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The B-52's『禁断の惑星』

The B-52's『禁断の惑星』
The B-52's 『禁断の惑星』(Wild Planet)

The B-52'sのアルバム『Wild Planet』(禁断の惑星)は、1980年8月27日にリリースされた彼らの2作目のスタジオアルバムであり、デビュー作『The B-52's』に続く重要な作品です。このアルバムは、ポストパンクやニューウェーブの要素を取り入れた独自のサウンドで、バンドの特徴的なスタイルをさらに発展させました。

コンセプトと音楽性

『禁断の惑星』は、The B-52'sが持つユニークな音楽的要素をさらに洗練させた作品です。デビュー作と同様に、サーフロック、ガレージロック、50年代のガールグループ風のコーラス、新鮮なダンスビートが融合していますが、本作ではその要素がより一貫性を持ち、緻密に構成されています[2][3]。特に、「Private Idaho」や「Party Out of Bounds」といったトラックでは、彼ら特有の風刺的で遊び心あふれる歌詞とエネルギッシュなビートが際立っています[3][9]。

また、本作ではユーモアとキッチュ(俗悪さ)を強調しながらも、それを単なるアイロニーとしてではなく、一種の芸術として昇華させています[2][5]。例えば、「Quiche Lorraine」ではユーモラスな歌詞とともに不気味さを感じさせる音楽構成が特徴的です。また、「Give Me Back My Man」はシンディ・ウィルソンによる感情豊かなボーカルが際立ち、バンドの感傷的な一面を垣間見せます[2][3]。

サウンドの特徴

アルバム全体は非常に「パンチが効いている」と評されることが多く、そのサウンドは滑らかで自然ながらもエネルギッシュです[1]。プロデュースにはRhett Daviesが参加し、前作よりも洗練された音質とプロダクションが実現しました[7][10]。特にリズムセクションやギターリフはダンサブルでありながらも力強く、「53 Miles West of Venus」のようなインストゥルメンタル曲ではサイケデリックな要素も感じられます[6][9]。

制作背景

『禁断の惑星』は、バハマのコンパス・ポイント・スタジオで録音されました。このスタジオは前作でも使用されており、バンドはそのライブ感を重視した録音手法を再び採用しました[4][7]。収録曲の多くは1978年からライブで演奏されていたものであり、それらを意図的にデビュー作には収録せず、本作で披露することでファンの期待感を高める戦略が取られました[7][10]。

参加ミュージシャン

The B-52'sのオリジナルメンバーであるフレッド・シュナイダー(Fred Schneider、ボーカル)、ケイト・ピアソン(Kate Pierson、ボーカル/キーボード)、シンディ・ウィルソン(Cindy Wilson、ボーカル/パーカッション)、リッキー・ウィルソン(Ricky Wilson、ギター)、キース・ストリックランド(Keith Strickland、ドラムス)が引き続き中心となっています。本作でも彼らの個性的なボーカルハーモニーや演奏技術が存分に発揮されています[4][5]。

発表時の反響

『禁断の惑星』は商業的にも成功を収め、『Billboard 200』で最高18位にランクインし、ゴールドディスクにも認定されました[9][10]。また、「Private Idaho」などのシングル曲はダンスチャートでも好成績を収めています。一方で、一部の批評家からは前作ほどの革新性には欠けるとの指摘もありましたが、多くの場合、その完成度と楽曲の質が高く評価されています[9]。

特筆すべき点

  • ライブ感重視: 前作同様にライブパフォーマンスを意識した録音手法が取られています。
  • ダンスミュージックへの影響: ポストパンクやニューウェーブというジャンルにおいて、ダンス可能な要素を強調した点は特筆すべきです[3]。
  • ユーモアと芸術性: ユーモラスで風刺的な歌詞と、それを支える高度な音楽構成が融合しています。

『禁断の惑星』(Wild Planet)はThe B-52'sが「世界最高のパーティーバンド」として認知されるきっかけとなった重要な作品であり、その後のキャリアにも大きな影響を与えたアルバムです。

Citations:
[1] https://ontherecord.co/2021/10/01/the-b-52s-wild-planet-our-shootout-winner-from-2016/
[2] https://spectrumculture.com/2018/10/22/revisit-the-b-52s-the-b-52s-wild-planet/
[3] https://www.udiscovermusic.com/stories/b52s-wild-planet-album/
[4] https://en.wikipedia.org/wiki/The_B-52s
[5] https://mofi.com/products/mofi1-014_the_b-52s_wild_planet_lp
[6] https://postpunkmonk.com/2018/11/20/record-review-b-52s-wild-planet/
[7] https://www.last.fm/music/The+B-52's/Wild+Planet
[8] http://only-solitaire.blogspot.com/2012/07/the-b-52s-wild-planet.html
[9] https://en.wikipedia.org/wiki/Wild_Planet
[10] https://www.rhino.com/article/august-1980-the-b-52s-release-wild-planet

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