セシリオ&カポノ『エルア』

Cecilio & Kapono(セシリオ&カポノ)の2枚目のアルバム『Elua』(エルア)は、ハワイアンポップミュージックの歴史に重要な一章を刻んだ作品です。1975年にColumbia Recordsからリリースされたこのアルバムは、デュオの音楽的成熟と創造性を見事に表現しています[1][5]。
アルバムのコンセプトと音楽性
『Elua』(ハワイ語で「2」を意味する)は、セシリオ・ロドリゲス(Cecilio Rodriguez)とヘンリー・カポノ(Henry Kapono)の2人の才能が融合した結果生まれた作品です。このアルバムは、アコースティックな70年代ロックの要素を取り入れながら、ハワイアンミュージックの伝統的な要素を巧みに織り交ぜています[7]。
サウンドの特徴:
- 美しいハーモニーボーカル
- アコースティックギターを中心とした温かみのあるサウンド
- ロック、ポップ、ソウル、そしてハワイアンミュージックの融合
- 叙情的な歌詞と心地よいメロディの調和
アルバムに収録された楽曲は、主に愛や人間関係をテーマにしており、「Goodnight and Good morning」「You and Me」「About You」「Summer Lady」などの曲が含まれています[7]。これらの曲は、デュオの卓越したソングライティング能力を示すと同時に、リスナーの心に深く響く普遍的なテーマを扱っています。
制作プロセスとエピソード
『Elua』の制作はロサンゼルスで行われました[6]。この環境の変化は、デュオの音楽性に新たな刺激を与え、より洗練されたサウンドの追求につながったと考えられます。レコーディングには、Cecilio Rodriguez(ボーカル、ギター)とHenry Kapono(ボーカル、ギター、その他の楽器)が中心となって参加しました[6]。
当時のハワイの若者たちのリアルな日常や心情が反映されており、「自分たちが実際に体験し、感じていたことをそのまま歌にした」とメンバーは後に語っています[10]。
また、収録曲「Highway In The Sun」は、ハワイの自然や家族、人生の選択についての思いを込めた楽曲で、作曲者自身が「自分のルーツや選択を見つめ直すための歌」と語っています[11]。
参加ミュージシャンと制作陣
『Elua』は、ロサンゼルスの一流セッション・ミュージシャンが多数参加し、プロデューサーにはデイビット・ケルシェンバウム(David Kershenbaum)を迎えています[9]。
- ベース:ジョー・オズボーン(Joe Osborn)、リーランド・スカラー(Leland Sklar)
- ドラム:ジム・ゴードン(Jim Gordon)、マイク・ベアード(Mike Baird)
- キーボード:デヴィッド・ペイチ(David Paich)、ラリー・ムホベラック(Larry Muhoberac)
- パーカッション:ボビー・ホール(Bobbye Hall)、ゲーリー・コールマン(Gary Coleman)
- フィドル:アル・ガース(Al Garth)
- エンジニア:Rick Ruggieri(録音)、Mike Reese(マスタリング)
セシリオ&カポノ自身もアコースティックギター、エレクトリックギター、ハーモニカ、アレンジ、バックコーラスで参加しています[9]。
発表時の反響と評価
『Elua』の発表は、セシリオ&カポノのキャリアにおける重要な転換点となりました[5]。このアルバムは、デュオの音楽性が大きく飛躍したことを示し、彼らの才能を広く認知させる契機となりました。
アルバムの特筆すべき点:
- ジャンルを超えた影響力:C&Kの音楽は、ハワイの伝統音楽とアメリカ本土のポップス/ロックを架橋し、以後のハワイアン・コンテンポラリー・ミュージックのテンプレートとなりました[10][1]。
- 一流ミュージシャンの参加:ロサンゼルスの名だたるセッション・ミュージシャンが多数参加し、音楽的完成度の高さが際立っています[9]。
- 世代を超えた人気:リリースから半世紀近く経った現在も、ハワイの人々の心に深く根付いています[10]。
『Elua』は、ハワイの音楽シーンを超えて、より広範な聴衆にアピールすることに成功しました。このアルバムは、セシリオ&カポノの独特なサウンドがハワイの本質を捉えつつ、普遍的な魅力を持っていることを証明しました。

レガシーと影響
『Elua』は、その後のハワイアンポップミュージックの発展に大きな影響を与えました。このアルバムは、伝統的なハワイアンミュージックと現代的なポップサウンドの融合の可能性を示し、後続のアーティストたちに新たな創造の道を開きました。
また、ビニールレコードの文化においても、『Elua』は重要な位置を占めています。そのサウンドの豊かさと、アルバムアートワークの魅力により、コレクターたちの間で高い評価を受け続けています[5]。
セシリオ&カポノの音楽、特に『Elua』に収録された楽曲は、時代を超えて多くのリスナーの心に響き続けています。彼らの音楽は、ハワイの美しい風景と心温まる物語を想起させ、聴く者を音楽の旅へと誘います。
『Elua』は、Cecilio & Kaponoの音楽的才能と創造性の結晶であり、ハワイアンポップミュージックの金字塔として今なお輝き続けています。このアルバムは、彼らの音楽キャリアにおける重要な一歩であると同時に、ハワイの音楽文化の豊かさを世界に示した記念碑的な作品と言えるでしょう。
Citations:
[1] https://en.wikipedia.org/wiki/Cecilio_&_Kapono
[2] https://www.discogs.com/release/5428432-Cecilio-Kapono-Elua
[3] https://open.spotify.com/track/54ufXNcEWlSpyCnb1WWGGy
[4] https://www.discogs.com/release/9531503-Cecilio-Kapono-Elua
[5] https://www.vinylmeplease.com/blogs/artists/cecilio-kapono-vinyl
[6] https://eastzono.seesaa.net/article/452961962.html
[7] https://davidsreviewssite.wordpress.com/2016/03/05/1975-cecilio-kapono-elua/
[8] https://www.allmusic.com/album/elua-mw0000652081
[9] https://www.discogs.com/release/10405940-Cecilio-Kapono-Elua
[10] https://www.henrykaponofoundation.org/hawaiis-artists/songs-of-ck
[11] https://www.honolulumagazine.com/50-greatest-songs-of-hawaii/