ポール・デイヴィス『クール・ナイト』

ポール・デイヴィス『クール・ナイト』
ポール・デイヴィス(Paul Davis)『クールナイト』(Cool Night)

Paul Davis(ポール・デイヴィス)の1981年リリースのアルバム『Cool Night』(クール・ナイト)は、彼のキャリアにおいて重要な作品となりました。

アルバムのコンセプトと音楽性

『Cool Night』は、ソフトロックやAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)の要素を取り入れた、洗練されたポップサウンドが特徴的なアルバムです[1][5]。タイトル曲「Cool Night」に代表されるように、メロウでムーディな雰囲気を醸し出しています[5]。アルバム全体を通して、センチメンタルなバラードから軽快なポップナンバーまで、幅広い楽曲が収録されています[5]。

ポール・デイヴィスは、それまでのキャリアでカントリーやサザン・ソウルの影響を色濃く反映した楽曲を発表していましたが、本作でアリスタ・レコードに移籍。レーベルの総帥クライヴ・デイヴィスの指導のもと、よりポップでコンテンポラリーな市場を意識したサウンドへと舵を切りました。その結果、パーソナルなシンガーソングライターの作品という側面と、時代の最先端を行くラジオフレンドリーなプロダクションが融合した、独特の立ち位置を持つアルバムが誕生しました。

サウンドの特徴

このアルバムは、商業音楽の世界で最初期にデジタル録音・ミキシングを全面的に採用した先駆的な作品として知られています[1]。当時としては最新のテクノロジーを駆使し、アナログ特有のテープヒスノイズがなく、各楽器の音がクリアで洗練されたサウンドを実現しました。シンセサイザーやフェアライトCMIなどの電子楽器を積極的に取り入れ、時代の最先端を行くサウンドプロダクションを目指しました[6]。

参加ミュージシャン

アルバムには以下のミュージシャンが参加しています[1][18]:

  • ポール・デイヴィス(Paul Davis):ボーカル、キーボード
  • エド・シーイ(Ed Seay):ベース、キーボード、バッキングボーカル
  • スティーブ・ハードウィック(Steve Hardwick):ギター
  • リック・ヒンクル(Rick Hinkle):ギター
  • バリー・ダナウェイ(Barry Dunaway):ベース
  • ジーン・クリスマン(Gene Chrisman):ドラムス
  • ジーン・T・マクハイン(Jean T. McHine):ドラムス
  • ベニー・ラッパ(Benny Rappa):ドラムス、バッキングボーカル
  • ダグ・ベア(Doug Bare):キーボード
  • トミー・クーパー(Tommy Cooper):キーボード
  • ヴァンス・テイラー(Vance Taylor):キーボード

制作時のエピソード

ポール・デイヴィスは完璧主義者として知られており、このアルバムの制作にも多くの時間と労力を費やしました[7]。特に、タイトル曲「Cool Night」の制作には非常にこだわったと言われています。また、当初「'55 Love Affair」というタイトルだった楽曲を、レーベルの要請で「'65 Love Affair」に変更したというエピソードもあります[9]。

発表時の反響

『Cool Night』は商業的に成功を収め、ビルボードアルバムチャートで52位を記録しました[1]。特に、タイトル曲「Cool Night」はビルボードHot 100で11位、アダルト・コンテンポラリー・チャートで2位を記録する大ヒットとなりました[8]。また、「'65 Love Affair」もトップ10ヒットを記録し、ポール・デイヴィスのキャリアハイとなりました[6]。

特筆すべき点

  1. デジタル録音・ミキシングの先駆け: 全面的にデジタル技術を採用した先駆的なアルバムとして音楽史に名を残しています[1]。
  2. AORの代表作: 80年代初頭のAOR/ソフトロックの代表作として、現在でも高い評価を受けています[5][7]。
  3. ポール・デイヴィスの最後のポップアルバム: このアルバムを最後に、ポール・デイヴィスはポップシーンから離れ、カントリーミュージックの作曲家としてキャリアを続けることになりました[6]。
  4. 長期的な人気: 「Cool Night」や「'65 Love Affair」などの楽曲は、発売から40年以上経った現在でも、ラジオやストリーミングサービスで頻繁に聴かれています[7][15]。

『Cool Night』は、ポール・デイヴィスの音楽的才能と80年代初頭の音楽シーンの特徴を見事に融合させた作品と言えるでしょう。洗練されたプロダクションと心地よいメロディ、そしてポール・デイヴィスの独特な歌声が織りなす魅力的なアルバムとして、今なお多くのリスナーに愛され続けています。

Citations:
[1] https://en.wikipedia.org/wiki/Cool_Night
[2] https://www.allmusic.com/album/cool-night-mw0000612137
[3] https://fivestarjamz.com/2019/11/12/cool-night-by-paul-davis-1981/
[4] https://www.discogs.com/release/1410235-Paul-Davis-Cool-Night
[5] https://warmbreeze.jp/music/paul-davis-cool-night
[6] https://strathdee.wordpress.com/2020/05/17/paul-davis-multi-genre-singer-songwriter/
[7] https://classicsongoftheday.com/cool-night-paul-davis/
[8] https://en.wikipedia.org/wiki/Cool_Night_(song)
[9] https://lefsetz.com/wordpress/2022/11/25/re-paul-davis-cool-night/
[10] https://en.wikipedia.org/wiki/Cool_Night_(song)
[11] https://www.discogs.com/release/8632690-Paul-Davis-Cool-Night
[12] https://www.timcottonwrites.com/2022/04/22/ode-to-paul-davis-cool-night/
[13] https://lefsetz.com/wordpress/2022/11/25/re-paul-davis-cool-night/
[14] https://www.songfacts.com/facts/paul-davis/cool-night
[15] https://www.discogs.com/release/1410235-Paul-Davis-Cool-Night
[16] https://forums.stevehoffman.tv/threads/paul-davis-cool-night.300616/
[17] https://tower.jp/item/4284577
[18] https://www.sessiondays.com/2016/11/1981-paul-davis-cool-night/
[19] https://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Davis_(singer)
[20] https://www.allmusic.com/album/cool-night-mw0000612137
[21] https://ameblo.jp/heartlight1962/entry-11011520238.html
[22] https://music.apple.com/jp/album/cool-night/827096407
[23] https://www.last.fm/music/Paul+Davis/Cool+Night
[24] https://ameblo.jp/inoinoino01/entry-12839861148.html
[25] https://ameblo.jp/inoinoino01/entry-12827493571.html

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