モーリス・ホワイト『スタンド・バイ・ミー』

モーリス・ホワイト『スタンド・バイ・ミー』
モーリス・ホワイト(Maurice White)『スタンド・バイ・ミー』(Maurice White)

『Maurice White』(邦題:スタンド・バイ・ミー)は、アース・ウィンド&ファイアー(EW&F)の創設者でありリーダーであるモーリス・ホワイトが1985年9月にColumbia Recordsからリリースした初のソロ・アルバムです[1]。

モーリス・ホワイト『スタンド・バイ・ミー』のコンセプトと背景

EW&Fの活動と並行しながら制作されたこのアルバムは、ホワイト自身がプロデュースを手掛け、彼の音楽的アイデンティティとソウルフルな精神性を個人名義で表現した作品です。EW&Fで培った多様な音楽性をベースにしつつ、よりパーソナルで洗練されたR&B/ソウル・サウンドを追求しています[1][2]。

音楽性・サウンドの特徴

アルバムはR&Bとソウルを基調としつつ、80年代らしいシンセサイザーやドラム・プログラミングを多用した「ラッシュなダンストラック」と「珠玉のバラード」がバランス良く収録されています。EW&Fの華やかなホーン・セクションやポリリズム的な要素も随所に感じられますが、ソロ作としてはより緻密で繊細なアレンジが特徴です。ヴォーカルは「上品でゴージャズ」と評され、ホワイトの温かく包容力のある歌声が際立っています[1][2]。

代表曲はベン・E・キングの名曲「Stand by Me」のカバーで、これはビルボードHot Soul Songsチャートで6位、Adult Contemporaryチャートでも11位を記録し、アルバムのハイライトとなっています[1]。オリジナル曲「I Need You」も同チャートで好成績を収めました[3]。

制作時のエピソードと参加ミュージシャン

制作はロサンゼルスのBill Schnee StudiosやOcean Way Recordingなど複数のスタジオで行われ、ホワイト自身がプロデュースを担当。参加ミュージシャンも豪華で、サックスのジェラルド・アルブライト(Gerald Albright)、キーボードのジェフ・ローバー(Jeff Lorber)、イエロージャケッツのドラマー、リッキー・ローソン(Ricky Lawson)、ギタリストのポール・ジャクソン・ジュニア(Paul Jackson Jr.)、作曲家のマーティン・ペイジ(Martin Page)、The Emotionsのウェイン・ボーン(Wayne Vaughn)とワンダ・ボーン(Wanda Vaughn)など、当時の一流ミュージシャンが名を連ねています[1][3]。

「I Need You」では、ベースにエイブラハム・ラボリエル(Abraham Laboriel)、ドラムにジョン・ロビンソン(John Robinson)、ギターにポール・ジャクソン・ジュニア(Paul Jackson Jr.)、パーカッションにパウリーニョ・ダ・コスタ(Paulinho Da Costa)など、AORやフュージョン界の名手たちが参加し、洗練されたグルーヴを生み出しています[3]。

発表時の反響

アルバムはBillboard Top R&B Albumsチャートで12位、オランダのAlbum Top 100で35位を記録し、商業的にも一定の成功を収めました[1]。批評家からも高く評価されており、The Guardianは「シンセとドラム・プログラミングが完璧に配置されたラッシュなダンストラックとバラードのコレクション」と賞賛。Allmusicは「ソロ・デビューとして素晴らしい出来」と評し、Popmattersは「EW&Fのエネルギーを凝縮しつつ、ホワイトの自信に満ちたヴォーカルを堪能できる」と述べています[1]。Musician誌では「EW&Fのクラシックなサウンドを彷彿とさせるが、より繊細で洗練されたアプローチ」と分析されています[1][2]。

特筆すべき点

  • EW&Fのサウンドを踏襲しつつも、より個人的で洗練された音作りが印象的。
  • 80年代らしいシンセや打ち込みを積極的に導入しながらも、ホワイトの温かみあるヴォーカルとメロディセンスが際立つ。
  • 参加ミュージシャンが非常に豪華で、ジャンルを超えた人脈の広さが反映されている。
  • 「Stand by Me」のカバーは、オリジナルに敬意を払いながらも現代的なアレンジで新たな魅力を引き出している[1]。
  • 2001年にはボーナストラックを加えて再発されるなど、長く愛される作品となっている[1]。

まとめ

『Maurice White』は、EW&Fのリーダーとしての集大成であると同時に、モーリス・ホワイト個人の音楽的ビジョンと情熱が凝縮された一枚です。80年代R&B/ソウルの名盤であり、時代を超えて聴き継がれる価値あるアルバムと言えるでしょう[1][2]。

  1. https://en.wikipedia.org/wiki/Maurice_White_(album)
  2. https://kids.kiddle.co/Maurice_White
  3. https://en.wikipedia.org/wiki/I_Need_You_(Maurice_White_song)
  4. https://americanahighways.org/2024/04/29/review-maurice-white-manifestation/
  5. https://anywherestore.p-vine.jp/en/products/plp-7427
  6. https://en.wikipedia.org/wiki/Maurice_White
  7. https://omnivorerecordings.com/shop/manifestation/
  8. https://www.npr.org/sections/therecord/2016/02/05/465703176/maurice-white-the-audacity-of-uplift
  9. https://soulmusic.com/maurice-white-manifestation-cd/
  10. https://note.com/calm_phlox701/n/nbee3a2479773
  11. https://music.apple.com/my/artist/maurice-white/461217
  12. https://www.groovenutrecords.net/products/detail/17179
  13. https://lightmellow.livedoor.biz/archives/52398162.html
  14. https://www.mauricewhite.com
  15. https://www.earthwindandfire.com/maurice-white/
  16. https://kenta45rpm.com/2024/05/08/manifestation-maurice-white/
  17. https://www.yahoo.com/entertainment/quiet-greatness-earth-wind-fire-135500820.html
  18. https://www.allmusic.com/album/maurice-white-mw0000196281
  19. https://soulmusic.com/maurice-white-2022-personal-reflections-from-david-nathan-earth-wind-fire-classic-1975-interview/
  20. https://www.songwriteruniverse.com/mauricewhite123/
  21. https://memphismusichalloffame.com/inductee/mauricewhite/
  22. https://anywherestore.p-vine.jp/products/pcd-26113
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