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エロル・ガーナー『ガーナリング』

エロル・ガーナー『ガーナリング』
エロル・ガーナー(Erroll Garner)『ガーナリング』(GARNERING)/米国再発盤

Erroll Garner(エロル・ガーナー)のアルバム『GARNERING』(ガーナリング)は、1950年代初頭のジャズ・ピアノのサウンドを象徴するトリオ作品であり、彼独自のリズミカルなピアノ・タッチと、親しみやすいメロディの解釈が色濃く表現された作品です[1]。

『ガーナリング』のコンセプトと音楽性

本作は、ガーナーの「ガーナリング(Garnering)」、すなわち彼独特の鍵盤アプローチ──跳ねるようなリズムと、分厚い和音、そして右手による流れる装飾的メロディを存分に楽しめることが主眼とされています。
彼のスタイルは、スウィング、バップ(ビバップ)、ラグタイムなど複数の伝統を独自にブレンドしたものです。
左手が絶妙なベースラインやブロックコードでリズムを刻みながら、右手は煌びやかな装飾音で旋律を彩り、典型的なスウィング感とリリシズムが際立っています。
この時期のガーナーは、まるでアンサンブル全体を一人で表現するかのようなダイナミクスを持ち、ドライブ感が際立つ演奏が特徴的です[3]。

サウンドの特徴

アルバムの音質やサウンドは、録音年代特有の温かく素朴な空気感とともに、トリオによるシンプルで濃密なインタープレイが楽しめます。
全体的に、洗練されたリズムとダイレクトな録音が、現代的とは異なる“生音”の臨場感を伝えてくれます[2]。

制作時のエピソード

『ガーナリング』の録音は、1949年9月から1950年4月にかけて行われました。当時のガーナーは既に人気ピアニストとしての地位を確立しており、数多くのレパートリーをレコーディングしていた時期です。
彼は譜面を使わず、頭の中で構築した即興をテープに録音し、それを後で他者に譜面化させていたことも知られています[2]。

参加ミュージシャン

本アルバムにおけるトリオ・メンバーに関して確定的な情報は多くありませんが、当時のガーナーの録音では、ジョン・シモンズ(ベース)、ドック・ウェスト(ドラムス)がよく共演していたことがディスコグラフィ上では示唆されています。ピアノはもちろんエロール・ガーナー本人です[7]。

Erroll Garner Trio(録音当時のメンバーで収録メンバーかは不確定)

  • エロール・ガーナー(Erroll Garner):ピアノ
  • ジョン・シモンズ(John Simmons):ベース
  • ドック・ウェスト(Doc West):ドラムス

トラック・リスト

Side 1

  1. ディープ・パープル(Deep Purple) - 2:15
  2. ボニー・ボーイ(Bonnie Boy) - 2:47
  3. ティッピン・アウト・ウィズ・エロール(Tippin' Out With Erroll) - 2:55
  4. リラクシン・アット・シュガー・レイズ(Relaxin' At Sugar Ray's) - 2:25
  5. マイナー・ウィズ・ザ・トリオ(Minor With The Trio) - 2:25
  6. ノー・ムーン(No Moon) - 2:45

Side 2

  1. ケルン(Cologne) - 2:34
  2. レイジー・リヴァー(Lazy River) - 2:28
  3. アイ・レット・ア・ソング・ゴー・アウト・オブ・マイ・ハート(I Let A Song Go Out Of My Heart) - 2:40
  4. ジターバグ・ワルツ(Jitterbug Waltz) - 2:51
  5. ザ・クエーカー(The Quaker) - 2:51
  6. スキャッターブレイン(Scatterbrain) - 2:30

発表時の反響

『ガーナリング』は、当時のジャズ・マーケットにおいて「ガーナーらしいピアノ・トリオ・アルバム」として受け入れられ、その躍動感あるピアノとアンサンブルの一体感が高く評価されました。
ガーナーは「Misty」のヒット以前から広範囲な人気を博していましたが、本作も彼の即興センスと変幻自在なピアノの良さが十二分に発揮されていると好意的に受け入れられました[4]。

特筆すべきこと

・ガーナーは譜面なしで演奏し、演奏録音を他人が採譜するという珍しい創作方法をとっていました。
・アルバム全体を通じて、ガーナー独自の“スイング感”“跳ね感(ローピング)”が堪能でき、彼の音楽的個性が形となっている貴重な記録と言えます[5]。
・また、ガーナー自身の旺盛な創作意欲が感じられる、“時代を超えて愛されるピアノ・トリオ”の典型的サウンドとして、現在でも感度の高いジャズ・ファンやピアノ愛好家から再評価されています[3]。

以上の点から、『ガーナリング』はエロール・ガーナーの多彩な音楽性と即興力を体感できる、モダン・ジャズ・トリオのエッセンスが凝縮された作品です[1]。

※写真はアメリカの再発LPなので、オリジナル盤とジャケットのデザインが異なります。

  1. https://www.dustygroove.com/item/592254/Erroll-Garner:Garnering
  2. https://www.allmusic.com/album/garnering-mw0000873049
  3. https://www.wrti.org/arts-desk/2021-09-23/theres-more-to-erroll-garner-than-his-hit-misty-but-its-a-good-place-to-start
  4. https://www.ebsco.com/research-starters/history/erroll-garner
  5. https://www.jazzmusicarchives.com/artist/erroll-garner
  6. https://www.youtube.com/watch?v=YsiAYFidn50
  7. https://www.jazzdisco.org/erroll-garner/discography/
  8. https://en.wikipedia.org/wiki/Erroll_Garner
  9. https://jazztimes.com/reviews/albums/erroll-garner-the-complete-concert-by-the-sea/
  10. https://www.jazzdisco.org/erroll-garner/catalog/album-index/
  11. https://www.npr.org/2015/09/21/442215680/revisiting-the-intense-twists-and-turns-of-garners-concert-by-the-sea
  12. https://www.allaboutjazz.com/album/garnering-erroll-garner/
  13. https://rhythmofstudy.com/2013/01/15/track-reviews-errol-garner-jazz-com/
  14. https://microgroove.jp/mercury/MG20009.shtml
  15. https://artsfuse.org/205773/jazz-album-review-pianist-erroll-garner-the-best-tunes-played-with-mucho-gusto/
  16. https://www.waxpend.com/items/17678
  17. https://robertgreenbergmusic.com/robert-greenberg-recommends-erroll-garner/
  18. https://downbeat.com/reviews/detail/campus-concert
  19. https://www.nytimes.com/2016/08/09/arts/music/erroll-garner-ready-take-one.html
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