M『ニューヨーク-ロンドン-パリ-ミュンヘン』

『New York–London–Paris–Munich』(ニューヨーク-ロンドン-パリ-ミュンヘン)は、英国のミュージシャンRobin Scott(ロビン・スコット)が率いるMによる1979年発表のデビューアルバムです。このアルバムは、当時のポップミュージックの潮流を巧みに取り入れつつ、独自の音楽性を確立した作品として知られています。
『New York, London, Paris, Munich』のコンセプト
『New York, London, Paris, Munich』は、バンドの中心人物であるロビン・スコットが主導したプロジェクトで、タイトルは代表曲「Pop Muzik」の歌詞の一節から取られています[1][3][4]。このアルバムは、当時のポップ・カルチャーのグローバル化や都市の多様性、そして音楽そのものの普遍性を象徴する意図が込められており、主要都市の名前を並べることで「ポップ・ミュージックは世界共通語である」というメッセージを発信しています[2][3]。
音楽性とサウンドの特徴
本作はニュー・ウェイヴとディスコを基調とし、シンセサイザーを大胆に導入した先駆的なサウンドが特徴です。エレクトロニックなリズム、キャッチーなメロディ、そしてロビン・スコットの語り口調のボーカルが融合し、当時のポップ・ミュージックの最先端を体現しています[1][3][4]。
- 「Pop Muzik」は、シンセサイザーとエレクトリック・ビートを駆使した革新的な楽曲で、世界的な大ヒットとなりました。ブリジット・ノヴィク(ロビン・スコットのパートナー)がコーラスで参加し、独特のポップ感を強調しています[3][5]。
- 「Moonlight and Muzak」では、ラテンリズムを取り入れつつ、電子音を駆使したエアリーな雰囲気が特徴的と評されました[1]。
- 「That's the Way the Money Goes」は、キーボード・サウンドが際立つエレクトロ・ダンスチューンとして高く評価されました[1]。
制作時のエピソード
レコーディングはスイス・モントルーのQueen所有「マウンテン・スタジオ」で行われました[1][2][3][4]。制作にはロビン・スコットの家族や親しいミュージシャンが集結し、親密かつ実験的な雰囲気の中で進められています。
- ロビン・スコットはパリでプロデューサー業をしていた時期に曲作りを進め、特に「Moderne Man」はアムステルダムでの経験やパリでの政治的対話からインスピレーションを得たと語っています[2]。
- 「Pop Muzik」のレコーディングには、後にLevel 42で活躍するフィル・グールド(ドラム)、ウォリー・バダルー(キーボード)、ゲイリー・バーナクル(サックス/フルート)が参加[1][2][3][5]。
- 「Moonlight and Muzak」のレコーディング中には、モントルー在住だったデヴィッド・ボウイがスタジオを訪れ、手拍子や現場の盛り上げ役として参加したという逸話も残っています[2][3][4]。
参加ミュージシャン
アルバムの主な参加ミュージシャンは以下の通りです[1][2][3][5]。
- ロビン・スコット(Robin Scott):ボーカル、ギター、シンセサイザー
- ブリジット・ノヴィク(Brigit Novik):コーラス
- ジュリアン・スコット(Julian Scott):ベース
- ウォリー・バダルー(Wally Badarou):キーボード、シーケンサー
- フィル・グールド(Philip Gould):ドラム
- ゲイリー・バーナクル(Gary Barnacle):サックス、フルート
- デヴィッド・ボウイ(David Bowie):ハンドクラップ(「Moonlight and Muzak」)
発表時の反響
- 「Pop Muzik」は全米ビルボードHot 100で1位、全英シングルチャートで2位、オーストラリアでも1位を獲得するなど、世界的なヒットとなりました[3][4][5]。
- アルバム自体もヨーロッパを中心に高い評価を受け、特にイギリスではニュー・ウェイヴとディスコの融合を象徴する作品として注目されました[1]。
- シングル「Moonlight and Muzak」はUKチャート33位、「That's the Way the Money Goes」は45位にランクインしました[5]。
- アメリカではアルバムの売上はやや伸び悩みましたが、シングルの成功とともにクラブシーンでの支持を集めました[4]。
特筆すべきこと・エピソード
- 「Pop Muzik」は初期のプロモーション・ビデオが制作され、ロビン・スコットが巨大なターンテーブルの前でDJとして登場する映像は、MTV時代到来前夜のポップ・ビデオの先駆けとされています[3]。
- UK12インチシングルは「ダブルグルーヴ」仕様で、A面の「Pop Muzik」と「M Factor」がどちらも外周から再生できるギミックを採用。針を落とす位置によってどちらが再生されるかランダムになるという遊び心も話題となりました[3][4]。
- 「Pop Muzik」は1989年にリミックスされ再リリースされ、再びUKチャート15位を記録。さらにU2の「PopMart Tour」でも開演前のBGMとして使用されるなど、長くポップ・カルチャーに影響を与え続けています[5]。
『New York, London, Paris, Munich』は、エレクトロニック・ポップの草分け的存在として、時代を超えて再評価されるアルバムです。都市名を冠したタイトル、先鋭的なサウンド、国際色豊かな制作背景、そして「Pop Muzik」の世界的成功は、1979年の音楽シーンに鮮烈な印象を残しました[1][3][4][5]。
- https://en.wikipedia.org/wiki/New_York%E2%80%93London%E2%80%93Paris%E2%80%93Munich
- http://www.discog.info/M-interview.html
- https://www.wikiwand.com/en/articles/Pop_Muzik
- https://en.wikipedia.org/wiki/Pop_Muzik
- https://en.wikipedia.org/wiki/M_(band)
- http://hiptankrecords.com/?pid=129558555
- https://www.discogs.com/ja/release/443335-M-New-York-London-Paris-Munich
- https://www.albumoftheyear.org/album/144748-m-new-york-o-london-o-paris-o-munich.php
- https://www.discogs.com/release/477633-M-New-York-London-Paris-Munich
- https://www.popintherealworld.co.uk/post/new-york-london-paris-munich