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ロバート・フリップ『エクスポージャー』

ロバート・フリップ『エクスポージャー』
ロバート・フリップ(Robert Fripp)『エクスポージャー』(Exposure)

『Exposure』(エクスポージャー)は、ロバート・フリップ(Robert Fripp)がキング・クリムゾン解体後にニューヨークで吸収したパンク/ニュー・ウェーブの空気と、彼自身の実験精神を、ポップ・ソングの形式に押し込めたようなアルバムです。
単なるソロ作というより、ダリル・ホール(Daryl Hall)やピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)らとの連作構想から生まれた、意図的に「時代の変化」を映し出す作品でした 。

コンセプト

『エクスポージャー』を語る上で欠かせないのが、もともとフリップが構想していた「同時並行3部作プロジェクト(Trilogy)」という野心的なものです。
フリップは当初、『Exposure』をダリル・ホールの『Sacred Songs』とピーター・ガブリエルの2作目『Scratch』と並ぶ“三部作”として考えており、ポップ・ソングを表現手段として再検証する狙いがありました。
そのため、曲は短く切れ味があり、歌、語り、断片的なテキスト、テープ・ループが交錯する構成になっています 。
タイトルの“Exposure”は、彼の内面をさらけ出すだけでなく、音楽産業や既成のプログレ像から自分を「露出」させる意味も帯びています。

音楽性と音

音楽的には、アート・ロック、ポスト・パンク、アンビエント、ヘヴィなギター・リフが同居する、かなり振れ幅の大きい作品です。
フリップのトレードマークであるフリップトロニクス(Frippertronics)は、2台のオープンリール・デッキを使ったテープ・ループによって、浮遊感のある持続音や反復を作り出し、アルバム全体に冷たい光沢と不穏な透明感を与えています 。
一方で「Breathless」や「NY3」のような曲では、ロックの推進力や都会的な焦燥も前景化し、静と動の落差が非常に大きいのが魅力です 。

制作の経緯

制作は1977年から1979年にかけて進み、ニューヨークでの活動が大きな刺激になりました。
フリップの構想では、本作『エクスポージャー』の全編リード・ボーカルを、ソウルフルで優れた歌唱力を持つダリル・ホールに委ねる予定でした。
しかし、ダリル・ホールの所属レーベル(RCA)およびマネジメント側が、「ポップ・スターであるホールのイメージがアバンギャルドすぎる作品で損なわれる」「ソロ作の同時リリースは本業のホール&オーツに悪影響を与える」と猛反対したのです。
結果としてホールのソロ作『Sacred Songs』は発売延期(1980年までお預け)となり、フリップのアルバムでもホールのボーカル使用回数を制限される事態となりました。
『Here Comes the Flood』がより簡素な形で入っているのも象徴的で、ロバート・フリップが他人の曲を自分の文脈に再配置する編集感覚がよく出ています。
また、フリップはこの時期を「The Drive to 1981」という自己計画の一部として位置づけ、音楽活動を市場ではなく自分の規律のもとで進めようとしました。

参加ミュージシャン

参加者は非常に豪華です。ダリル・ホール、ピーター・ハミル(「ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター」のヴォーカル)、テール・ロッシュ(フォーク・トリオ「The Roches」のメンバー)、ピーター・ガブリエル、ブライアン・イーノ、トニー・レヴィン、フィル・コリンズ、他が名を連ねています。
フリップの周囲に、プログレ、アート・ポップ、ニュー・ウェーブ、ジャズ寄りの強者が混在しているのが、このアルバムの独特な張り詰め方を生んでいます。
さらに、J.G. Bennett の語りやフリップ自身のスポークン・ボイスも入り、音楽と思想メモが地続きになっています 。

  • ロバート・フリップ(Robert Fripp) - ギター、フリッパートロニクス
  • ダリル・ホール(Daryl Hall) - ボーカル、ピアノ
  • テール・ロッシュ(Terre Roche) - ボーカル
  • ピーター・ハミル(Peter Hammill) - ボーカル
  • ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel) - ボーカル、ピアノ
  • ブライアン・イーノ(Brian Eno) - シンセサイザー、ボーカル
  • バリー・アンドリュース(Barry Andrews) - オルガン
  • シド・マクギニス(Sid McGinnis) - リズムギター、ペダルスチールギター
  • トニー・レヴィン(Tony Levin) - ベース
  • ジェリー・マロッタ(Jerry Marotta) - ドラム
  • ナラダ・マイケル・ウォルデン(Narada Michael Walden) - ドラム
  • フィル・コリンズ(Phil Collins) - ドラム
  • JGベネット(J.G. Bennett) - ボーカル
  • グラハム・チャップマン(Graham Chapman)/モンティ・パイソン(Monty Python)- 「Haaden Two」の音声(逆再生)
  • シヴァプリ・ババ(Shivapuri Baba) - 「You Burn Me Up」での歌声
  • ミセス・エディス・フリップ(Mrs. Edith Fripp)- 『ディスエンゲージ』の紹介におけるナレーション
  • ミセス・エブリン・ハリス (Mrs. Evelyn Harris) - 音声

トラック・リスト

Side 1

  1. 序章(Preface) - 1:16
  2. ユー・バーン・ミー・アップ・アイム・ア・シガレット(You Burn Me Up I'm a Cigarette) - 2:24
  3. 呼吸困難(Breathless) - 4:43
  4. 解放(Disengage) - 2:46
  5. 北極星(North Star) - 3:06
  6. シカゴ(Chicago) - 2:12
  7. ニューヨーク・スリー(NY3) - 2:16
  8. マリー(Mary) - 2:06

Side 2

  1. エクスポージャー(Exposure) - 4:25
  2. ヘーデン・ツー(Haaden Two) - 2:53
  3. アーバン・ランドスケープ(Urban Landscape) - 2:35
  4. アイ・メイ・ナット・ハブ・イナフ・オブ・ミー・バット・アイブ・ハッド・イナフ・オブ・ユー(I May Not Have Had Enough of Me but I've Had Enough of You) - 3:50
  5. アイ・エー・シー・シャー・ボーン・ハウス就任演説(First Inaugural Address to the I.A.C.E. Sherborne House) - 0:07
  6. ウォーター・ミュージック・パート・ワン(Water Music I) - 1:27
  7. 洪水襲来(Here Comes the Flood) - 4:01
  8. ウォーター・ミュージック・パート・ワン(Water Music Ⅱ) - 4:16
  9. 追伸(Postscript) - 0:40

反響と評価

発売時の反響は賛否が分かれましたが、Billboard 200 で79位、UK Albums Chart で71位に達し、商業的にも一定の存在感を示しました。
BBC のレビューは、これをフリップの「唯一の本格的ソロ作」であり、1979年に彼を音楽シーンへ再導入した作品だと位置づけています。
一方で Rolling Stone 系の見方にあるように、即興性や断片性を「スケッチのようだ」と受け取る向きもあり、完成された名盤というより、挑発的で落ち着かない作品として受け止められました。

特筆点

このアルバムの重要性は、後のキング・クリムゾン再編や80年代アート・ロックの方向性を先取りしたところにあります。
作詞を協力し「フリップトロニクス(Frippertronics)」という言葉の命名者でもあるジョアンナ・ウォルトン(Joanna Walton)は詩人であり、フリップの当時のパートナーです。
フリップトロニクスを単なる効果ではなく、作曲法や演奏哲学として提示した点も決定的でした。
さらに、1979年版、1983年版、2006年版、2022年の大規模 बॉックスセットまで複数の形で再定義され続けており、ひとつの完成品というより、今も拡張されるプロジェクトとして生きています。
要するに『Exposure』は、フリップが「プログレの人」という看板を一度外し、都市のざらつきと思想性をむき出しにした、非常に個人的で同時に時代的な作品なのです 。

ロバート・フリップの1979年発表のソロデビュー作『エクスポージャー』は、プログレッシブ・ロックの枠を超えた実験的な傑作として知られています。ニューヨークのパンクシーンに触発されたこのアルバムは、複数の音楽ジャンルを融合させつつ、当時の音楽業界への批判精神を内包したコンセプチュアルな作品です。

Citations:
[1]https://en.wikipedia.org/wiki/Exposure_(Robert_Fripp_album)
[2]https://genius.com/albums/Robert-fripp/Exposure
[3]https://www.bbc.co.uk/music/reviews/xmgb/
[4]https://makeyourowntaste.com/2013/05/17/robert-fripp-exposure-1979-the-birth-of-musics-future/#:~:text=Robert%20Fripp%20is%20an%20extremely%20well%2Dknown%20musician,may%20not%20realize.%20He%20started%20by%20pioneering
[5]https://immersiveaudioalbum.com/exposure-fourth-edition-robert-fripp-5-1-surround-sound/#:~:text=Not%20only%20were%20both%20albums%20well%2Dreceived%20critically%2C,album.%20It%20was%20ultimately%20a%20brilliant%20decision.


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