
『Shadows and Light』(シャドウズ・アンド・ライト)は、カナダ出身のシンガーソングライター、Joni Mitchell(ジョニ・ミッチェル)の2枚目のライブアルバムです。1979年9月にカリフォルニア州サンタバーバラのサンタバーバラ・カウンティ・ボウルで録音され、1980年9月にAsylum Recordsからリリースされました[1][3]。
コンセプトと音楽性
このアルバムは、ミッチェルの1970年代中期から後期にかけての実験的な作品群を集大成したものと言えます。タイトルの「Shadows and Light」(影と光)は、人生における二元性や対比を表現しており、アルバム全体を通してこのテーマが探求されています[1][29]。
音楽的には、フォークからジャズ・フュージョンへと移行したミッチェルの芸術的頂点を捉えています。アコースティックギターやピアノに代わり、エレクトリックギターや複雑なジャズ的アレンジが特徴的です[25][28]。
サウンドの特徴
『シャドウズ・アンド・ライト』は、スタジオ録音とは一線を画す生々しいライブ感と、高度な演奏技術が融合した独特のサウンドを持っています。ミッチェルの伸びやかなボーカルを中心に、ジャコ・パストリアスの唸るようなベース、パット・メセニーの鳴り響くギター、マイケル・ブレッカーのサックス、ライル・メイズのキーボードが絶妙に絡み合い、自由度の高いジャム・セッション的な演奏を展開しています[2][28]。
参加ミュージシャン
ミッチェルは当時最高峰のジャズ・フュージョン・ミュージシャンを集めました[3]:
- ジョニ・ミッチェル (Joni Mitchell):ボーカル、エレクトリックギター
- パット・メセニー(Pat Metheny):リードギター
- ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius):エレクトリックベース
- ドン・エイリアス(Don Alias):ドラムス、パーカッション
- ライル・メイズ(Lyle Mays):キーボード
- マイケル・ブレッカー(Michael Brecker):サックス
- ザ・パースエイジョンズ (The Persuasions):バックコーラス
制作時のエピソード
このアルバムは、ミッチェルの『Mingus』ツアーの一環として録音されました。チャールズ・ミンガスとの共同作業をきっかけに、ミッチェルはより深くジャズの世界に踏み込んでいました[31]。
ジャコ・パストリアスはツアーの音楽監督を務めていましたが、コカインとアルコール依存症に苦しんでおり、リハーサルに遅刻したり欠席したりすることがあったそうです[32]。
発表時の反響
『シャドウズ・アンド・ライト』は、批評家から概ね好意的に受け入れられました。ローリングストーン誌のスティーブン・ホールデンは「驚きと勝利」と評し、「数少ない偉大なライブロックアルバムの1つ」と称賛しました[24]。
一方で、AllMusicのヴィク・アイエンガーは、スタジオ版と比べてエネルギッシュな演奏を評価しつつも、オリジナルとあまり変わらない曲もあると指摘しています[20]。

特筆すべき点
- ミッチェルのジャズ志向の集大成として、彼女の音楽的進化を如実に示しています[6]。
- ライブ録音でありながら、音質の良さが際立っています。エンジニアのアンディ・ジョンズとバーニー・グランドマンの功績が大きいでしょう[25]。
- DVDも発売されており、ライブ映像と共に楽しむことができます[25]。
- タイトル曲「Shadows and Light」は、ミッチェルの哲学的な世界観を凝縮した曲として評価されています[24][29]。
『シャドウズ・アンド・ライト』は、ジョニ・ミッチェルの芸術性と音楽性が最高潮に達した瞬間を捉えた、彼女のキャリアにおいて重要な位置を占めるアルバムと言えるでしょう。

Citations:
[1] https://jonimitchell.com/library/view.cfm?id=563
[2] https://jonimitchell.com/library/view.cfm?id=4668
[3] https://en.wikipedia.org/wiki/Shadows_and_Light_(Joni_Mitchell_album)
[4] https://jonimitchell.com/library/view.cfm?id=3687
[5] https://nowspinning.co.uk/joni-mitchell-shadows-and-light-classical-album-review/
[6] https://www.opb.org/article/2024/05/03/records-we-love-jazz-joni-mitchell-shadows-and-lights-nicole-damato/
[7] https://jacopastorius.com/music/shadows-and-light/
[8] https://en.wikipedia.org/wiki/Shadows_and_Light_(Joni_Mitchell_album)
[9] https://www.thisisdig.com/feature/shadows-and-light-joni-mitchell-album-story/
[10] https://www.discogs.com/release/6455954-Joni-Mitchell-Shadows-And-Light
[11] https://en.wikipedia.org/wiki/Joni_Mitchell
[12] https://www.ageofaudio.com/en/?p=4916
[13] https://songsfromsodeep.wordpress.com/2020/01/05/more-live-gonzos-part-1-shadows-and-light-joni-mitchell/
[14] https://www.roughtrade.com/en-de/product/joni-mitchell/shadows-and-light
[15] https://jonimitchell.com/music/album.cfm?id=13
[16] https://diskunion.net/rock/ct/detail/1008892610
[17] https://www.reddit.com/r/Jazz/comments/xudqeu/joni_mitchell_jaco_pastorius_pat_metheny_michael/
[18] https://diskunion.net/rock/ct/detail/1008904207
[19] https://www.discogs.com/release/2660459-Joni-Mitchell-Shadows-And-Light
[20] https://www.allaboutjazz.com/album/shadows-and-light-joni-mitchell/
[21] https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/b/b3/Joni_Shadows.jpg?sa=X&ved=2ahUKEwiauOnWr-qKAxWxJUQIHbHrJ4YQ_B16BAgGEAI
[22] https://variety.com/2024/music/news/joni-mitchell-boxed-set-archives-vol-4-jazz-1970s-outtakes-1236100430/
[23] https://www.somegreatreward.scot/joni-mitchell-shadows-and-light
[24] https://jonimitchell.com/library/view.cfm?id=289
[25] https://nowspinning.co.uk/joni-mitchell-shadows-and-light-classical-album-review/
[26] https://www.economist.com/prospero/2020/08/27/joni-mitchells-shadows-and-light-at-40
[27] https://www.davegott.com/music/artist/joni_mitchell/
[28] https://ontherecord.co/2024/06/18/joni-mitchell-shadows-and-light/
[29] https://jonimitchell.com/library/view.cfm?id=563
[30] https://music.apple.com/us/album/shadows-and-light-live/396470322
[31] https://jacopastorius.com/music/musician/joni-mitchell/
[32] https://www.imdb.com/title/tt0146269/
[33] https://www.rhino.com/aod/shadows-and-light-joni-mitchell