ロック AOR2025年7月2日

クリス・レア『オン・ザ・ビーチ』

1986年

クリス・レア（Chris Rea）オン・ザ・ビーチ』（On The Beach）

Chris Rea（クリス・レア）の8枚目のスタジオアルバム『On The Beach』（オン・ザ・ビーチ）は、1986年4月14日にMagnetレーベルからリリースされました。このアルバムは、レアのキャリアにおいて重要な転換点となり、商業的成功への道を開いた作品として知られています[7]。

『On The Beach』のコンセプトと音楽性

『オン・ザ・ビーチ』は、滑らかでメロディアスな音楽性が特徴的です。ギターよりもピアノ、シンセサイザー、ブラスが前面に出ており、レアのそれまでの作品と比べてより洗練されたサウンドを追求しています[1]。アルバムのコンセプトは、太陽に照らされた穏やかな雰囲気と、潜在的なヒット曲の組み合わせです。

アルバムのサウンドは、ジャジーで内省的なポップ/ソウルサウンドを取り入れており、同時期のジョン・マーティン（John Martyn）、ジョニ・ミッチェル（Joni Mitchell）、ヴァン・モリソン（Van Morrison）らの作品と通じるものがあります[7]。特に、フェアポート・コンベンション（Fairport Convention）やXTCのドラマー、デイヴ・マタックス（Dave Mattacks）の参加や、キーボーディスト、マックス・ミドルトン（Max Middleton）の表現力豊かなシンセサイザー（MINI MOOG）の演奏が、アルバムの雰囲気づくりに大きく貢献しています[7]。

制作時のエピソード

タイトル曲「On The Beach」は、スペインのフォルメンテラ島での経験に基づいています。レアは「あそこで私と妻は夫婦になったんだ…そう、『愛の目の間』にいたんだ。素晴らしい島だよ」と語っています[2]。

「Giverny」という曲は、モネの有名な家を訪れた際に書かれました。レアは「実際には行きたくなかったんだ。妻がそこにいたから行っただけで…だからちょっと面白いひねりがあるんだ」と明かしています[7]。

参加ミュージシャン

アルバムには多くの優れたミュージシャンが参加しています[7]：

Chris Rea（クリス・レア）：ボーカル、キーボード、アコースティックピアノ、ギター、スライドギター、フレットレスベース
Max Middleton（マックス・ミドルトン）：アコースティックピアノ、ローズ、ミニムーグ、シンセサイザー
Kevin Leach（ケビン・リーチ）：キーボード
Robert Awhai（ロバート・アワイ）：ギター
Eoghan O'Neill（オーガン・オニール）：ベースギター
Dave Mattacks（デイブ・マタックス）：ドラムス
Adrian Rea：（エイドリアン・リア）ドラムス
Martin Ditcham（マーティン・ディッチャム）：パーカッション

トラックリスト

Side A

オン・ザ・ビーチ（On the Beach） - 5：04
リトル・ブロンド・プレイツ（Little Blonde Plaits） - 4：17
ジブニー（Giverny） - 5：39
ラッキー・デイ（Lucky Day） - 3：57
ジャスト・パッシング・スルー（Just Passing Through） - 5：20

Side B

イッツ・オール・ゴーン（It's All Gone） - 7：28
ハロー・フレンド（Hello Friend） - 4：19
トゥー・ロード（Two Roads） - 3：44
ライト・オブ・ホープ（Light of Hope） - 4：34
永遠に誓う（Auf Immer und Ewig） - 4：11

発表時の反響と商業的成功

『オン・ザ・ビーチ』は、イギリスのアルバムチャートで11位を記録し、30万枚以上を売り上げました[4][7]。オランダではチャートの1位を獲得し、9ヶ月以上チャートインしました。西ドイツでは2位、ニュージーランドでは4位を記録し、ノルウェーでもトップ10入りを果たしました[7]。

アルバムは批評家からも好意的に受け入れられました。AllMusicは「『The Road to Hell』がレアの世界観の暗い側面を示しているのに対し、『On The Beach』は彼のより明るく楽観的な楽曲の優れた入門書となっている」と評しています[7]。

特筆すべき点

サウンドの変化：このアルバムは、レアのそれまでの作品と比べてより滑らかでメロディアスなサウンドを特徴としており、彼の音楽性の進化を示しています[1]。
商業的成功への転換点：『オン・ザ・ビーチ』は、レアのキャリアにおいて商業的成功への道を開いた重要な作品となりました[4]。
長期的な人気：タイトル曲「On The Beach」は、1988年に再録音されてトップ40入りを果たし、レアの代表曲の一つとなりました[1]。
多様な音楽性：アルバムには、ジャジーな要素からアメリカナイズされたソフトロックまで、幅広い音楽スタイルが収録されています[1][7]。
優れたミュージシャンシップ：デイヴ・マタックスやマックス・ミドルトンなど、優れたミュージシャンの参加がアルバムの質を高めています[7]。

『オン・ザ・ビーチ』は、クリス・レアの音楽キャリアにおける重要な転換点となったアルバムであり、彼の音楽性の成熟と商業的成功の始まりを象徴する作品として、今もなお高く評価されています。

Citations:
[1] https://amazinglyfewdiscothequesprovidejukeboxes.wordpress.com/2020/05/18/the-rea-issues-4-on-the-beach-1986/
[2] https://insheepsclothinghifi.com/album/chris-rea-on-the-beach/
[3] http://www.chrisrea.biz/int4.htm
[4] https://movingtheriver.com/2016/04/01/chris-reas-on-the-beach-30-years-old-today/
[5] https://musicbrainz.org/release-group/843b05a6-3e8b-3528-8f2a-294baf314cfe
[6] https://daft.fm/albums/chris-rea-on-the-beach/
[7] https://en.wikipedia.org/wiki/On_the_Beach_(Chris_Rea_album)
[8] https://www.discogs.com/release/871607-Chris-Rea-On-The-Beach