10cc『オリジナル・サウンドトラック』

10ccの1975年にリリースされた『The Original Soundtrack』(オリジナル・サウンドトラック)は、英国のロックバンド10ccによる3作目のスタジオアルバムであり、彼らの代表作のひとつとして高く評価されています。
アルバムはイギリスのアルバムチャートで3位にランクインし、「I'm Not in Love」や「Life Is a Minestrone」などのヒット曲を生み出しました[1]。
『オリジナル・サウンドトラック』のコンセプトと全体像
本作のコンセプトは「架空の映画のサウンドトラック」。
冒頭を飾る「Une Nuit A Paris」は「一夜のパリ」という三部構成のミニロックオペラで、映画の場面転換のような展開がユニークです。
アルバム全体が「音楽によるシネマ体験」のような趣を持ち、リスナーをさまざまなジャンル・物語の世界へ誘います。
アートワークも映像的イメージを強く打ち出しており、当時人気だったデザイン集団、ヒプノシス(Hipgnosis)と画家のハンフリー・オーシャン(Humphrey Ocean)によるものでした[2]。
音楽性とサウンドの特徴
10ccの4人は全員がマルチプレイヤーかつ作曲家でもあり、ポップ、ロック、プログレ、ミュージカル、パロディなど多様なジャンルを自在に横断します。
「I'm Not in Love」では独創的な多重ヴォーカル録音による幻想的なコーラスが話題となり、まるで200人の男性合唱団のようなサウンドを体現しました。
Moogシンセ、ピアノ、マンドリン、ヴィブラフォン、ティンパニなど多数の楽器を使い、細やかなアレンジと録音技術によって“映画のワイドスクリーンのような”音の広がりを実現しています[5]。
制作時のエピソード
アルバムの制作はグループ所有の高性能スタジオ「Strawberry Studios」で行われました。
録音期間は約67週間と長く、事実上「I'm Not in Love」1曲でレコード会社から100万ドルの契約を獲得した逸話も残っています。
制作過程では、ゴドレイとクレームが「Une Nuit A Paris」をアルバム1面全体にしたいと主張しましたが、グールドマンとスチュワートの説得で現在の形に落ち着いたというエピソードがあります。
スタジオの雰囲気もそれまで以上に“シリアスな作品づくり”へと向かっていったと証言されています[7]。
参加ミュージシャン
本作は10ccの黄金期メンバー=エリック・スチュワート(ギター・ヴォーカル・キーボード)、グレアム・グールドマン(ベース・ギター・ヴォーカル)、ケヴィン・ゴドレイ(ドラム・ヴォーカル)、ロル・クレーム((ギター・キーボード・ヴォーカル)の4人による繊細かつ多層的な演奏が核となっています。
加えて、制作・エンジニアリングのすべてをバンド自身が手がけ、外部ミュージシャンはほぼ参加していません[1]。
- グレアム・グールドマン(Graham Gouldman): ベース、ギター、ボーカル
- エリック・スチュワート(Eric Stewart):ボーカル、ギター、キーボード
- ロル・クレーム(Lol Creme):ボーカル、ギター、キーボード、ギズモ
- ケヴィン・ゴドレイ(Kevin Godley):ボーカル、ドラム

トラック・リスト
Side 1
- パリの一夜(Une Nuit a Paris)
- パリのある夜(Part 1 : One Night in Paris)
- 同じその夜のパリ(Part 2 : The Same Night in Paris)
- 夜がふけて(Part 3 : Later The Same Night in Paris)
- アイム・ノット・イン・ラヴ(I'm Not in Love)
- ゆすり(Blackmail)
Side 2
- 2度目の最後の晩さん(The Second Sitting For The Last Supper)
- ブランド・ニュー・デイ(Brand New Day)
- フライング・ジャンク(Flying Junk)
- 人生は野菜スープ(Life Is a Minestrone)
- 我が愛のフィルム(The Film of My Love)
発表時の反響
アルバムはイギリスだけでなく米国でも大きな成功を収め、「I'm Not in Love」は世界的な大ヒットとなりました。
同曲は、切ない歌詞と壮大なプロダクションで「ポップ史に残る傑作」と評されています。
アルバム全体についても「映画音楽のようなスケール」「知的で斬新なポップ・マスターピース」と高い評価を受けましたが、一方で「あまりにも巧妙すぎる」「すべての曲が突出するわけではない」という批評も見受けられます[8]。
特筆すべき事柄
『オリジナル・サウンドトラック』は10ccサウンドの多面性と、70年代ポップ・アートロックの革新性の結晶です。
多重録音技術の進化、ジャンル横断の構成力、“音で映画を作る”という挑戦的なテーマ設定など、以後のバンドや制作界に大きな影響を与えた作品です。
Godley & Cremeは後に「Gizmo」(ギズモ)という画期的なエフェクト機材開発やミュージックビデオ演出に進み、10ccサウンドの実験精神はそのまま継承されていきました。
また、バンド内の「作曲軸」の変化がアルバム終盤以降の人間関係や音楽性の分岐に関わっている点も興味深いです[2]。
- 「アイム・ノット・イン・ラヴ」の「Be quiet, Big boys don't cry...」というナレーションは、「アイム・ノット・イン・ラヴ」がレコーディングされたストロベリー・スタジオの受付係キャシー・レッドファーン(Cathy Redfern)が担当しました。
まとめ
『オリジナル・サウンドトラック』は、音楽ジャンルや時代を超える普遍的な“ストーリー性”と“サウンドの革新性”を持つ名盤です。
知的ユーモア、鋭い社会性、多様な音色を同時に楽しめるこの作品は、10ccを愛する人だけでなく、映画的でドラマティックな音楽を求めるすべてのリスナーにおすすめできます[4]。
- https://en.wikipedia.org/wiki/The_Original_Soundtrack
- https://www.loudersound.com/features/10cc-the-original-soundtrack
- https://www.youtube.com/watch?v=oy1FZRLpqhc
- https://hypergallery.com/products/10cc-the-original-soundtrack
- https://www.thecurrent.org/feature/2024/03/11/march-11-in-music-history-happy-birthday-lisa-loeb
- https://www.youtube.com/watch?v=96fXdFBQ5NM
- https://www.rova.nz/articles/50-years-of-10ccs-the-original-soundtrack
- https://bestclassicbands.com/10cc-original-soundtrack-review-10-31-222/
- https://en.wikipedia.org/wiki/10cc
- https://ontherecord.co/2025/04/04/10cc-the-original-soundtrack/
- https://www.reddit.com/r/Music/comments/1e0v631/just_listened_to_the_original_soundtrack_by_10cc/
- https://www.progarchives.com/album.asp?id=12373
- https://www.facebook.com/groups/478613695592616/posts/9597413417045886/
- https://consequences.podbean.com/page/9/
- https://www.facebook.com/groups/progrockgroup/posts/10160358638158737/
- https://www.facebook.com/groups/648482968887104/posts/2175948862807166/
- https://www.10cc.world/biography
- https://www.youtube.com/playlist?list=PLZrDsIAXZYo58sFHU_H4ZKjAVqx-ovXd-
- https://propermusic.com/products/10cc-theoriginalsoundtrack
- https://forums.stevehoffman.tv/threads/an-album-to-be-appreciated-10cc-the-original-soundtrack.102741/


