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カーペンターズ『ナウ・アンド・ゼン』

カーペンターズ『ナウ・アンド・ゼン』
カーペンターズ(Carpenters)『ナウ・アンド・ゼン』(Now & Then)

1973年に発表されたThe Carpenters(カーペンターズ)の5作目のスタジオアルバム『Now & Then』(ナウ・アンド・ゼン)は、グループの音楽キャリアの中でも特に独自のコンセプトとサウンド、時代の変化への鋭い感受性が光る作品です。本作は「過去と現在」をテーマに、リスナーをノスタルジックな旅へ誘う構成となっています[1][2][3]。

『ナウ・アンド・ゼン』のコンセプトと構成

アルバムはA面(Now)とB面(Then)に分かれています。A面には当時の新曲やカバーが収録され、B面には「Yesterday Once More」を皮切りに、1960年代前後のオールディーズ名曲をDJのラジオショウ風のメドレーで再現している点が最大の特徴です[1][2][4]。このメドレーは、「子供の頃によく聴いていたラジオ番組でもう一度お気に入りの曲に再会する」というストーリー性を持っています[2][3][5]。ギタリストのトニー・ペルーソがDJの声で出演し臨場感を演出し、カーペンターズの従兄弟マーク・ルドルフがリスナー役で絡むなど、凝った演出がなされています[1]。

音楽性・サウンドの特徴

カレン・カーペンターの透明感ある美しいヴォーカルと、兄リチャードによる卓越したアレンジ力が存分に活かされている点がカーペンターズの魅力ですが、本作ではカレン本人がほとんどのドラムも担当している点も特筆すべきです(例外は「Jambalaya」のみでハル・ブレインがプレイ)[1][4]。全体的にはポップ、イージーリスニング、カントリーなど多彩な音楽性を内包しながら、ノスタルジーと現代性が融合した柔らかくも華やかなサウンドに仕上がっています[2][6]。

特にB面の「Then」パートでは、スキータ・デイヴィス「The End of the World」、クリスタルズ「Da Do Ron Ron」、ビーチ・ボーイズ「Fun, Fun, Fun」、ジャン&ディーン「Dead Man's Curve」など、アメリカン・ポップスの黄金期に敬意を捧げる選曲が並びます[1][2][3]。これは、1970年代前半に全米で起きたオールディーズ・リバイバルの流れを受けたものでもありました[1][2]。

A面には子供合唱団も参加した「Sing」(セサミストリートのジョー・ラポソ作)、レオン・ラッセル作の「This Masquerade」、カントリー風アレンジが光る「Jambalaya」、ジョニー・ピアソン作のインスト「Heather」など、バラエティに富んだ楽曲が収録されています[1][2]。

トラック・リスト

Side A

  1. シング(Sing) - 3:20(Joe Raposo)
  2. マスカレード(This Masquerade) - 4:50(Leon Russell)
  3. ヘザー(Heather) - 2:47(Johnny Pearson)
  4. ジャンバラヤ(Jambalaya(On the Bayou)) -(Hank Williams) 3:40
  5. アイ・キャント・メイク・ミュージック(I Can't Make Music) - 3:17(Randy Edelman)

Side B

  1. イエスタデイ・ワンス・モア(Yesterday Once More) - 3:50(John Bettis, Richard Carpenter)
    1. ファン、ファン、ファン(Fun, Fun, Fun) - 1:32(Brian Wilson, Mike Love)
    2. この世の果てまで(The End of the World) - 2:25(Silvia Dee, Arthur Kent)
    3. ハイ・ロン・ロン(Da Doo Ron Ron(When He Walked Me Home)) - 1:43(Ellie Greenwich, Jeff Barry, Phil Spector)
    4. デッドマンズ・カーブ(Dead Man's Curve) - 1:40(Jan Berry, Roger Christian, Artie Kornfeld, BWilson)
    5. ジョニー・エンジェル(Johnny Angel) - 1:30(Lyn Duddy, Lee Pockriss)
    6. 燃ゆる瞳(The Night Has a Thousand Eyes) - 1:45(Ben Weisman, Dottie Wayne, Marilyn Garrett)
    7. アワ・デイ・ウィル・カム(Our Day Will Come) - 2:00(Bob Hilliard, Mort Garson)
    8. ワン・ファイン・デイ(One Fine Day) - 1:40(Carole King, Gerry Goffin)
  2. イエスタデイ・ワンス・モア(リプライズ)(Yesterday Once More(reprise)) - 0:58

参加ミュージシャン

主要メンバーは下記の通りです[1][7]。

カーペンターズ

  • リチャード・カーペンター(Richard Carpenter):キーボード、アレンジ、Vo
  • カレン・カーペンター(Karen Carpenter):ドラム、Vo

ゲスト・ミュージシャン

  • トニー・ペルーソ(Tony Peluso):ギター、メドレー内DJ
  • ゲイリー・シムズ(Gary Sims):ギター
  • バディ・エモンズ(Buddy Emmons):スティール・ギター
  • ジェイ・ディー・マニス(Jay Dee Maness):スティール・ギター
  • ジョー・オズボーン(Joe Osborn):ベース
  • ハル・ブレイン(Hal Blaine):ドラム(Jambalaya)
  • ボブ・メッセンジャー(Bob Messenger):フルート/サックス
  • ダグ・ストローン(Doug Strawn):バリトンサックス
  • トム・スコット(Tom Scott):リコーダー
  • アール・ダムラー(Earl Dumler):オーボエ、イングリッシュ・ホルン
  • ゲイル・レヴァント(Gayle Levant):ハープ
  • ジミー・ジョイス・チルドレンズ・コーラス(The Jimmy Joyce Children's Chorus):Singで参加

制作背景・エピソード

制作はリチャード&カレンによるセルフプロデュースで行われ、当時のカーペンター家のドーニー・カリフォルニアの自宅(アルバム・カバーにも登場)が中心の拠点となりました[1][2][8]。アルバムのタイトル「Now & Then」は姉弟の母アグネスが提案し、元々はアルバム未収録の曲名でした[1]。

当時はツアーやプロモーションで多忙を極めていたこともあり、アルバム制作に苦労したという背景もありました[8]。

ジャケットデザイン

ジャケットは、イラストレーター長岡秀星による三面折り仕様で、カーペンター家の自宅とリチャードが所有する1973年型フェラーリ365GTB/4「デイトナ」が描かれています[1][4][8]。この家はファンにとって聖地となり、後年取り壊しの危機に際し保存活動が行われました[1]。

発表時の反響

アメリカではBillboardアルバムチャート2位、イギリスや日本でもトップクラスの成功を収め、特に日本ではオリコンLPチャート1位・101週チャートインという大ヒットとなりました[2][4]。「Sing」「Yesterday Once More」などシングルも世界的ヒットを記録しています[1][4]。評論家からはB面のメドレーや全体のコンセプト性、音楽的完成度が高く評価される一方、若いリスナー層からは"時代遅れ"という声も一部あがりました[1][9]。

特筆すべきこと

『Now & Then』は、単なるヒット曲集やカバーアルバムではなく、"音楽が世代や記憶をつなぐ"というテーマ性、そしてカーペンターズらしい温かみと切なさを同居させたコンセプト・アルバムの先駆であり、今なお多くの音楽ファンの心をとらえています[2][3][5]。

このアルバムは「懐かしさ」と「今」を巧みに融合し、後世にも色褪せない音楽的意義を持つ作品です。

アーティスト:THE CARPENTERS
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  1. https://en.wikipedia.org/wiki/Now_&_Then_(The_Carpenters_album)
  2. https://www.udiscovermusic.com/stories/carpenters-now-and-then-album/
  3. https://www.albumoftheyear.org/user/doublevision/album/34576-now-then/
  4. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%BC%E3%83%B3_(%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0)
  5. https://note.com/tutti_poco/n/n857970af1a2a
  6. https://en.wikipedia.org/wiki/The_Carpenters
  7. https://www.sessiondays.com/2023/05/1973-carpenters-now-then/
  8. https://st33.wordpress.com/sleeve-artists-designers/the-carpenters-now-then/
  9. https://www.wikiwand.com/en/articles/Now_&_Then_(The_Carpenters_album)
  10. https://v-matsuwa.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/carpentersnow-t.html
  11. https://funkyduckvinyl.com/second-hand/pop/carpenters-now-then-lp-vg-vg/
  12. https://www.richardandkarencarpenter.com/Album_NowAndThen.htm
  13. https://www.youtube.com/watch?v=7ghaZc1B7EU
  14. https://insightsandsounds.blogspot.com/2020/04/carpenters-revisited-fresh-look-at-now.html
  15. https://www.youtube.com/watch?v=lmKLU3yNwS4
  16. https://www.barnesandnoble.com/w/singles-1969-1981-carpenters/24294438?ean=0606949045623
  17. https://www.instagram.com/oranmorglasgow/p/DHG74oFKOAU/?api=%E8%BF%9E%E4%BA%91%E6%B8%AF%E6%80%8E%E4%B9%88%E6%89%BE%E5%B0%8F%E5%A7%90%E4%B8%8A%E8%AF%BE%E7%BA%A6%E6%9C%8D%E5%8A%A1%5B%E5%9C%A8%E7%BA%BF%E9%A2%84%E7%BA%A6%5D%28%E5%A8%81%E4%BF%A11646224%E7%9C%9F%E5%AE%9E%E4%B8%8A%E9%97%A8%E6%9C%8D%E5%8A%A1%29-%E8%BF%9E%E4%BA%91%E6%B8%AF%E6%8C%89%E6%91%A9%E5%B0%8F%E5%A7%90%E6%9C%8D%E5%8A%A1-%E8%BF%9E%E4%BA%91%E6%B8%AF%E6%80%8E%E4%B9%88%E7%BA%A6%E5%B0%8F%E5%A7%90%E4%B8%8A%E9%97%A8%E6%9C%8D%E5%8A%A1%E8%BF%9E%E4%BA%91%E6%B8%AF%28%E5%A8%81%E4%BF%A11646224%E7%9C%9F%E5%AE%9E%E4%B8%8A%E9%97%A8%E6%9C%8D%E5%8A%A1%29.yevz
  18. https://albumartexchange.com/covers/90940-now-then
  19. https://www.furious.com/perfect/carpentersnowandthen.html
  20. https://forum.amcorner.com/threads/the-official-review-now-then-sp-3519.12322/
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