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ジュディ・コリンズ『パンと薔薇の人生』

ジュディ・コリンズ『パンと薔薇の人生』
ジュディ・コリンズ(Judith Collins)『ブレッド・アンド・ローズ』(Bread and Roses)

Judith Collins(ジュディ・コリンズ)の1976年発表のアルバム『Bread and Roses』(邦題:パンと薔薇の人生)は、彼女のキャリアにおいて重要な作品の一つです。このアルバムは、フォークミュージックの伝統を継承しつつ、より幅広いジャンルの音楽性を取り入れた意欲作となっています。

『パンと薔薇の人生』のコンセプト

『Bread and Roses』(ブレッド・アンド・ローズ)というタイトルは、1912年にマサチューセッツ州ローレンスで起きた繊維労働者のストライキで使用されたスローガンに由来しています[1]。このスローガンは、労働者の権利と尊厳を象徴するものとして知られており、アルバムのテーマとして採用されました。コリンズは、このアルバムを通じて社会正義や人権といった重要な問題に光を当てようとしたと考えられます。

音楽性とサウンドの特徴

『パンと薔薇の人生』は、コリンズの従来のフォークスタイルを基調としながらも、より洗練されたアレンジと多様な楽器を取り入れた作品となっています。アルバムには、フォーク、ポップ、ジャズ、クラシカルな要素が融合されており、コリンズの美しい声を引き立てる豊かなサウンドスケープが特徴です[3]。

特筆すべき点として、プロデューサーのアリフ・マーディン(Arif Mardin)による洗練されたプロダクションが挙げられます。マーディンは、オーケストラアレンジメントを効果的に用いることで、コリンズの声の魅力を最大限に引き出しています[1]。

主な参加ミュージシャン

アルバムには多くの優れたミュージシャンが参加しています。これらのミュージシャンの参加により、アルバムの音楽性がより深みと多様性を増しています。

  • ジュディ・コリンズ(Judy Collins):ギター、キーボード、ヴォーカル
  • トニー・レヴィン(Tony Levin):ベース
  • スティーヴ・ガッド(Steve Gadd):ドラム
  • デイヴィッド・サンボーン(David Sanborn):サックス
  • ヒュー・マクラッケン(Hugh McCracken)、ジェイ・バーリナー(Jay Berliner)、マーク・ドイル(Mark Doyle):ギター
  • ルーサー・ヴァンドロス(Luther Vandross):コーラス/この時期、彼の初期参加作品でもある)
  • ほか、豪華なリズムセクションやオーケストラ奏者が多数参加。

トラックリスト

Side 1

  1. Bread And Roses - (3:05)
  2. Everything Must Change - (4:25)
  3. Special Delivery - (3:55)
  4. Out Of Control - (3:00)
  5. Plegaria A Un Labrador - (4:04)

Side 2

  1. Come Down In Time - (3:23)
  2. Spanish Is The Loving Tongue - (4:32)
  3. I Didn't Know About You - (3:29)
  4. Take This Longing - (5:25)
  5. Love Hurts - (3:17)
  6. Marjorie - (0:43)
  7. King David - (4:27)

収録曲と特筆すべき楽曲

アルバムには12曲が収録されており、タイトル曲「ブレッド・アンド・ローズ」をはじめ、多様なスタイルの楽曲が含まれています[3]。特に注目すべき曲として以下が挙げられます:

  1. 「Bread and Roses」:1912年の米国女性労働者のストライキで知られるジェームズ・オッペンハイム(James Oppenheim)の詩に基づいた曲で、ミミ・ファリーナ(Mimi Fariña)が作曲しました[25]。この曲は単なる物質的な豊かさ(パン)だけでなく、人間の尊厳・芸術・愛(薔薇)も求めるというメッセージを持っており、アルバム全体を通して社会正義・平和・労働者と女性の権利への強い共感が語られています。
  2. 「Special Delivery」:ビリー・マーニット(Billy Mernit)によって書かれたソフトロック調の曲で、1970年代のポップミュージックの影響が感じられます[3]。
  3. 「Come Down in Time」:エルトン・ジョン(Elton John)とバーニー・トーピン(Bernie Taupin)によって書かれた曲のカバーで、コリンズの解釈が加えられています[3]。

制作時のエピソード

アルバムは有名プロデューサー、アリフ・マーディンによってプロデュースされ、録音監督にはフィル・ラモーン(Phil Ramone)が参加しました。タイトル曲「Bread and Roses」は初めコリンズのアカペラによって始まり、一分過ぎからバンドとコーラスが加わるアレンジが秀逸です。録音では『King David』のセッションにて8人のチェロ奏者、2人のベース奏者、2人のハープ奏者、フルート奏者が参加し、ジョナサン・チューニック(Jonathan Tunick)が指揮・編曲を担当するなど、かなり贅沢な編成でした[1]。

発表時の反響

『ブレッド・アンド・ローズ』は、発売後にビルボードのポップアルバムチャートで25位を記録し、商業的にも成功を収めました[4]。批評家からも概ね好意的な評価を受け、コリンズの歌唱力と選曲が高く評価されました。

アルバムは、コリンズのキャリアにおいて重要な転換点となり、彼女がフォークシンガーとしてのルーツを保ちながらも、より幅広い音楽性を追求する姿勢を示した作品として位置付けられています。

まとめ

『パンと薔薇の人生』は、ジュディ・コリンズの音楽的成熟と社会的意識の高まりを反映した重要なアルバムです。フォークミュージックの伝統を守りつつ、より洗練されたサウンドと多様な音楽性を追求した本作は、コリンズのアーティストとしての幅広さと深さを示す作品となりました。社会正義のテーマと美しい音楽性の融合は、今日においても多くのリスナーの心に響く普遍的な魅力を持っています。

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Citations:
[1] https://lh.journals.yorku.ca/index.php/lh/article/download/5682/4875/5553
[2] https://atwoodmagazine.com/whm2403-katherine-depaul-womens-history-month-essay-the-school-of-bread-and-roses-judy-collins/
[3] http://michaelsmusiclog.blogspot.com/2011/05/judy-collins-bread-roses-19762010-re.html
[4] https://en.wikipedia.org/wiki/Bread_and_Roses_(album)
[5] https://hugoribeiro.com.br/area-restrita/Shuker-Popular_Music_Culture-The_Key_Concepts.pdf
[6] https://lovingthemusiccoza.wordpress.com/2021/02/06/mini-feature-bread-roses-the-mimi-farina-legacy/
[7] http://michaelsmusiclog.blogspot.com/2011/05/judy-collins-bread-roses-19762010-re.html
[8] https://www.facebook.com/groups/38510854398/posts/10160854952394399/
[9] https://www.reddit.com/r/Music/comments/ffgnin/judy_collins_bread_and_roses_folk/
[10] https://dukelibraries.contentdm.oclc.org/digital/api/collection/p15957coll24/id/2489/download
[11] https://www.albumoftheyear.org/album/95113-judy-collins-bread-and-roses/user-reviews/?type=ratings
[12] https://www.facebook.com/groups/38510854398/posts/10161224030279399/
[13] https://www.discogs.com/release/8232752-Judy-Collins-Bread-Roses
[14] https://marine.copernicus.eu/marine-paragraph/iframe-render/https:%7C%7Carpotolok.ru%7Cphkdjwszvazzfe46j
[15] https://en.wikipedia.org/wiki/Judy_Collins
[16] https://hdl.library.upenn.edu/1017/d/pacscl/WHYY_WHYY001FreshAir
[17] https://www.facebook.com/judycollinsofficial/videos/a-little-bit-about-bread-roses-enjoybread-roses-community-fund-david-geffen-ella/575363159834486/
[18] https://en.wikipedia.org/wiki/Judy_Garland
[19] https://www.allmusic.com/album/bread-roses-mw0000202770
[20] https://www.empireentertainment.jp/our-works?b75e1436_page=5
[21] https://www.empireentertainment.jp/jp/our-works?b75e1436_page=5
[22] https://ro.ecu.edu.au/cgi/viewcontent.cgi?article=3838&context=theses
[23] https://www.facebook.com/groups/38510854398/posts/10157788459029399/
[24] https://www.youtube.com/watch?v=YsvGPj0LH0M
[25] https://www.songfacts.com/facts/judy-collins/bread-and-roses
[26] https://www.discogs.com/ja/release/8232752-Judy-Collins-Bread-Roses
[27] https://open.spotify.com/intl-ja/track/0H8IF4IOdcE5zhgaDwitjE

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