キング・クリムゾン『暗黒の世界』

King Crimson(キング・クリムゾン)の『Starless And Bible Black』(邦題:暗黒の世界)は、1974年3月にリリースされたバンドの第6作であり、プログレッシブ・ロック界において革新的な作品として高く評価されています[1]。
『暗黒の世界』のコンセプト
『暗黒の世界』は、前作『Larks’ Tongues in Aspic』(邦題:太陽と戦慄)と次作『Red』の「架け橋」とも呼ばれ、バンドがライブ・パフォーマンスで得た創造力や自信が作品全体に満ちています。タイトルはディラン・トマス(Dylan Thomas)のラジオドラマの戯曲「Under Milk Wood」から引用されており、深淵なテーマ性と叙情性を持っています[3]。
制作時エピソード
レコーディングはロンドンのAIRスタジオで行われ、ライブ音源を巧みに編集したことで、その場にいるような臨場感ある仕上がりに。ライブ音源の観客の声を消し、あたかもスタジオ録音に近い雰囲気を演出する編集は斬新でした。この手法は、当時のレコード会社にライブ作認定されることを避ける目的もあったとされます[6]。
参加ミュージシャン
- ロバート・フリップ(Robert Fripp):ギター、メロトロン、ピアネット(Hohner Pianet)、プロデューサー
- ジョン・ウェットン(John Wetton):ベース、ボーカル、追加ギター、プロデューサー
- ビル・ブルーフォード(Bill Bruford):ドラム、パーカッション、プロデューサー
- デイヴィッド・クロス(David Cross):ヴァイオリン、ヴィオラ、キーボード、プロデューサー(本作が最後のフル参加)
- リチャード・パーマー・ジェイムズ(Richard Palmer-James):作詞[1]

音楽性・サウンドの特徴
本作は、即興演奏に大きく焦点を当て、収録曲の大半はライブ録音をスタジオで編集・オーバーダブすることで仕上げられました。そのため、緊張感と「生」のエネルギーが色濃く反映されています。特徴的なのは、不規則なテンポ・ジャズ的なフレーズ・急激なダイナミクス変化、そしてフリップの歪んだギターやクロスの繊細なヴァイオリンが交錯するところ。重厚かつ実験的な曲展開が続く一方で、「The Night Watch」のような叙情的な楽曲も収録されています[2]。
トラック・リスト
Side 1
- 偉大なる詐欺師(The Great Deceiver) - 4:02
- 人々の嘆き(Lament) - 4:00
- 隠し事(We'll Let You Know) - 3:46
- 夜を支配する人(The Night Watch) - 4:37
- トリオ(Trio) - 5:41
- 詭弁家(The Mincer) - 4:10
Side 2
- 暗黒の世界(Starless And Bible Black) - 9:11
- 突破口(Fracture) - 11:14
発表時の反響
リリース当初は非常に高く評価され、特に「インプロヴィゼーションの完成度」と「グループのダイナミックな演奏力」が絶賛されました。Rolling Stone誌は「バンドの夢がついに結実した作品」として称賛し、他にもAllMusicなどの信頼あるメディアでも高評価を得ています。Pitchforkの「1970年代トップ100アルバム」にも選出されています[3]。
特筆すべき事項
- 本作は即興演奏とスタジオトリックとの融合が最大の特徴であり、後年になってそのライブ性や編集手法の斬新さが明らかにされました[5]。
- デイヴィッド・クロスの脱退直前の力強いプレイが聴けるため、彼の貢献を象徴するアルバムにもなっています[3]。
- 「突破口」はフィリップ自身が「最難曲」と語るほど高い演奏技術が求められ、バンドサウンドの到達点の一例とされています[7]。

まとめ
『暗黒の世界』は、キング・クリムゾンの中期の革新性を象徴するアルバムであり、ライブ的エネルギー、即興性、実験的編集技法、メンバーそれぞれの個性が融合した唯一無二の作品として後世に語り継がれています[2]。
- https://en.wikipedia.org/wiki/Starless_and_Bible_Black
- https://pienemmatpurot.com/2024/03/30/review-king-crimson-starless-and-bible-black-1974/
- https://ultimateclassicrock.com/king-crimson-starless-and-bible-black/
- https://www.dgmlive.com/news/starless-bible-black-48-years-old
- https://www.dgmlive.com/in-depth/starless-and-bible-black-the-long-view
- https://www.loudersound.com/features/the-making-of-king-crimsons-starless-and-bible-black
- http://jazz-rock-fusion-guitar.blogspot.com/2017/11/king-crimson-1974-1989-starless-and.html
- https://www.youtube.com/playlist?list=PL6ogdCG3tAWjoN-P6I6j8vmRfP2JDe4QR
- https://www.dgmlive.com/albums/starless-and-bible-black
- https://www.reddit.com/r/KingCrimson/comments/1elri8s/please_explain_me_starless_and_bible_black/
- https://www.reddit.com/r/KingCrimson/comments/148fcn6/thoughts_on_starless_and_bible_black_album/
- https://www.youtube.com/watch?v=lDk7ksmr0Rk
- http://drownedinsound.com/releases/14746/reviews/4138150
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%97%E9%BB%92%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C
- https://ameblo.jp/boogiebrothers1961/entry-12741492750.html
- https://thebluemoment.com/2023/05/08/starless-and-bible-black/
- https://thethinair.net/2017/02/starless-and-bible-black-john-wetton-and-king-crimson/
- https://www.reddit.com/r/KingCrimson/comments/1dafktm/so_whats_the_deal_with_starless_and_bible_black/
- https://www.youtube.com/watch?v=T0F1jOZpQYQ
- https://ameblo.jp/rock19845150/entry-12794898391.html



