山下達郎『CIRCUS TOWN』

『CIRCUS TOWN』(サーカス・タウン)は、1976年12月25日にリリースされた山下達郎の初ソロ・アルバムであり、日本のシティポップ史における重要な出発点です。
シュガー・ベイブ解散後、山下が新たな音楽的挑戦として臨んだ本作は、ニューヨークとロサンゼルスというアメリカ2都市で録音され、当時の日本では稀有な海外レコーディング作品となりました[1][8][9]。
『サーカス・タウン』のコンセプトと制作背景
シュガー・ベイブ時代に目指した60年代テイストやレコード・マニア的趣味性が日本の音楽シーンで受け入れられなかった挫折感、そしてバンド解散による精神的ダメージから、山下は「自分の音楽的力量を客観的に判断したい」との思いで海外録音を決意。
ソロ・デビューは必然ではなく、むしろ状況に押し出されたものでした[1][9]。
A面(ニューヨーク・サイド)は、山下が敬愛する名アレンジャー、チャーリー・カレロをプロデューサーに迎え、現地の一流セッション・ミュージシャンとともに録音。
B面(ロサンゼルス・サイド)は予算の都合で現地スタッフが変わり、異なる空気感を持つ2部構成となっています[3][8][9]。
音楽性・サウンドの特徴
ニューヨーク・サイド(A面)
- 重厚かつ都会的なアレンジが特徴。流麗なストリングスと緻密なリズムセクション、そしてニューヨークのトップ・セッション・ミュージシャンによる演奏が、洗練されたアメリカン・ポップス/ソウルの雰囲気を醸し出します[7][8]。
- 代表曲「CIRCUS TOWN」は、まさに“ニューヨーク”をイメージして作られ、カレロのストリングス・アレンジと山下のギターカッティング、コーラスワークが絶妙に絡み合います[2][8]。
- 「WINDY LADY」はシカゴのリズム&ブルースから着想を得たファンキーな楽曲で、山下のギターとサックスソロ(ジョージ・ヤング)が印象的です[1][2][8]。
- 「MINNIE」はジャズやブラジル音楽のハーモニーを消化した洒脱なバラード、「永遠に」は東海岸ポップスへのオマージュが感じられます[8]。
ロサンゼルス・サイド(B面)
- カラッと明るいアメリカン・ポップスの要素が前面に出たサウンドで、A面とは異なる開放感が特徴です[3][7]。
- 参加ミュージシャンも変わり、ケニー・アルトマン(ベース)、ビリー・ウォーカー(ギター)、ジョン・ホッブス(ピアノ)、ジェリー・イエスター(コーラス)らが参加。都会的な洗練と西海岸らしい軽快さが同居しています[3][7]。
- 「LAST STEP」や「夏の陽」など、山下のメロディーメイカーとしての資質が光る楽曲が並びます[3][7]。
トラック・リスト
Side A(ニューヨーク・サイド)
- CIRCUS TOWN(サーカス・タウン) - 4:11
- WINDY LADY(ウインディ・レイディ) - 5:42
- MINNIE(ミニー) - 4:20
- 永遠に - 4:55
Side B(ロサンゼルス・サイド)
- LAST STEP(ラスト・ステップ) - 3:29
- CITY WAY(シティ・ウェイ) - 3:38
- 迷い込んだ街と - 4:40
- 夏の陽 - 4:24
参加ミュージシャン
ニューヨーク・サイド
- チャーリー・カレロ(Charlie Calello):プロデュース・アレンジ
- アラン・シュワルツバーグ(Allan Schwartzberg):ドラムス
- ウィル・リー(Will Lee):ベース
- ジョン・トロペイ(John Tropea):ギター
- ジェフ・ミロノフ(Jeff Mironov):ギター
- パット・レビヨット(Pat Rebillot):キーボード
- ジミー・マーレン(Jimmy Maelen):コンガ
- デイヴッド・サミュエルズ(David Samuels):ヴィブラフォン
- ランディ・ブレッカー(Randy Brecker):トランペット
- ジョン・ファディス(Jon Faddis):トランペット
- ジョージ・ヤング(George Young):アルトサックス
- ルー・マリーニ(Lou Marini):アルトサックス
- ロメオ・ペンケ(Romeo Penque):バリトンサックス
- エマニュエル・グリーン(Emanuel Green):ストリングス
- ジーン・オルロフ(Gene Orloff):ストリングス
ロサンゼルス・サイド
- ジョン・サイター(John Seiter):ドラムス・プロデュース
- ジミー・サイター(Jimmy Seiter):パーカッション・プロデュース
- ケニー・アルトマン(Kenny Altman):ベース
- ビリー・ウォーカー(Billy Walker):ギター
- ジョン・ホッブス(John Hobbs):ピアノ
- ジェリー・イエスター(Jerry Yester):コーラス[3][7]
制作時のエピソード
- 山下はニューヨーク録音時、一流ミュージシャンを前に極度の緊張で「ろくに声も出なかった」と後年語っていますが、そのギリギリ感が逆にアルバムの独特なテンションとなっています[5]。
- 「WINDY LADY」では、山下が持ち込んだデモテープを聴いたカレロから「君の曲はニューヨークというよりシカゴの香りがする」と言われ、山下自身の作曲法に自信を持つきっかけとなったそうです[1]。
- 予算の都合でB面はロサンゼルス録音となったものの、その結果としてA/B面で異なる都市の空気感がアルバム全体の魅力となりました[3][8][9]。
発表時の反響と評価
- 当時、日本の音楽シーンで海外録音は珍しく、音楽ファンや評論家から「日本人離れしたリズム感」「都会的で洗練されたサウンド」と高く評価されました[6][7]。
- 近年もアナログ盤再発やリマスター盤が好評を博し、世代を超えて新たなファンを獲得し続けています。特にアナログ盤では「温かく優しい音」がCDとは違うと語るファンも多く、音質面でも高い評価を受けています[4][6]。
- シティポップ再評価の流れの中で、若い世代や海外リスナーからも注目される作品となっています[4][6]。

特筆すべきこと
- A面(ニューヨーク)とB面(ロサンゼルス)で異なる都市の空気感を体現している点は、日本のポップス史でも極めてユニークです[7][8][9]。
- 山下達郎の「音の職人」としての徹底したサウンド追求の原点がここにあり、以後の作品にも通じる「ライブ感」や「空気感」の出発点となりました[6]。
- 参加ミュージシャンの豪華さ、そして山下自身の作曲・アレンジ・演奏・歌唱すべてにおける高い完成度は、今なお色褪せません[1][8]。
- 本作は山下達郎のキャリア、ひいては日本のシティポップの歴史における金字塔であり、初期衝動と職人技が見事に融合した名盤です。
まとめると、『CIRCUS TOWN』は山下達郎が「自分の音楽を世界基準で試した」記念碑的作品であり、都市の異なる空気感、海外一流ミュージシャンとの共演、そして山下自身の音楽的野心が凝縮されたアルバムです。
今もなお、シティポップの原点として多くのリスナーに愛され続けています。
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Citations:
- https://ja.wikipedia.org/wiki/CIRCUS_TOWN
- https://yuseitt-blog.com/%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E9%81%94%E9%83%8E%E3%81%95%E3%82%93%E3%80%8Ecircus-town%E3%80%8Fvol2/
- https://otonanoweb.jp/s/magazine/diary/detail/8575?ima=0000&link=ROBO004&cd=feature
- https://news.livedoor.com/article/detail/25036742/
- https://tower.jp/article/feature_item/2022/06/29/0701
- https://everplay.jp/column/4497
- https://silenciamusicstore.net/?pid=117763212
- https://otonanoweb.jp/s/magazine/diary/detail/8574?ima=0000&link=ROBO004&cd=feature
- https://note.com/4koto_bungaku/n/n5ea94bd61aa7
- https://lightmellow.livedoor.biz/archives/52376824.html
- https://www.circustown.net/cgi-bin/radio/note.cgi?CT=2002.02.03
- https://reminder.top/657743769/
- https://www.arban-mag.com/article/57293
- https://ameblo.jp/atom2460/entry-12890876373.html
- https://note.com/birthplace_21/n/neeea130ecd96
- https://wmg.jp/tatsuro/pages/2/
- https://ameblo.jp/tedkuw717/entry-12748598661.html
- https://www.thefirsttimes.jp/news/0000326420/
- https://otonanoweb.jp/s/magazine/diary/detail/10747



