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ジェリー・マリガン・カルテット『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット』

ジェリー・マリガン・カルテット『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット』
ジェリー・マリガン・カルテット(Gerry Mulligan Quartet)『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット』(Gerry Mulligan Quartet Featuring Chet Baker)

1955年リリースのジェリー・マリガン・カルテット『Gerry Mulligan Quartet Featuring Chet Baker』(邦題:オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット)は、チェット・ベイカーをフィーチャーした西海岸ジャズの金字塔とされている作品です。
ピアノレス・カルテットという革新的な編成で、クールジャズの代表的アルバムとして高く評価されています[1]。

コンセプトと音楽性

このアルバム最大の特徴は、ピアノを排し、バリトン・サックス(マリガン)とトランペット(ベイカー)が対話しながら、自由な即興とアンサンブルを追求した点です。
ピアノの既成和声がないことによって、各楽器が予測可能なコード進行から解放され、より開放的なグループ・インタープレイが生まれました。
これにより、クラシカルでリリカルなマリガンのバリトンサックスと、直感的で温かみあるベイカーのトランペットが絡み合い、独特のクールな雰囲気を生み出しました[2]。

ラーシュ・ヤングやマイルス・デイヴィスといった「クール派」の流れを汲みつつも、従来のビバップとは一線を画した“チャンバー的”なアレンジと、即興の躍動感が魅力です。
特に「Nights at the Turntable」「Walkin' Shoes」「Soft Shoe」など、ミディアム・テンポの曲でメロディアスなやり取りを展開しています[1]。

参加ミュージシャン

  • ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan):バリトン・サックス
  • チェット・ベイカー(Chet Baker):トランペット
  • カーソン・スミス(Carson Smith):ベース
  • ボブ・ウィットロック(Bob Whitlock):ベース
  • ラリー・バンカー(Larry Bunker):ドラム
  • チコ・ハミルトン(Chico Hamilton)​:ドラム
  • リチャード・ボック(Richard Bock):プロデューサー

ベイカーは当時から“天性の即興者”であり、マリガンとの音楽的な相性は抜群。マリガン自身も「これほど合うプレイヤーは他にいなかった」と語っています[3]。

トラック・リスト

Side 1

  1. フレネシー(Frenesi) - 3:09
  2. ナイツ・アット・ザ・ターンテーブル(Nights At The Turntable) - 2:52
  3. 木の葉の子守唄(Lullaby Of The Leaves) - 3:13
  4. ジェル(Jeru) - 2:30
  5. チェリー(Cherry) - 2:55
  6. スイングハウス(Swinghouse) - 3:29

Side 2

  1. アイ・メイ・ビー・ロング(I May Be Wrong) - 2:58
  2. アーント・ユー・グラッド・ユーアー・ユー(Aren't You Glad You're You) - 2:52
  3. アイム・ビギニング。トゥ・シー・ザ・ライト(I'm Beginning To See The Light) - 3:07
  4. ザ・ニアネス・オブ・ユー(The Nearness Of You) - 2:51
  5. メイキン・フーピー(Makin' Whoopee) - 3:26
  6. 二人でお茶を(Tea For Two) - 3:21

制作時のエピソード

録音は1952年から1953年にかけて行われ、多くがパシフィック・ジャズのプロデューサー宅でテープレコーダーを用いて録音するなど、非常に実験的な方法で作られました。
ジャズLPの黎明期であり、収録曲数や演奏時間も当時としては斬新でした。プロデューサーのリチャード・ボックは「ベイカーのソロは編集とスプライスが必要なくらい未熟だったが、それすらバンドの成長を示した」と述べています[4]。

サウンドの特徴

  • ピアノレスによるアンサンブルの透明度(和声の制約から自由)
  • バリトンサックスとトランペットの対話的インプロヴィゼーション
  • メロディアスでクールなサウンド
  • リリカルかつ温かみのあるベイカーのトランペット[2]​
  • シンブルかつしなやかなリズムセクション

このアプローチは後の西海岸ジャズ、クール・ジャズのひとつの標準となり、既存ビバップのクローズドな印象と対照的な“開放感”を与えました。

反響と評価

リリース当時からジャズ界に新風を巻き起こし、カルテットのライブは常に満員、レコードも大ヒットし、批評家・ファンともに称賛されました。
しばしば「クールジャズの象徴」として言及され、後世に大きな影響を与えています。また、ベイカーのスター性もこの時期に確立しました[3]。

特筆すべきこと

  • 麻薬問題でマリガンが一時収監され、カルテットは分裂しますが、ベイカーは独自のスタイルとスター性を確立[5]。​
  • 二人の再共演は1955年のニューポート・ジャズ・フェスティバルなどで短期間実現し、その後も折に触れて共演しています。
  • “ピアノレス・カルテット”は当時としては革新であり、後のジャズグループの多様性にも大きく影響しました[1]。​

西海岸ジャズへの影響

このアルバムは“ウェストコースト・ジャズ”や“クール・ジャズ”のイメージを確立させ、以降のジャズ史においても重要な作品とみなされています。
その後、マリガンやベイカーは別々のキャリアを歩むものの、この時期の録音は今なお高い評価を受けています[5]。

まとめ

『Gerry Mulligan Quartet Featuring Chet Baker』は、マリガンとベイカーの稀有な音楽的親和性、ピアノレス編成による革新的サウンド、そして西海岸ジャズ史上不可欠な存在として、1955年のみならず今日まで語り継がれる名盤です[3]。

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  1. https://jazzprofiles.blogspot.com/2019/10/the-gerry-mulligan-quartet-19521953.html
  2. https://raggywaltz.com/2017/12/11/gerry-mulligan-quartet-gerry-mulligan-pacific-jazz-pjlp-1/
  3. https://en.wikipedia.org/wiki/Gerry_Mulligan
  4. https://jpcavanaugh.com/2021/03/12/gerry-mulligan-and-chet-baker-two-cool-cats/
  5. https://attictoys.com/the-birth-of-the-cool-legacy-part-3-gerry-mulligan/
  6. https://stuartnicholson.uk/the-1952-3-gerry-mulligan-quartet-with-chet-baker-forgotten-jazz-classics/
  7. https://academic.oup.com/book/46137/chapter/404717724
  8. https://www.pointofdeparture.org/archives/PoD-84/PoD84Shipton.html
  9. https://diskunion-jazztokyo.blog.jp/archives/22816005.html
  10. https://blogs.loc.gov/music/2015/03/gerry-mulligan-recording-added-to-national-recording-registry/
  11. https://www.youtube.com/watch?v=SPBWZmXTQrA
  12. https://goatless.org/2025/01/22/gerry-mulligan-quartet-featuring-chet-baker-gerry-mulligan-quartet-1955-on-pacific-jazz
  13. https://en.wikipedia.org/wiki/Gerry_Mulligan_Quartet_Volume_1
  14. https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008718158
  15. https://www.youtube.com/watch?v=FOn6YlP35FQ
  16. https://www.facebook.com/groups/478613695592616/posts/8376303369156903/
  17. https://open.spotify.com/album/44II03T6gHXzJQUeT6O6Pc
  18. https://www.facebook.com/groups/478613695592616/posts/7505889386198310/
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