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ジェネシス『インヴィジブル・タッチ』

ジェネシス『インヴィジブル・タッチ』
ジェネシス(Genesis)『インヴィジブル・タッチ』(Invisible Touch)

Genesis(ジェネシス)の13作目『Invisible Touch』(インヴィジブル・タッチ)は、1986年に発表され、世界的なヒットを記録したアルバムです。
バンドのポップ化を象徴する一方で、プログレ的要素も内包しており、発表当時から賛否両論が巻き起こりました[1]。

『インヴィジブル・タッチ』のコンセプトと制作背景

アルバムのコンセプトは一貫した物語性こそありませんが、当時のジェネシスが持っていた自信と開かれた姿勢を反映しています。
制作開始時には楽曲もアイディアもなく、全てはバンドの即興的なジャムセッションとスタジオでの実験から生まれました。
作業はThe Farmという自前スタジオで行われ、ヒュー・パジャム(Hugh Padgham)がプロデューサーとして参加。
曲作りのセッションではフィル・コリンズのドラムマシンから出発し、メンバーが即興でアイディアを膨らませて曲に発展させました[2]。

音楽性とサウンドの特徴

『インヴィジブル・タッチ』は、ポップロックとアートロックの融合と位置付けられます。
明快なシンセサイザー、プログラムド・ドラム、エレクトリックギターが全面に出ており、80年代らしい煌びやかで抜けの良いサウンドが特徴です。
タイトル曲「Invisible Touch」はシンセドラムのリズムとキャッチーなコーラスが印象的で、プリンスやSheila E.の影響も感じられるR&B風の要素も見られます。
「Tonight, Tonight, Tonight」「Land of Confusion」「Domino」など壮大な構成を持つ楽曲も含まれ、バンドのプログレッシブな側面が残っています[3]。

コリンズ自身は「これはジェネシスの最高のポップソングだ」と述べており、バンド全体の新しい方向性を象徴する楽曲となっています。
メンバー3人の創造性と、フックの効いたポップセンスの融合により、ジェネシス史上でも特にコンパクトかつ親しみやすい作品となりました[4]。

制作時のエピソード

レコーディングは毎日午前11時から深夜2時まで行われ、ジャムから生まれたアイディアを膨らませる手法が徹底されました。
「Invisible Touch」はマイク・ラザフォードが偶然奏でたギターリフに、コリンズが即興で「She seems to have an invisible touch, yeah!」と歌ったことから誕生しています。
アルバム全体が事前の構想を持たず、創造的なやりとりの結果として形作られました[5]。

参加ミュージシャン

本作のクレジットはジェネシスの3名のみです。

  • フィル・コリンズ(Phil Collins):ヴォーカル、ドラム、パーカッション
  • トニー・バンクス(Tony Banks):キーボード、シンセベース
  • マイク・ラザフォード(Mike Rutherford):ギター、ベース

制作陣には、プロデューサーのヒュー・パジャム(Hugh Padgham)、エンジニアのポール・ゴマーサル(Paul Gommersall)、マスタリングのボブ・ラドウィグ(Bob Ludwig)らが参加しています[2]。

トラック・リスト

Side 1

  1. インヴィジブル・タッチ(Invisible Touch) - 3:29
  2. トゥナイト、トゥナイト、トゥナイト(Tonight, Tonight, Tonight) - 8:53
  3. 混迷の地(Land of Confusion) - 4:45
  4. イン・トゥー・ディープ(In Too Deep) - 4:58

Side 2

  1. エニシング・シー・ダズ(Anything She Does) - 4:09
  2. ドミノ(Domino) - 10:44
  3. スローイング・イット・オール・アウェイ(Throwing It All Away) - 3:53
  4. ザ・ブラジリアン(The Brazilian) - 4:50

発表時の反響

『インヴィジブル・タッチ』は商業的にも大きな成功を収め、イギリスで1位、アメリカでも3位にランクインしました。
特筆すべきは、アルバム全8曲中5曲が全米TOP5シングルとなったこと。タイトル曲はジェネシス、唯一の全米ナンバーワンヒットとなりました。
MTV全盛期に「Land of Confusion」のパペットを使ったビデオが大きな話題となり、80年代ポップロックの象徴的作品として世間に広まりました[10]。

一方で、往年のプログレファンからは「売れ線への転向」と批判も受けましたが、新規のファン層を大きく広げる効果もありました[11]。

ジャケットデザイン

アルバムカバーはデヴィッド・ベイカー(David Baker, Baker Dave)が制作。
メンバー個々のキャラクターを抽象的かつスタイリッシュに表現し、グループ写真を使わないことでバンドの「個」や「透明感」といったテーマを強調しています。
タイトルにちなんだ「透明な手」と音波パターン、背後には家族のイメージが組み合わされ、時代性とジェネシスの個性が融合した秀逸なデザインとなっています[13]。

特筆すべきこと

『インヴィジブル・タッチ』はジェネシス史上最大の商業的成功を収めたアルバムであり、1987年にはウェンブリー・スタジアム4日連続公演など、伝説的な記録も生みました。
また、アメリカの映画『American Psycho』(アメリカン・サイコ)では「ジェネシスの傑作」として名前が登場するなど、カルチャーにも強い影響を与えています。80年代的な過剰さとオーガニックな即興性が共存した作品として、ポップとプログレの両側面から今も評価が分かれる名盤です[7]。

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  1. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%83%E3%83%81
  2. https://en.wikipedia.org/wiki/Invisible_Touch
  3. https://www.genesis-news.com/article/genesis-invisible-touch-review/
  4. https://onyourmarkus.au/on-this-day-9-june-1986-genesis-release-invisible-touch/
  5. https://genesis-band.com/album/invisible-touch-1986-genesis/
  6. https://tune-sight.com/invisible-touch-by-genesis-2/
  7. https://ultimateclassicrock.com/defense-genesis-invisible-touch/
  8. https://diffuser.fm/genesis-invisible-touch/
  9. https://en.wikipedia.org/wiki/Invisible_Touch_(song)
  10. https://ronanconroy.wordpress.com/2023/02/21/genesis-invisible-touch-album-review/
  11. https://glidemagazine.com/123997/back-jerk-genesis-unfairly-maligned-invisible-touch/
  12. https://www.progarchives.com/album.asp?id=1520
  13. http://www.bluesnaggletooth12.com/list-bestalbum.html
  14. https://www.reddit.com/r/Genesis/comments/1g9k3gv/how_the_invisible_touch_album_cover_was_made_zig/
  15. https://www.reddit.com/r/Genesis/comments/chgcar/invisible_touch_is_a_concept_album_about_a_man/
  16. https://www.youtube.com/watch?v=E6PhtDgNb7g
  17. https://www.reddit.com/r/vinyl/comments/10xb6dz/genesis_invisible_touch_1986_pressing/
  18. https://www.reddit.com/r/Genesis/comments/17xqjn7/just_stumbled_across_this_youtube_upload_from_a/
  19. https://www.reddit.com/r/Genesis/comments/1acr32o/why_is_the_there_so_much_hate_for_invisible_touch/
  20. https://joesiegler.blog/2025/06/genesis-invisible-touch/
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