アレッシー『そよ風にくちづけ』

アレッシー『そよ風にくちづけ』
アレッシー(Alessi)『そよ風にくちづけ』(Long Time Friends)

1982年にリリースされた『Long Time Friends』(邦題:そよ風にくちづけ)は、アレッシー兄弟(Alessi Brothers)がA&Mからクインシー・ジョーンズ率いるQwestレーベルに移籍して初めて発表した5作目のアルバムです[1][2][3]。

『Long Time Friends』(そよ風にくちづけ)のコンセプト

本作のコンセプトは、兄弟ならではのハーモニーと爽やかなメロディを軸に、友情や愛、人生の機微をAOR(Adult Oriented Rock)らしい洗練されたサウンドで描き出すことにあります。アルバムタイトルの『Long Time Friends』は、長年の友情や人間関係の温かさを象徴し、聴く者に優しい余韻を残します。

音楽性・サウンドの特徴

『Long Time Friends』は、AORの黄金期を象徴するアルバムであり、アレッシー兄弟の特徴であるハイトーンで繊細なヴォーカル・ハーモニーが全編にわたって堪能できます。サウンド面では、アコースティックギターのカッティングやエレクトリックピアノ、シンセサイザー、そしてサックスやブラスのアレンジが絶妙に絡み合い、都会的で洗練された雰囲気を醸し出しています[1][3][4]。

プロデューサーにはクリストファー・クロスを迎え、クインシー・ジョーンズがエグゼクティブ・プロデューサーとして全体を統括[1][3][5]。録音は主にテキサス州オースティンのPecan Street/Studio South Recording Studiosで行われ、当時クリストファー・クロスのデモ制作にも使われた最新鋭のスタジオで制作されたことが、透明感のある音像や高い演奏クオリティに結びついています[5]。

楽曲は「Put Away Your Love」「Forever」など、メロディアスで親しみやすいナンバーが並び、日本人にも好まれる「泣き」のメロディや瑞々しいアレンジが特徴です[1][2][6]。

参加ミュージシャン

本作には、AOR/フュージョン界を代表する一流ミュージシャンが多数参加しています[3][4][5]。

  • ギター:クリストファー・クロス、スティーヴ・ルカサー(TOTO)、エリック・ジョンソン、ラリー・カールトン
  • キーボード/シンセサイザー:ロブ・ミューラー(クリストファー・クロス・バンド)、マイケル・オマーティアン、ロビー・ブキャナン、マイケル・ボディッカー
  • ベース:ロスコー・ベック、ニール・スタッベンハウス
  • ドラムス:トミー・テイラー(クリストファー・クロス・バンド)、ジェフ・ポーカロ(TOTO)
  • パーカッション:レニー・カストロ、ヴィクター・フェルドマン
  • ホーン/サックス:アーニー・ワッツ、トム・スコット、ジェリー・ヘイ、チャック・フィンドリー、ビル・ライヒェンバッハ
  • ヴォーカル:パティ・オースティン(デュエット参加)、アレッシー兄弟

これらの豪華メンバーによる演奏が、アルバム全体のクオリティを一段と高めています[3][5]。

制作時のエピソード

本作のレコーディングは、クリストファー・クロスのバンドメンバーや地元オースティンの実力派ミュージシャンを中心に行われました。ドラムは主にトミー・テイラーが担当しましたが、「Still In Love」ではクリストファー・クロスの意向でジェフ・ポーカロがロサンゼルスで録音し、独特のグルーヴを加えています。また、「How Long, How Much」は制作終盤に急遽加わった楽曲で、トミー・テイラーのドラムセットをわざわざテキサスからLAに空輸して録音するなど、こだわり抜いた制作姿勢が窺えます[5]。

発表時の反響

『Long Time Friends』は、AORファンや音楽評論家から高い評価を受けました。シングル「Put Away Your Love」は全米ビルボードHot 100で71位を記録し、4週間チャートインするなど一定の商業的成功も収めています。また、「Forever」はクリストファー・クロスとの共作としても注目されました[2]。日本を含むAOR愛好家の間では、アレッシー兄弟の代表作として現在も根強い人気を誇っています[1][3][4]。

特筆すべきこと

  • プロダクションの豪華さ:クインシー・ジョーンズ、クリストファー・クロスというAOR界の重鎮がプロデュースに関わり、サポート陣も超一流[3][5]。
  • 兄弟ならではのハーモニー:アレッシー兄弟のユニゾンとハーモニーは唯一無二で、AORファンのみならず幅広いリスナーに愛されています[7][8]。
  • 制作後の活動:本作を最後に、アレッシー兄弟はしばらくアルバム制作から離れ、CM音楽や他アーティストへの楽曲提供など裏方に回りますが、その後のカムバックも話題となりました[7][8]。

まとめ

『Long Time Friends』は、アレッシー兄弟のキャリアの中でも特に完成度が高く、AORの魅力が凝縮された名盤です。豪華なミュージシャン陣、緻密なプロダクション、爽やかでメロディアスな楽曲群は、今なお多くのリスナーに愛され続けています[1][3][4][5]。

Citations:

  1. https://note.com/yuuichi2400/n/na16c02b45bcc
  2. https://en.wikipedia.org/wiki/Alessi_Brothers
  3. https://wmg.jp/alessi-brothers/discography/17163/
  4. http://758ongakudohonpo.blog.fc2.com/blog-entry-242.html
  5. https://www.sessiondays.com/2023/04/1982-alessi-long-time-friends/
  6. https://diskunion.net/rock/ct/detail/XAT-1245262403
  7. http://www.alessibros.com/B&Binterview.html
  8. https://www.westcoast.dk/interviews/interviews-2006/alessi-2006/
  9. https://www.stereo-records.com/detail.php?itemCd=57269
  10. https://www.allmusic.com/album/long-time-friends-mw0000853924
  11. https://www.discogs.com/release/1494812-Alessi-Long-Time-Friends
  12. https://www.last.fm/music/Alessi+Brothers/Long+Time+Friends
  13. https://diskunion.net/rock/ct/detail/RY090910-25
  14. https://www.discogs.com/release/9435351-Alessi-Long-Time-Friends
  15. https://tower.jp/item/2739915
  16. http://www.alessibros.com/aol-epk/Discography.htm
  17. https://y240.exblog.jp/32027201/
  18. http://www.alessibros.com/yourkindwordsArchives.html
  19. http://www.alessibros.com/aol-epk/alessiforum.htm
  20. https://www.last.fm/music/Alessi+Brothers/+albums
  21. https://www.vice.com/en/article/imagine-v14n4/
  22. https://www.youtube.com/watch?v=u30XA8YXcpY
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