イーグルス『呪われた夜』

イーグルス『呪われた夜』
イーグルス(Eagles)『呪われた夜』(One of These Nights)

Eagles(イーグルス)の4枚目のスタジオアルバム『One of These Nights』(呪われた夜)は、バンドの音楽的進化と商業的成功を象徴する重要な作品です。1975年6月10日にリリースされたこのアルバムは、イーグルスのキャリアにおいて多くの「初」を記録しました。

コンセプトと音楽性

『呪われた夜』は、イーグルスがそれまでのカントリーロックのイメージから脱却し、よりロック寄りのサウンドを追求した作品です[1][3]。ドン・ヘンリーは、この時期を「悪魔的カントリーロックの時代」と冗談交じりに呼び、政治的にも音楽的にも暗い時代だったアメリカを反映していると語っています[3]。

アルバムのサウンドは、R&Bやディスコの影響を強く受けています。特にタイトル曲「One of These Nights」は、ディスコビートを取り入れながらも、危険な雰囲気のギターサウンドを融合させた野心的な楽曲となっています[3][5]。

制作エピソード

アルバムの制作は1974年後半から始まり、グレン・フライとドン・ヘンリーがビバリーヒルズで共同生活をしながら多くの楽曲を書き上げました[3]。レコーディングはマイアミのクライテリア・スタジオとロサンゼルスのレコード・プラント・スタジオで行われました[5][7]。

興味深いエピソードとして、マイアミでのレコーディング中、イーグルスはビージーズ(Bee Gees)と同じスタジオを共有していました。ヘンリーによると、「One of These Nights」の4つ打ちのベースドラムパターンは、ディスコへのオマージュだったそうです[5]。

参加ミュージシャン

アルバムには以下のメンバーが参加しています[3]:

  • グレン・フライ(Glenn Frey):ギター、ボーカル
  • ドン・ヘンリー(Don Henley):ドラムス、ボーカル
  • バーニー・レドン(Bernie Leadon):ギター、バンジョー
  • ランディ・マイズナー(Randy Meisner):ベース、ボーカル
  • ドン・フェルダー(Don Felder):ギター

このアルバムは、バーニー・レドンが参加した最後のイーグルスのアルバムとなりました[4]。

サウンドの特徴

『呪われた夜』は、イーグルスの特徴である美しいハーモニーと卓越したソングライティングが際立つ作品です[6]。アルバム全体を通して、ロック、フォーク、カントリーなど様々なスタイルが融合されており、バンドの多様性と音楽的才能が存分に発揮されています[6][8]。

プロデューサーのビル・シムジク(Bill Szymczyk)の貢献も大きく、彼の卓越したプロダクションにより、各楽器の音や歌声が明確に分離され、バランスの取れたサウンドが実現しています[6]。

発表時の反響と成果

『呪われた夜』は、イーグルスにとって初めてビルボード200チャートで1位を獲得したアルバムとなりました[4][7]。アルバムは5週間にわたって1位を維持し、400万枚以上を売り上げる大ヒットとなりました[4]。

アルバムからは3つのトップ5シングルが生まれました[4]:

  1. 「One of These Nights」(1位)
  2. 「Lyin' Eyes」(2位)
  3. 「Take It to the Limit」(4位)

さらに、アルバムはグラミー賞の「年間最優秀アルバム賞」にノミネートされ、「Lyin' Eyes」は「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞」を受賞しました[7][9]。

特筆すべき点

  1. 「Visions」は、ドン・フェルダーが唯一リードボーカルを務めたEaglesの楽曲です[5]。
  2. 「Journey of the Sorcerer」は、イギリスのSFミニシリーズ「銀河ヒッチハイク・ガイド」のテーマ曲として使用され、カルト的な人気を博しました[5][6]。
  3. オリジナルのビニールレコード盤には、レコードの溝に次の隠されたメッセージが刻まれていました。A面:「Don't worry --」、B面:「-- Nothing will be O.K.!」[3]。

『呪われた夜』は、イーグルスの音楽的成熟と商業的成功を象徴する重要な作品であり、後に続く『Hotel California』への橋渡しとなった記念碑的なアルバムと言えるでしょう。

Citations:
[1] https://winetravelandsong.com/classic-albums-bands/one-of-these-nights-album-eagles/
[2] https://ontherecord.co/2024/11/01/eagles-one-of-these-nights/
[3] https://en.wikipedia.org/wiki/One_of_These_Nights
[4] https://ultimateclassicrock.com/eagles-one-of-these-nights-album/
[5] https://en.wikipedia.org/wiki/One_of_These_Nights_(Eagles_song)
[6] https://www.subjectivesounds.com/musicblog/eagles-one-of-these-nights-album-review
[7] https://www.rhino.com/article/once-upon-a-time-in-the-top-spot-eagles-one-of-these-nights
[8] https://quietwheels.com/famous-celebrity/eagles-one-of-these-nights.html
[9] https://www.goldminemag.com/features/ranking-the-music-and-collectibility-of-eagles-70s-studio-albums

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