メル・トーメ『メル・トーメ・スウィングズ・シューバート・アレイ』

Mel Torme(メル・トーメ)のアルバム『Mel Torme Swings Shubert Alley』(メル・トーメ・スウィングズ・シューバート・アレイ)は、1960年に発表されたヴォーカル・ジャズの名盤であり、彼のキャリアを代表する作品の一つです。
ミュージカル黄金期のブロードウェイ・スタンダードを、ウェストコースト・ジャズの軽快なアレンジで再解釈したことが大きな特徴です。
マーティ・ペイチ(Marty Paich)のオーケストレーションとともに、ロサンゼルス録音の「クール・ジャズ」とニューヨークの「シアター・ミュージック」の融合が完成度高く実現されています[1]。
『メル・トーメ・スウィングズ・シューバート・アレイ』のコンセプトと音楽性
『スウィングズ・シューバート・アレイ』のコンセプトは、タイトルにもある通り「Shubert Alley=ブロードウェイ」の名曲集です。
1943年『Oklahoma!』から1956年『My Fair Lady』まで、映画・舞台音楽の巨匠たちの楽曲を取り上げ、ジャズ・ヴォーカルとして蘇らせています。
メル・トーメ自身の美しくスウィングする歌唱に加え、ウェストコースト・クールジャズを象徴するオーケストラMarty Paich Dektette(マーティー・ペイチ・デクテット)が上質なビッグバンド・サウンドを提供しています[2]。
サウンドの特徴としては、現代の録音技術にはない「艶やかな中域」、エネルギー、ライブ感、奥行きのあるステレオ音場、そして細やかなアタックが際立っています。メル・トーメの声があたかも目の前にあるかのようなリアリティと、管楽器による色彩豊かなアレンジが織りなされています[4]。
トラック・リスト
収録曲は以下の全12曲で、すべてがミュージカル由来のスタンダードです。
Side 1
- トゥー・クロース・フォー・カムフォート(Too Close for Comfort)
- ワンス・イン・ラヴ・ウィズ・エイミー(Once in Love with Amy)
- ア・スリーピン・ビー(A Sleepin' Bee)
- 君住む街角(On the Street Where You Live)
- オール・アイ・ニード・イズ・ア・ガール(All I Need Is a Girl)
- ジャスト・イン・タイム(Just in Time)
Side 2
- ハロー、ヤング・ラヴァーズ(Hello, Young Lovers)
- 飾りのついた四輪馬車(The Surrey with the Fringe on Top)
- オールド・デヴィル・ムーン(Old Devil Moon)
- ホワットエヴァー・ローラー・ウォンツ(Whatever Lola Wants)
- トゥー・ダーン・ホット(Too Darn Hot)
- ロンリー・タウン(Lonely Town)
参加ミュージシャン
参加ミュージシャンは、ウェストコースト・ジャズ界屈指の名手が揃っています。主なメンバーは以下の通りです[3]。
- ヴォーカル:メル・トーメ(Mel Tormé)
- ピアノ、アレンジャー:マーティー・ペイチ(Marty Paich)
- トランペット:アル・ポーシノ(Al Porcino)、ステュー・ウィリアムソン(Stu Williamson)
- トロンボーン:フランク・ロソリーノ(Frank Rosolino)
- フレンチ・ホルン:ヴィンセント・デローザ(Vincent DeRosa)
- アルト・サックス:アート・ペッパー(Art Pepper)
- テナー・サックス:ビル・パーキンス(Bill Perkins)
- バリトン・サックス:ビル・フッド(Bill Hood)
- チューバ:レッド・カレンダー(Red Callender)
- ウッドベース:ジョー・モンドラゴン(Joe Mondragon)
- ドラムス:メル・ルイス(Mel Lewis)
プロデューサーはラス・ガルシア(Russell Garcia)、録音はハリウッドのRadio Recordersスタジオで行われました[1]。

制作エピソードと特筆すべきこと
このアルバムの制作は、メル・トーメとマーティ・ペイチが長年培ったコンビネーションの集大成とされ、特にペイチのアレンジ技術が各曲の個性を引き出しています。
また、同じ年に近代ジャズとミュージカルが同時に発展した背景も、彼らの選曲と演奏に反映されています。
「Godchild」など、クールジャズのフレーズがアレンジ内に引用されていることも研究対象となっています[9]。
また、管楽器群のサウンドは、ロサンゼルス録音らしい「クール」な透明感とともに、熱気あるグルーヴを同時に感じさせます。「Too Darn Hot」のスピード感や、「On the Street Where You Live」のエレガントな雰囲気は、ジャズとブロードウェイ・ミュージカルの幅広い魅力を象徴しています。
発表時の反響と評価
リリース当時から高い評価を受け、特にメル・トーメのヴォーカルとマーティ・ペイチのビッグバンドが「ジャズとミュージカルの理想的な結婚」と評されています。
『Penguin Guide to Jazz』では「コア・コレクション」に選出され、Allmusicなどでもマスターピースとして位置づけられています[2]。
オリジナルのVerve盤は音質面でも評価が高く、再発盤を含め今でもオーディオ・ファン、ジャズ・コレクターの間で愛され続けています。
レトロな録音技術を活かしたサウンドは新規リスナーにも大きな魅力となっています[5]。
総括
『Mel Torme Swings Shubert Alley』は、ジャズ・ヴォーカルとブロードウェイ・ミュージカルが絶妙に融合した歴史的名盤です。
演奏陣の充実、アレンジの巧みさ、録音の素晴らしさは、今なお色褪せることなく音楽ファンを魅了し続けています。
特筆すべきは、ウェストコースト・ジャズの名手たちによる完成度の高いバンド・サウンドと、メル・トーメのスウィング感溢れるヴォーカル、そしてミュージカル楽曲への深い愛情が一体となった作品だということです。
- https://en.wikipedia.org/wiki/Mel_Torm%C3%A9_Swings_Shubert_Alley
- https://willfriedwald.substack.com/p/swinging-shubert-alley
- https://www.prestomusic.com/jazz/products/8496315--mel-torme-swings-shubert-alley
- https://ontherecord.co/2023/04/19/mel-torme-swings-shubert-alley-super-hot-stamper/
- https://www.freshsoundrecords.com/mel-torme-albums/56520-swings-shubert-alley-vinyl.html
- https://music.apple.com/jp/album/swings-shubert-alley/594952205
- https://ototoy.jp/_/default/p/320365
- https://www.allmusic.com/album/swings-shubert-alley-mw0000188828
- https://www.athensjournals.gr/humanities/2023-5702-AJHA-HUM-Ferguson-02.pdf
- https://v-matsuwa.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/swings-shubert-.html
- https://mera-record.stores.jp/items/66613dcb6c33ac002f77a583
- https://music.apple.com/jp/album/mel-torm%C3%A9-swings-shubert-alley/1442996374?l=en-US
- https://www.jazzcat-record.com/?pid=152346749
- https://castalbums.org/recordings/Mel-Torme-Swings-Shubert-Alley-1960-Mel-Torme/17882
- https://open.spotify.com/album/0CEOTjrTaR5vu6GlptfPFE
- https://forums.stevehoffman.tv/threads/mel-torme-swings-shubert-alley.9736/


