エリック・クラプトン『ノー・リーズン・トゥ・クライ』
エリック・クラプトン(Eric Clapton)『ノー・リーズン・トゥ・クライ』(No Reason to Cry)
スポンサーリンク

Eric Clapton(エリック・クラプトン)の4枚目のソロアルバム『No Reason to Cry』(ノー・リーズン・トゥ・クライ)は、1976年8月27日にリリースされました。このアルバムは、クラプトンの創造性が再燃した時期の作品として評価されています[1]。

アルバムの制作背景

『ノー・リーズン・トゥ・クライ』の制作は、カリフォルニア州マリブにあるザ・バンドのスタジオ「シャングリラ」で行われました。このスタジオは元々売春宿だった建物を改装したもので、クラプトンと彼のツアーバンドメンバーが集まり、友人たちと共に録音を行いました[2]。

主な参加ミュージシャンと制作エピソード

このアルバムには多くのゲストミュージシャンが参加しています:

  • ザ・バンドのメンバー
    • ロビー・ロバートソン:ギター、キーボード
    • リチャード・マニュエル:キーボード
    • ガース・ハドソン:キーボード、サックス
    • リック・ダンコ:ベース
    • リヴォン・ヘルム:ドラム
  • ボブ・ディラン:ボーカル
  • ロン・ウッド:ギター
  • ビリー・プレストン:キーボ-ド
  • ジェシー・エド・デイヴィス:ギター
  • ジョージー・フェイム:キーボード

制作中、ボブ・ディランはザ・バンドの敷地内にテントを張って生活しており、気が向いたときにセッションに参加していたそうです6。また、本作のセッションで録音された未発表曲の中には、ヴァン・モリソンが参加した曲や、ピート・タウンゼントが参加した曲もあります。

録音セッションは、クラプトンとベーシストのカール・レイドル、そしてザ・バンドのエンジニアの一人であるロブ・フラボーニがプロデュースを担当しました[2]。

アルバムの音楽性とサウンド

『ノー・リーズン・トゥ・クライ』は、クラプトンのそれまでのソロ作品の延長線上にあるポップ/ロックサウンドを基調としています。しかし、ザ・バンドやその他のゲストミュージシャンとのコラボレーションによって、より豊かな音楽性が生まれています[4]。

アルバムには、クラプトンの優れたギタープレイが随所に聴かれます。アルバムは全体的にリラックスした雰囲気を持ちながら、ライブ感のあるサウンドが特徴です。特に、オーティス・ラッシュの「Double Trouble」のカバーでは、ブルージーで印象的なギターソロを披露しています[1]。

また、The Bandの影響が色濃く出ており、カントリー音楽的な要素も感じられます[35]。Claptonは以前カントリー音楽を好まなかったそうですが、The Bandの音楽がそのギャップを埋めたと語っています[35]。

トラックリスト

作曲者の記載なき楽曲はエリック・クラプトン作。

Side 1

  1. ビューティフル・シング - Beautiful Thing (Rick Danko, Richard Manuel)
  2. カーニヴァル - Carnival
  3. サイン・ラングウィッヂ - Sign Language (Bob Dylan)
  4. カウンティ・ジェイル・ブルース - County Jail Blues (Alfred Fields)
  5. オール・アワ・パスト・タイムズ - All Our Past Times (Eric Clapton, R. Danko)

Side 2

  1. ハロー・オールド・フレンド - Hello Old Friend
  2. ダブル・トラブル - Double Trouble (Otis Rush)
  3. イノセント・タイムズ - Innocent Times (E. Clapton, Marcy Levy)
  4. ハングリィ - Hungry (M. Levy, Dicky Simms)
  5. ブラック・サマー・レイン - Black Summer Rain

特筆すべき楽曲

  1. 「Sign Language」:ボブ・ディランとのデュエット曲で、ロビー・ロバートソンの印象的なギターソロが特徴的です[6]。
  2. 「All Our Past Times」:クラプトンとリック・ダンコの共作で、ダンコの表現力豊かなボーカルが魅力的です[6]。
  3. 「Hello Old Friend」:アルバム唯一のヒット曲(ビルボードチャート24位)で、親しみやすいメロディが特徴です[6]。
  4. 「Hungry」:マーシー・レヴィとの共演で、『Layla and Other Assorted Love Songs』を彷彿とさせるロックナンバーです[6]。

発表時の反響とチャート成績

『ノー・リーズン・トゥ・クライ』は、クラプトンの1970年代の作品の中でも世界的に成功を収めたアルバムの一つです。イギリスでは8位、オランダでは9位にランクインし、アメリカでは15位を記録しました4

批評家からの評価は分かれましたが、オールミュージックの批評家ウィリアム・ルールマンは3.5点(5点満点)を与え、「ザ・バンドのメンバーや他のゲストとのコラボレーションが、アルバムの中で最も記憶に残る音楽を生み出している」と評しています[4]。

まとめ

『ノー・リーズン・トゥ・クライ』は、エリック・クラプトンの1970年代の作品の中でも特異な位置を占めています。ザ・バンドやボブ・ディランとのコラボレーションによって生まれた独特の雰囲気と、クラプトン自身の音楽性が融合した作品として、今でも多くのファンに愛されています。アルバムは、クラプトンの創造性の再燃を示すと同時に、彼の音楽的な幅の広さを証明する重要な一枚となりました[16]。

Citations:

  1. https://www.udiscovermusic.com/stories/eric-clapton-no-reason-to-cry-album/
  2. http://www.eric-clapton.co.uk/collection/albums/noreasontocry.shtml
  3. https://whereseric.com/faq/1997-2007-eric-clapton-band-history-and-lineups/
  4. https://en.wikipedia.org/wiki/No_Reason_to_Cry
  5. https://www.udiscovermusic.jp/stories/rediscover-no-reason-to-cry
  6. https://www.thevinyldistrict.com/storefront/graded-curve-eric-clapton-reason-cry/
  7. https://www.allmusic.com/album/no-reason-to-cry-mw0000189488
  8. https://www.discogs.com/release/3731725-Eric-Clapton-No-Reason-To-Cry
  9. https://www.discogs.com/master/84053-Eric-Clapton-No-Reason-To-Cry
  10. https://www.waxpend.com/items/21032?page=mchrjkuzibdhmnqe
  11. https://www.beatnikgroove.com/?pid=154487543
  12. https://ultimateclassicrock.com/derek-and-the-dominos-layla/
  13. https://theband.hiof.no/albums/no_reason_to_cry.html
  14. https://www.rollingstone.com/music/music-album-reviews/no-reason-to-cry-250691/
  15. https://forums.stevehoffman.tv/threads/eric-clapton-no-reason-to-cry.1219925/
  16. https://en.wikipedia.org/wiki/Eric_Clapton
  17. https://www.instagram.com/ericclapton/p/C6y0pXoOIme/
  18. https://note.com/yuuichi2400/n/n0199831ec233
  19. https://talkfromtherockroom.com/2014/08/eric-clapton-beautiful-thing-1976s-no.html
  20. https://www.facebook.com/AlanPaulauthor/posts/eric-clapton-records-no-reason-to-cry-at-shangri-la-recording-studio-in-malibu-c/3773227596061692/
  21. https://music.apple.com/us/album/no-reason-to-cry-bonus-track-version/1444065478
  22. https://narurukato.exblog.jp/27456023/
  23. https://www.discogs.com/release/1301073-Eric-Clapton-No-Reason-To-Cry
  24. https://sfae.com/Artists/Ed-Caraeff/Eric-Clapton-No-Reason-To-Cry-Album-Cover-Outtake,
  25. https://diskunion.net/rock/ct/detail/0413RK4253
  26. https://www.boardwalk2018.jp/product/359
  27. https://www.waxpend.com/items/21835?page=1
  28. https://whereseric.com/faq/1973-1986-eric-clapton-band-history-and-lineups/
  29. https://www.hmv.co.jp/en/artist_Eric-Clapton_000000000001781/item_No-Reason-To-Cry_4157026
  30. https://forums.stevehoffman.tv/threads/is-no-reason-to-cry-eric-claptons-3rd-best-solo-album.52072/
  31. https://alltime-records.com/01-albums-0005/0005074.php
  32. https://www.hmv.co.jp/en/artist_Eric-Clapton_000000000001781/item_No-Reason-To-Cry-Remastered_966393
  33. https://musictap.com/2024/12/18/eric-clapton-to-release-meanwhile-on-cd-and-2lp/
  34. https://sawyer2015.seesaa.net/article/2017-09-09.html
  35. https://ultimateclassicrock.com/eric-clapton-no-reason-to-cry/
  36. https://www.etsy.com/listing/1002615595/eric-clapton-no-reason-to-cry-1976
  37. https://www.facebook.com/ericclapton/posts/32-years-ago-today-eric-claptons-unplugged-was-released-it-went-on-to-be-the-bes/1087688062725949/
  38. https://www.reddit.com/r/theband/comments/1c7z2kt/thoughts_on_no_reason_to_cry/
  39. https://www.youtube.com/watch?v=9FMESIJ4fzU
  40. https://blogcritics.org/music-review-eric-clapton-no-reason/
  41. https://www.ultimate-guitar.com/articles/features/10_interesting_facts_about_eric_clapton-66469
  42. https://theultimatemusiclibrary.net/2023/03/21/eric-clapton-no-reason-to-cry-1976/
  43. https://en.wikipedia.org/wiki/Pilgrim_(Eric_Clapton_album)
  44. https://whereseric.com/faq/guest-musicians-appearing-eric-claptons-recordings/
スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事