースされ、商業的にも批評的にも大成功を収めました[1][4]。
コンセプトと音楽性
『ヴァイオレーター』は、シンセポップ、エレクトロポップ、オルタナティブロック、ダンス、ゴシックロックなど、様々なジャンルの要素を融合させた作品です[1]。アルバムのサウンドは、従来のデペッシュ・モードの電子音楽的なアプローチに、より多くのライブ楽器や新しい制作技術を取り入れることで進化を遂げました[2][6]。
特筆すべき特徴として:
- ドラムループの多用
- アコースティックギターの導入(特に「Personal Jesus」)
- より洗練されたプロダクション
- ダークで官能的な雰囲気
制作プロセス
アルバムの制作は1989年から1990年にかけて行われ、イタリアのミラノ、デンマークのPUKスタジオ、ロンドンのThe Churchスタジオで録音されました[6]。
制作時の主なエピソード:
- マーティン・ゴアは、いつものように完成された曲を披露するのではなく、スタジオでバンドが仕上げられるよう、よりシンプルなトラックを制作するようデモのアプローチを変えた[3]。
- プロデューサーのフラッドが加わり、新鮮な視点をもたらした[6]。
- 「Enjoy The Silence」は当初、ゆっくりとしたバラード曲だったが、アラン・ワイルダーの提案で大幅にアレンジが変更された[2]。
参加ミュージシャン
- デイヴ・ガーン(Dave Gahan):ボーカル
- マーティン・ゴア(Martin Gore):キーボード、ギター、ボーカル
- アンディ・フレッチャー(Andrew Fletcher):キーボード
- アラン・ワイルダー(Alan Wilder):キーボード、ドラムプログラミング
プロデューサーとしてフラッド(マーク・エリス・Mark Ellis)、ミキシングエンジニアとしてフランソワ・ケヴォーキアンが参加[6]。
反響と評価
『ヴァイオレーター』は発売と同時に大きな反響を呼び、バンドの代表作となりました。イギリスのアルバムチャートで2位、アメリカのBillboard 200で7位を記録し、デペッシュ・モードにとって初のトップ10入りアルバムとなりました[6]。
批評家からも高い評価を受け、Melody Maker誌は「デペッシュ・モードの最も魅力的な作品」と称賛[1]。後年、Q誌やRolling Stone誌などの音楽誌で「史上最高のアルバム」リストに選出されています[6]。
ジャケットデザイン
アルバムカバーは、アントン・コービンによるミニマルなデザインが特徴的です。赤いバラを黒い背景に配置し、「Violator」というタイトルを添えたシンプルながら印象的なアートワークは、アルバムの雰囲気を見事に表現しています[7][10]。

トラックリスト
- World In My Eyes
- Sweetest Perfection
- Personal Jesus
- Halo
- Waiting for the Night
- Enjoy the Silence
- Policy of Truth
- Blue Dress
- Clean
特筆すべき点
- 「Personal Jesus」や「Enjoy The Silence」など、バンドを代表する楽曲を収録。
- 電子音楽とロックの融合を成功させ、90年代の音楽シーンに大きな影響を与えた。
- アルバムのサウンドと視覚的イメージの一貫性が高く評価された。
- バンドのグローバルな人気を決定的なものにした作品。
『ヴァイオレーター』は、デペッシュ・モードのキャリアにおける頂点であり、電子音楽の歴史に残る重要な作品として今なお高く評価されています[1][4]。
アルバムレヴュー
おもいっきり内省的でダークでエレクトリックなアルバムです。
デペッシュ・モードはイギリスの3人組のグループで日本ではあまり、パッとしませんが海外では結構、評価も高く、その集客力はスタジアムクラスといわれています。
「デペッシュ・モード」というバンド名は、フランスのファッション雑誌『Dépêche mode』からとったとウィキペディアにはありました。
その、アーティスティックな雰囲気の曲調からファッションショーとかアート系のイベントでもよく使われたりとその筋の人たちからも結構、リスペクトされているバンドです。
このアルバムを聴いても、決して気持ちが晴れやかになることはないのですが、なぜか、引き込まれるのですね。
CDを購入したのはもうずいぶん以前ですが、購入当時はヘビーローテーションで聴いていた記憶があります。
このアルバムの中に「Personal Jesus」という、おもいっきり宗教っぽいな曲(何せ「自分のためのジーザス」というタイトルですから)があるのですが、むかし、カントリー歌手のジョニー・キャッシュがアコースティックギター一本でこの曲をカバーしてるのを聴いたときは、ちょっとぶっ飛びました。
作詞者のマーティン・ゴアは、この曲のことを「誰かにとってのイエス、つまり希望と精神的な支えを与える存在になることについての曲」と説明しています。
考えてみれば、アメリカの中部はかなりキリスト教色の強い土地柄なので、こういうのもありえるなと…。
ちなみに、この曲はマリリン・マンソンもカバーしています。
個人的にはアメリカやイギリスでトップ10に入った6曲目の「Enjoy the Silence」が好きですが、基本的には捨て曲のない完成度の高いアルバムです。
暗い音楽なのは間違いないのですが、妙なカタルシスがあります。
沈んだ気分のときに暗い音楽を聴くのもどうかと思いますが、不思議と開放された感? があります。
ZZトップのメンバー(ビリー・ギボンズだったような…?)も、最も好きなアルバムに選んでいた記事も目にしたことがあります。
Citations:
[1] https://en.wikipedia.org/wiki/Violator_(album)
[2] http://www.recoil.co.uk/evidence/qa-vault/qa-depeche-mode/qa-depeche-mode-violator/
[3] https://www.xsnoize.com/depeche-modes-violator-turns-30/
[4] https://everythingisnoise.net/features/a-scene-in-retrospect-depeche-mode-violator/
[5] https://alternativealbumsblog.wordpress.com/2020/04/01/albums-re-imagined-violator-by-depeche-mode/
[6] https://dmlive.wiki/wiki/Violator
[7] http://almostpredictablealmost1.blogspot.com/2020/03/the-violator-artwork.html
[8] https://www.rollingstone.com/music/music-features/black-celebration-depeche-mode-look-back-on-violator-25-years-later-173476/
[9] https://www.acontrolroomofonesown.com/depeche-mode-violator/
[10] https://www.classicpopmag.com/2021/06/the-cover-art-of-depeche-mode/