エアプレイ『ロマンティック』

Airplay(エアプレイ)のアルバム『Airplay』(邦題:ロマンティック)は、1980年にRCAレコードからリリースされました。アメリカのトップ・セッション・ミュージシャンであるデヴィッド・フォスター(キーボード)とジェイ・グレイドン(ギター)が中心となって結成されたユニット、Airplayによる唯一の作品です[1][2][3]。このアルバムは、AOR(Adult Oriented Rock)/ウエストコースト・サウンドの金字塔として、発表から40年以上経った今も高い評価を受け続けています[3][5][6]。
コンセプトと制作背景
1970年代後半、フォスターとグレイドンは数多くのレコーディング・セッションで共演し、互いの音楽的な相性を確信していました。グレイドンの発案で「ただのスタジオ・ミュージシャンで終わるのではなく、自分たちのアルバムを作ろう」という流れになり、1978年頃から楽曲制作を開始。当初はボーカリストも決まっていませんでしたが、後にトミー・ファンダーバークが加わり、バンドとしての形が整いました[1][3][4]。
このプロジェクトの着想には、同じくセッション・ミュージシャン出身のTOTOの成功が大きな刺激となっていたことも語られています[1]。
音楽性・サウンドの特徴
- AOR/ウエストコースト・サウンドの極致
洗練されたアレンジ、分厚いコーラス、滑らかなメロディ、そして高い演奏技術が特徴です[3][4][5]。 - ハードさとメロウさの融合
オープナー「Stranded」のようなロック色の強い楽曲から、「After the Love Has Gone」のようなバラードまで、幅広い表現力を持ちます[3][5][6]。 - 緻密なプロダクション
フォスターのエレガントなローズピアノ、グレイドンのダブルトーン・ギター、そして分厚いブラス・アレンジやシンセサイザーが絶妙に絡み合い、当時の最先端の録音技術が惜しみなく投入されています[6][7]。 - 全曲に「捨て曲なし」
どの曲も高い完成度を誇り、AORファンのみならず多くのミュージシャンに影響を与えました[5][6]。
参加ミュージシャン
主役のフォスター、グレイドン、ファンダーバーク(Vo)に加え、当時最高峰のセッション・プレイヤーが多数参加しています[2][3][5][7]。
Airplay
- David Foster(デヴィッド・フォスター):キーボード(全トラック)、バックボーカル(9)、ホーンアレンジメント(5)
- Jay Graydon(ジェイ・グレイドン):リードボーカル(2、4、5、9)、ギター(全曲)、ギターソロ(1)
- Tommy Funderburk(トミー・ファンダーバーク):リードボーカル(1、3、6-8、10)、バックボーカル(2、4)
ゲスト・ミュージシャン
- Bill Champlin(ビル・チャンプリン):ボーカル
- Jeff Porcaro(ジェフ・ポーカロ):ドラム
- David Hungate(デビッド・ハンゲイト):ベース
- Steve Lukather(スティーヴ・ルカサー):リズムギター
- Steve Porcaro(スティーブ・ポーカロ):シンセサイザー
- Mike Baird(マイク・ベアード):ドラム
- Ray Parker Jr.(レイ・パーカー・ジュニア):リズムギター
- Pete Robinson(ピート・ロビンソン):シンセサイザー
- Jerry Hey(ジェリー・ヘイ):トランペット&フリューゲルホルン
- Gary Grant(ゲイリー・グラント):トランペット
- Steve Madaio(スティーブ・マダイオ):トランペット
- Bill Reichenbach Jr.(ビル・ライヘンバッハ・ジュニア):トロンボーン
- Charlie Loper(チャーリー・ローパー):トロンボーン
- Lew McCreary(リュー・マクリアリー):トロンボーン
- Tom Kelly(トム・ケリー):バックボーカル
- Max Gronenthal(マックス・グローネンタール):バックボーカル
TOTOのメンバーが多く参加している点も、当時のウエストコースト・サウンドの人脈の広さと質の高さを物語っています[2][3][5]。
代表曲と制作エピソード
- 「After the Love Has Gone」
元々フォスター、グレイドン、ビル・チャンプリンの共作で、アース・ウィンド&ファイアーに提供され全米2位・グラミー賞受賞の大ヒットとなった楽曲。Airplay盤はオリジナル・バージョンであり、アルバムのラストを飾る名バラードです[1][5][6][7]。 - 「Nothin’ You Can Do About It」
マンハッタン・トランスファーにも提供された楽曲で、AORの代表的ナンバー[2][3][7]。 - 「Should We Carry On」
アルバム制作初期に生まれた曲で、グレイドンとフォスターがセッション後すぐに自宅でデモ制作したというエピソードが残っています[1]。
トラックリスト
Side A
- Stranded 4:28
- Cryin' All Night 4:48
- It Will Be Alright 4:01
- Nothin' You Can Do About It 4:48
- Should We Carry On 3:46
Side B
- Leave Me Alone 4:35
- Sweet Body 4:40
- Bix 4:15
- She Waits for Me 3:41
- After the Love Is Gone 4:28
発表時の反響とその後の影響
- セールス面では大ヒットとはならなかったものの、音楽業界やミュージシャンの間で絶大な評価を獲得[5]。
- 日本での人気が特に高く、AOR/シティポップ系アーティストに計り知れない影響を与えた。角松敏生など多くの日本人ミュージシャンがこのアルバムをリスペクトし、サウンドやアレンジを模倣した例も多い[5][6]。
- 「AORのバイブル」「ウエストコースト・サウンドの最高峰」として、今もなお語り継がれる作品[3][5][6]。
特筆すべきこと
- 唯一無二のアルバム
フォスターとグレイドンの多忙さから、Airplayとしての活動はこの1枚限りで終了。しかし、その後の二人のプロデューサー/作曲家としての飛躍は、このアルバムでの経験が大きな礎となっています[1][5]。 - AORの枠を超えた影響力
アメリカ本国よりも日本やヨーロッパでの評価が高く、AOR/シティポップの文脈で語られることが多い[5][6]。 - 全曲が高水準
「捨て曲なし」「全曲シングル級」と評されるほど、楽曲・アレンジ・演奏すべてがハイレベルです[5][6]。
まとめ
『Airplay』は、AOR/ウエストコースト・サウンドの完成形ともいえる作品であり、デヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンという二人の天才が生み出した奇跡の一枚です。セッション・ミュージシャンの夢を体現したアルバムとして、今も世界中の音楽ファンやプロの間で愛され続けています[1][3][5][6][7]。

アルバム・レヴュー
エアプレイ(Airplay)の『ロマンティック(ROMANTIC)』です。
実力派ウェストコースト系スタジオミュージシャンのユニットによるAORの超名盤。
サウンドもウエストコーストそのもの。
まさに、明るく元気で陽気!
まぁ、能天気といえばそうかもしれないが、夏のからりと晴れた真っ青な空の下、ドライブのときなどに聴くには最高のBGMだ。
ユニットの核となっているのはギタリストのジェイ・グレイドン(ギター)とキーボーディストのデイヴィッド・フォスター(キーボード)。
そしてリードヴォーカルはトミー・ファンダーバーグというセッション・ヴォーカリストが務めている。
エアプレイというユニット名はこの3人が飛行機好きというところから名付けられたらしい。
余談だが、こちらも夏向きのサウンドのせいかエア・サプライというオーストラリアのバンドと間違えられがち。
ジェイ・グレイドンはギタリストたちのミュージシャンズ・ミュージシャンとも言われるプレイヤー。
80年代では最も売れたギタリストの一人だろう。
そのフレーズは今、聴いても古さを感じさせない。
スティーリー・ダンの名盤『Aja』の中の「peg」という楽曲では6人のギタリストがソロの演奏を録音したが、どれもボツになり唯一、彼の弾いたソロが採用されたというエピソードをもっている。
キーボーディストのデイヴィッド・フォスターはカナダ生まれ。
プロデューサーやソングライターとしても数多くのミュージシャンを手掛け、80年代は日本のポップス界にも大きな影響を与えている。
ちなみに彼は、カルガリーオリンピック、アトランタオリンピック、ソルトレイクシティオリンピックの公式テーマ曲なども手掛けグラミー賞の常連にもなっている。
AORと言えば、どちらかというと、しっとりしたバラードや夜に聴きたいムーディーなものが多いが、このアルバムはかなりのロック寄り。
その昔、カセットテープにお気に入りの曲を入れて自分専用の音楽テープを作るというのは、このアルバムをリアルタイムで買った世代なら誰もがやったと思うが、このレコードからはどの曲を入れるか本当に迷った。
そのぐらい、捨て曲のないアルバムである。
最後に入っている「Afetr The Love Is Gone」はアース・ウィンド・アンド・ファイアーに提供され(アース版は「After The Love Has Gone」というタイトルになって歌詞も一部異なる)、グラミー賞を受賞している。
バックで参加しているミュージシャンはスティーヴ・ルカサー(ギター)、ジェフ・ポーカロ(ドラム)、スティーヴ・ポーカロ(キーボード)、デイヴィッド・ハンゲイト(ベース)といったTOTOの4人。
他にもゴースト・バスターズのサントラで売れたレイ・パーカーJr(ギター)などが参加している。
Citations:
- https://en.wikipedia.org/wiki/Airplay_(album)
- https://en.wikipedia.org/wiki/Airplay_(band)
- https://heavyharmonies.com/cgi-bin/glamcd.cgi?BandNum=1755&CDName=Airplay
- https://warmbreeze.jp/music/airplay-airplay
- https://tnfsagaworld.com/sagaworld-remaster-cd-review/airplay-airplay/
- https://note.com/calm_phlox701/n/ncf3cc9479997
- https://www.sessiondays.com/2022/02/1980-airplay-airplay/
- https://www.asahi-net.or.jp/~cy9o-oohs/Sound/airplay.htm
- https://www.bluesound.com/zz/airplay
- http://www.jaygraydon.com/AFTP_Liner_Notes_Remaster_96k_Bandcamp.pdf
- https://reminder.top/713973881/
- https://www.intego.com/mac-security-blog/the-complete-guide-to-apple-airplay-streaming-music-audio-and-video/
- https://originalrock.net/2023/04/03/john-mcdonough-follows-1-airplay-chart-single-with-release-of-concept-eps-title-track/
- https://www.allmusic.com/album/airplay-mw0000351541
- https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2023/10238/
- https://lightmellow.livedoor.biz/archives/52225079.html
- https://github.com/mikebrady/shairport-sync/issues/1205
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- https://support.apple.com/mr-in/guide/apple-music-classical/dev8de5fc472/web
- https://note.com/calm_phlox701/n/ncf3cc9479997
- https://www.westcoast.dk/interviews/interview-2002/jay-graydon-2002/
- https://www.westcoast.dk/artists/a/airplay/
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- https://www.reddit.com/r/Music/comments/bqbt2/what_albums_exist_where_every_single_song/
- https://popdose.com/into-the-ear-of-madness-week-7-152-bpm-tubes-and-airplay/
- https://www.discogs.com/release/5272873-Airplay-Airplay
- https://fr.scribd.com/document/485649734/Oopsie-po
- https://jbalvin.com/blogs/news/new-record-on-latin-airplay-and-latin-rhythm-airplay-with-37-1-songs
- https://kilthub.cmu.edu/articles/journal_contribution/Should_Music_Labels_Pay_for_Radio_Airplay_Investigating_the_Relationship_Between_Album_Sales_and_Radio_Airplay/6707972
- https://risager.info/airplay-on-bbc-radio-2-and-lots-of-other-spins/