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トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ『パック・アップ・ザ・プランテーション - ライヴ』

トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ『パック・アップ・ザ・プランテーション - ライヴ』
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ(Tom petty and the Heartbreakers)『パック・アップ・ザ・プランテーション-ライブ』( Pack Up The Plantation: Live!)

『Pack Up The Plantation: Live!』は、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ(Tom Petty & the Heartbreakers)が1985年に発表した初の公式ライヴ盤です。
直前作『Southern Accents』の凝ったスタジオ制作から一転し、このバンドの本領である、硬質で躍動的なロックンロールをステージ上で再確認する作品になっています。
1985年11月26日に発表され、オリジナルは2枚組LP、カセット/CDでは一部を省いた形で発売されました。

背景とコンセプト

『Southern Accents』は、南部性を主題に、デイヴ・スチュワートとの共同作業やシンセサイザーも含む作り込まれた音像を追求したアルバムでした。
しかし、制作は長期化・高額化し、その洗練されたサウンドには「ハートブレイカーズらしい剥き出しの勢いが薄れた」と受け取る批評もありました。
AllMusicのスティーヴン・トマス・アールワインは、本作をそうした『Southern Accents』への「論理的な次の一手」と捉えています。
つまりバンドが、スタジオの精密さではなく、演奏の瞬発力と蓄積してきたレパートリーの強さを示すための一枚です。

ただし、これは厳密な意味で「一晩の完全収録」ではありません。
中心は1985年8月7日のロサンゼルス、ウィルターン・シアター公演ですが、1981年、1983年、さらに1978年と1980年のライヴ録音も編み込まれています。
そのため本作は1985年ツアーの記録であると同時に、初期から中期までのハートブレイカーズを横断する、編集されたライヴ・ポートレートともいえます。

音楽性とサウンド

選曲は「American Girl」「Refugee」「The Waiting」「Breakdown」といった代表曲を軸に、ザ・バーズの「So You Want to Be a Rock ’n’ Roll Star」、ザ・サーチャーズ版で知られる「Needles and Pins」、ジョン・セバスチャンの「Stories We Could Tell」などのカヴァーを置く構成です。
自作曲を神格化するのではなく、自分たちが育った60年代ロック、ビート・グループ、R&Bの血をセットの中で自然に示しているところに、このバンドらしい懐の深さがあります。

音の核は、マイク・キャンベルの切れ味鋭いリード・ギター、ベンモント・テンチのオルガン/ピアノ、スタン・リンチの前へ押し出すドラム、そしてペティの少し鼻にかかった、乾いていながら切実な歌声です。
基本はギター・バンドの鳴りですが、ウィルターン録音にはホーン隊Soul Lips Hornsと女性コーラス隊The Rebelettsも参加しています。
これにより「It Ain’t Nothin’ to Me」「Southern Accents」「Rebels」などでは、単なるバー・バンド的な直線性ではない、ソウル/R&Bの厚みと南部風の祝祭感が加わります。

もっとも印象的なのは「Breakdown」です。冒頭で観客が歌詞とコーラスを大合唱し、ペティは「君たちに仕事を奪われそうだ」と冗談を返してから歌に入ります。
ここでは曲そのものの出来以上に、観客が歌を自分のものとしている事実が聞こえます。
ライヴ盤における「観客との共同制作」という魅力が、最も端的に現れた場面でしょう。

参加メンバー

トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ(Tom Petty & the Heartbreakers)

  • トム・ペティ(Tom Petty):リードボーカル、6弦および12弦エレキギター、アコースティックギター
  • マイク・キャンベル(Mike Campbell):リードギター、12弦ギター、ラップスティールギター、スライドギター
  • スタン・リンチ(Stan Lynch):ドラム、ボーカル
  • ベンモント・テンチ(Benmont Tench):キーボード、ボーカル
  • ハウイー・エプスタイン(Howie Epstein):ベースギター、マンドリン、バックコーラス

ソウル・リップス・ホーンズ(Soul Lips Horns)/ホーンセクション

  • ジミー・ザヴァラ(Jimmy Zavala):サクソフォーン、ハーモニカ
  • リー・ソーンバーグ(Lee Thornburg):トランペット、フリューゲルホルン
  • ニック・レーン(Nick Lane):トロンボーン、ユーフォニアム

ザ・レベレッツ(The Rebeletts)/コーラス

  • パット・ピーターソン(Pat Peterson)
  • キャロル・スー・ヒル(Carroll Sue Hill)

ゲスト・ミュージシャン

  • スティーヴィー・ニックス(Stevie Nicks):ボーカル/「Needles and Pins」「Insider」)
  • ロン・ブレア(Ron Blair):ベース/一部楽曲)
  • フィル・ジョーンズ(Phil Jones):パーカッション
  • ボビー・ヴァレンティノ(Bobby Valentino):バイオリン

トラック・リスト

Side 1

  1. ソー・ユー・ウォント・トゥ・ビー・ア・ロックン・ロール・スター(So You Want to Be a Rock and Roll Star) - 3:30
  2. ニードルズ・アンド・ピンズ(Needles and Pins) - 2:23
  3. ザ・ウェイティング(The Waiting) - 5:08
  4. ブレイクダウン(Breakdown) - 7:43

Side 2

  1. アメリカン・ガール(American Girl) - 3:50
  2. イット・エイント・ナッシング・トゥ・ミー(It Ain't Nothing to Me) - 6:05
  3. インサイダー(Insider) - 5:16
  4. ロッキン・アラウンド(Rockin' Around [With You]) - 3:20

Side 3

  1. 逃亡者(Refugee) - 5:22
  2. アイ・ニード・トゥ・ノウ(I Need to Know) - 2:30
  3. サザン・アクセンツ(Southern Accents) - 5:20
  4. 反逆者(Rebels) - 6:10

Side 4

  1. ドント・ブリング・ミー・ダウン(Don't Bring Me Down) - 3:40
  2. ユー・ゴット・ラッキー(You Got Lucky) - 4:20
  3. シャウト(Shout) - 9:30
  4. ストーリーズ・ウイ・クッド・テル(Stories We Could Tell) - 3:55

制作と参加者

プロデュースはペティとキャンベル自身が担当し、エンジニアにはドン・スミスらが名を連ねました。
中核メンバーは、ペティ(ヴォーカル、ギター)、キャンベル(リード、12弦、スライド、ラップ・スティール等)、テンチ(キーボード)、リンチ(ドラム)、そして当時のベーシスト、ハウイー・エプスタインです。
エプスタインのハーモニー・ヴォーカルは、バンドのライヴ・サウンドに明るく柔軟な層を与えています。

一方、古い録音では前任ベーシストのロン・ブレアが演奏しています。
「Insider」「Needles and Pins」などに残る彼の演奏は、バンドの編成が移り変わった時期を音で伝える貴重な記録です。
「Insider」と「Needles and Pins」にはスティーヴィー・ニックスも参加。
ペティとニックスは「Stop Draggin’ My Heart Around」以来の相性のよい協働関係にあり、二人の声が交差する場面は、アルバムに華やかさと少し危うい緊張感をもたらします。

「Needles and Pins」はシングルとして米国のBillboard Hot 100で37位に達しました。
ライヴ盤からのカヴァーがチャートに届いたことは、ペティの知名度だけでなく、原曲を自分たちのバンドの言葉として鳴らし直す力量を示しています。

反響と特筆点

批評は一様ではありませんでした。
『Rolling Stone』のジミー・ガターマンは、初期曲に取り組むペティの歌唱を情熱的で印象的だと評価し、ハートブレイカーズを「疑いなく素晴らしいバンド」と評しました。
その一方で、曲目が『Southern Accents』寄りであることや、映像作品のサウンドトラックのように感じられるという留保もありました。
商業的には全米Billboard 200で22位を記録しています。

同名のコンサート映像は翌1986年にホームビデオとして出され、アルバム未収録の「Don’t Do Me Like That」「Don’t Come Around Here No More」、さらに「Route 66」なども収められました。
音源と映像を合わせて見ると、本作が単なるベスト盤的ライヴ・アルバムではなく、当時の拡張編成のステージを保存するプロジェクトだったことがよく分かります。

Citations:
https://music.apple.com/ua/album/pack-up-the-plantation-live/1440092185
https://www.allmusic.com/album/pack-up-the-plantation-live!-mw0000072688
https://store.tompetty.com/products/pack-up-the-plantation-live
https://en.wikipedia.org/wiki/Pack_Up_the_Plantation:_Live!

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