エヴリシング・バット・ザ・ガール『エデン』
Everything But the Girl（エヴリシング・バット・ザ・ガール）のデビューアルバム『Eden』（エデン）は、1984年6月4日にリリースされ、バンドの初期のサウンドと音楽性を確立した重要な作品です。
『Eden』（エデン）のコンセプトと音楽性
『Eden』は、ソフィスティケイテッドなポップサウンドと、ジャズやボサノバの影響を色濃く反映したアルバムです[1][6]。トレイシー・ソーンの特徴的なスモーキーなボーカルと、ベン・ワットの繊細なアコースティックギターワークが、アルバム全体を通して際立っています[6]。
バンドは、ロックのクリシェを避け、ソフトなホーン、グレッチギター、ラテン的要素を取り入れた軽やかなタッチの音楽を目指しました[3]。ポップ、ラテン、トーチソング、鋭い歌詞などを融合させた独自のサウンドを追求しています。
制作エピソード
アルバムは、ロビン・ミラー（Robin Millar）をプロデューサーに迎え、ロンドン北西部のウィルズデンにあるパワープラントスタジオで録音されました[3]。ソーンとワットは、当時ハルの大学で1つの部屋に住んでおり、全ての曲をそこでギターを使って作曲しました[3]。
録音セッションには、バンドが厳選したミュージシャンが参加しています。サイモン・ブース（セカンドギター）、チャールズ・ヘイワード（ドラムス）、チュチョ・メルチャン（ダブルベース）、ボスコ・ドリベイラ（パーカッション）に加え、イギリスのジャズシーンから一流のホーン奏者たちが集められました[3]。
サウンドの特徴
『Eden』は、60年代風のポップへのオマージュとも言える作品で、キャッチーなメロディと典型的なEBTGの歌詞が特徴です[1]。オープニング曲「Each and Everyone」は、トランペットが印象的なブリージーなボサノバで、蒸し暑いラテンの夜を想起させます[1]。
アルバム全体を通して、ジャズやボサノバの影響が強く感じられ、アストラッド・ジルベルトを思わせるような雰囲気があります[1][10]。しかし、メランコリックな歌詞とボサノバ調のアレンジのアイロニックなコントラストが、独自の魅力を生み出しています[1]。
パーソネル
エヴリシング・バット・ザ・ガール
- トレイシー・ソーン（Tracey Thorn）：ボーカル、アコースティックギター
- ベン・ワット（Ben Watt）：ギター、ボーカル、ハモンドオルガン、ピアノ、ホーンアレンジ
ゲスト・ミュージシャン
- サイモン・ブース（Simon Booth）：ギター
- ジョアン・ボスコ・デ・オリベイラ（Joao Bosco De Oliveira）：パーカッション
- チャールズ・ヘイワード（Charles Hayward）：ドラムス
- チューチョ・メルチャン（Chucho Merchán）：ダブル・ベース
- ディック・ピアース（Dick Pearce）：フリューゲルホルン
- ナイジェル・ナッシュ（Nigel Nash）：テナーサックス
- ピート・キング（Pete King）：アルトサックス
発表時の反響と評価
『Eden』は、発売後すぐに批評家から高い評価を受けました。NMEは1984年の「年間ベストアルバム」で20位にランクインさせています[2]。商業的にも成功を収め、イギリスのオフィシャルアルバムチャートで14位を記録し、約6ヶ月間チャートインしました[3]。
アルバムからリリースされたシングル「Each and Every One」は、UKシングルチャートで28位を記録しています[2][10]。『Eden』は最終的にイギリスでゴールドディスクを獲得し、全世界で50万枚以上を売り上げる大ヒットとなりました[2][3]。
特筆すべき点
『Eden』は、Everything But the Girlの初期キャリアを象徴する作品として、多くのファンに愛されています[10]。アルバムは、当時のポップミュージックやMTVの主流から離れた、落ち着いたサウンドを求めていたリスナーにとって、重要な存在となりました[10]。
トレイシー・ソーンは後年、『Eden』について「30年近く前の作品で、その間に多くのことが起こった。まるで別人の声を聴いているような気がする」と振り返っています[10]。ベン・ワットも「激しい青年期の精神で録音された」と当時を回想し、アルバムが持つ若々しいエネルギーを強調しています[10]。
『Eden』は、Everything But the Girlの独自のスタイルを確立し、その後のキャリアの基礎となった重要なアルバムとして、今も高く評価され続けています。
Citations:
[1] https://theseconddisc.com/2012/06/18/review-deluxe-editions-from-everything-but-the-girl/
[2] https://en.wikipedia.org/wiki/Eden_(Everything_but_the_Girl_album)
[3] https://www.piccadillyrecords.com/140439/Everything-But-The-Girl-Eden-Half-Speed-Remastered-Edition-Buzzin-Fly
[4] https://www.mojo4music.com/articles/new-music/everything-but-the-girl-reviewed/
[5] https://ebtg.com/about/
[6] https://lesterthenightfly.com/2023/09/24/everything-but-the-girl-s3-e146/
[7] https://trouserpress.com/reviews/everything-but-the-girl/
[8] https://en.wikipedia.org/wiki/Everything_but_the_Girl
[9] https://www.discogs.com/release/18077614-Everything-But-The-Girl-Eden
[10] https://albumism.com/features/everything-but-the-girl-debut-album-eden-album-anniversary
