ロックサイケデリック・ロック

ザ・ドアーズ『太陽を待ちながら』

十六夜亭
ザ・ドアーズ『太陽を待ちながら』
ドアーズ（The Doors）『太陽を待ちながら』（Waiting for the Sun）
共有：

『Waiting for the Sun』（邦題：太陽を待ちながら）は、アメリカのロックバンド、The Doors（ザ・ドアーズ）の3枚目のスタジオアルバムで、1968年7月3日にElektra Recordsからリリースされました。このアルバムは、バンドにとって唯一のビルボード200チャート1位を獲得し、4週間にわたってトップの座を維持しました[3]。

『Waiting for the Sun』（邦題：太陽を待ちながら）のコンセプトと音楽性

『Waiting for the Sun』は、The Doorsの音楽性の多様化を示すアルバムとなりました。バンドは従来のサイケデリックロックやブルースロックの要素に加え、ジャズ、フラメンコ、クラシック音楽の影響を取り入れ、より幅広いサウンドを追求しました[2]。

特筆すべき特徴として：

  1. フラメンコギターの使用（「Spanish Caravan」）[3]
  2. 軍事的テーマの曲（「Five to One」、「The Unknown Soldier」）[3]
  3. ポップ志向の曲（「Hello, I Love You」）[3]
  4. 内省的で雰囲気のある曲（「Yes, the River Knows」）[4]

制作時のエピソード

アルバムの制作は困難を極めました：

  1. 新曲の不足：前2作で多くの楽曲を使い切っていたため、新しい素材が不足していました[6]。
  2. ジム・モリソンの問題行動：アルコール依存が進み、スタジオに遅刻したり、現れなかったりすることがありました[6][7]。
  3. バンド内の緊張：ドラマーのジョン・デンスモアは一時バンドを脱退しましたが、1日後に復帰しています[7]。
  4. 完璧主義的なプロデュース：ポール・A・ロスチャイルドのプロデュースにより、多くのテイクを重ねることになりました[3]。

当初、18分の大作「The Celebration of the Lizard」を収録する予定でしたが、完成に至らず、その一部「Not to Touch the Earth」のみが収録されました[3]。

参加ミュージシャン

ザ・ドアーズ

  • ジム・モリソン（Jim Morrison）：ボーカル
  • レイ・マンザレク（Ray Manzarek）：キーボード
  • ロビー・クリーガー（Robby Krieger）：ギター
  • ジョン・デンズモア（John Densmore）：ドラムス

The Doorsのメンバー4人に加え、以下のミュージシャンが参加しています[3]：

  • ダグラス・ルーバーン（ベース）
  • ケリー・マグネス（「The Unknown Soldier」のベースギター）
  • リロイ・ヴィネガー（「Spanish Caravan」のアコースティックベース）
ドアーズ（The Doors）『太陽を待ちながら』（Waiting for the Sun）：ジャケットの見開き
ジャケットの見開き

トラック・リスト

Side 1

  1. ハロー・アイ・ラヴ・ユー（Hello, I Love You） - 2:22
  2. ラヴ・ストリート（Love Street） - 3:06
  3. 大地に触れずに（Not to Touch the Earth） - 3:54
  4. 夏は去りゆく（Summer's Almost Gone） - 3:20
  5. ウインタータイム・ラヴ（Wintertime Love） - 1:52
  6. 名もなき兵士（The Unknown Soldier） - 3:10

Side 2

  1. スパニッシュ・キャラバン（Spanish Caravan） - 2:58
  2. マイ・ワイルド・ラヴ（My Wild Love） - 2:50
  3. 一緒にいられたら（We Could Be So Good Together） - 2:20
  4. 川は知っている（Yes, the River Knows） - 2:35
  5. ファイヴ・トゥ・ワン（Five to One） - 4:22

発表時の反響と評価

発売当時、『太陽を待ちながら』は批評家から厳しい評価を受けました[5]。しかし、商業的には大成功を収め、アメリカでチャート1位を獲得し、イギリスでも初めてヒットしました[3]。

時を経て、このアルバムの評価は徐々に改善されています。多様性や実験的な要素が評価され、特に「Not to Touch the Earth」や「Five to One」などの曲は、バンドの代表作として認識されるようになりました[4][5]。

ドアーズ（The Doors）『太陽を待ちながら』（Waiting for the Sun）：ジャケットの裏面
ジャケットの裏面

特筆すべき点

  1. 「Hello, I Love You」がバンド2枚目の全米1位シングルとなりました[3]。
  2. アルバムジャケットの写真は、ドアーズと関係の深い写真家のポール・フェラーラ（Paul Ferrara）が撮影しました[3]。
  3. 「Spanish Caravan」では、クラシック曲「アストゥリアス」のメロディーを取り入れています[3]。
  4. 「Five to One」は、スタジオでのジャムセッションから生まれた曲です[7]。

『太陽を待ちながら』は、ザ・ドアーズの音楽的成長と挑戦を示すアルバムとして、バンドの歴史に重要な位置を占めています。困難な制作過程を経て完成したこのアルバムは、バンドの多様性と創造性を証明する作品となりました。

合わせて読みたい

Citations:

  1. https://ontherecord.co/2024/04/13/the-doors-waiting-for-the-sun/
  2. https://en.wikipedia.org/wiki/The_Doors
  3. https://en.wikipedia.org/wiki/Waiting_for_the_Sun
  4. https://brutallyhonestrockalbumreviews.wordpress.com/2022/07/05/album-review-the-doors-waiting-for-the-sun/
  5. https://www.classicrockreview.com/2013/11/1968-doors-waiting-for-the-sun/
  6. https://www.thisisdig.com/feature/waiting-for-the-sun-the-doors-album/
  7. https://onstagemagazine.com/backstory-doors-waiting-for-sun/
  8. https://www.allmusic.com/album/waiting-for-the-sun-mw0000193597
  9. https://peanutbutterpope.wordpress.com/2021/07/25/special-review-165-waiting-for-the-sun-the-doors-album-review/
  10. https://www.hmv.co.jp/en/artist_Doors_000000000003108/item_Waiting-For-The-Sun-Remastered-Rmt_9400820
  11. https://www.rollingstone.com/music/music-album-reviews/waiting-for-the-sun-190561/
  12. https://www.reddit.com/r/thedoors/comments/wadpef/the_doors_waiting_for_the_sun_mono_album/
  13. https://www.reddit.com/r/thedoors/comments/12n60nr/the_doors_being_photographed_for_the_album_cover/
  14. https://www.discogs.com/release/509488-The-Doors-Waiting-For-The-Sun
  15. https://www.youtube.com/watch?v=OUbmbU9QS4Y
  16. https://open.spotify.com/album/0qZTwrunzX3LG45PvRghmh
  17. https://www.progarchives.com/album.asp?id=13919
  18. https://www.reddit.com/r/thedoors/comments/rx0xdg/waiting_for_the_sun_could_have_been_the_perfect/
  19. https://music.apple.com/us/album/waiting-for-the-sun/1622361522
  20. https://www.reddit.com/r/thedoors/comments/p4mcop/is_it_known_why_waiting_for_the_sun_isnt_actually/
  21. https://www.discogs.com/master/45365-The-Doors-Waiting-For-The-Sun
  22. https://store.thedoors.com/cdn/shop/products/the_doors_-_1968_waiting_for_the_sun_800x.jpg?v=1536270745&sa=X&ved=2ahUKEwjypYiq4oOMAxWQlFYBHfljLX4Q_B16BAgFEAI
  23. https://musicbrainz.org/release/c459ebe3-b992-30bc-a040-24128fd297b4
  24. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E3%82%92%E5%BE%85%E3%81%A1%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%89
  25. https://www.discogs.com/ja/release/4087400-The-Doors-Waiting-For-The-Sun
  26. https://note.com/yuuichi2400/n/n6cad43ce629a
  27. https://www.soundfinder.jp/products/view/2488656/The_Doors__Waiting_For_The_Sun
  28. https://theseconddisc.com/2018/10/02/review-the-doors-waiting-for-the-sun-50th-anniversary-edition/
  29. https://www.songfacts.com/facts/the-doors/waiting-for-the-sun
  30. https://en.wikipedia.org/wiki/The_Doors_(album)
  31. https://en.wikipedia.org/wiki/Waiting_for_the_Sun_(The_Doors_song)
  32. https://www.reddit.com/r/thedoors/comments/tfxr3i/can_someone_please_explain_to_me_why_waiting_for/
  33. https://en.wikipedia.org/wiki/Legacy:_The_Absolute_Best
  34. https://note.com/krichards/n/na1c8b5a7dbdf
  35. https://www.youtube.com/watch?v=SvP9g3sBRRs
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