バリー・ホワイト『あふれる愛を』

1974年にリリースされたBarry White(バリー・ホワイト)のアルバム『Can't Get Enough』(邦題:あふれる愛を)は、アメリカR&B/ディスコシーンを代表するサウンド・プロデューサーかつシンガーとしてのバリー・ホワイトの頂点を象徴する作品です[1]。
『Can't Get Enough』(邦題:あふれる愛を)のコンセプトと制作背景
『Can't Get Enough』は、「愛とロマンス」をテーマにしたバリー・ホワイト流コンセプト・アルバムの系譜に位置します。
1970年代、恋愛や夜のロマンスを壮大かつ官能的な音楽で表現することで知られたホワイトは、自らを “愛の伝道師” と称し、当時のブラック・ミュージックに新たな路線を築きました。
アルバムの制作は20th Century Recordsで行われ、ホワイト自身が全曲のプロデュースを担当。
80年代ディスコ以前の“ソウル・シンフォニー”として、夜のクラブシーンを背景に、愛と悦楽のサウンドトラックとして設計されています[2]。
バリー・ホワイトはそれまでA&Rマンやセッション・プレイヤー、ソングライターとして裏方を経験した後、自身の名前で活動を開始。
本作以前の『I've Got So Much to Give』『Stone Gon’』でもチャートを賑わせ、このアルバムで絶頂期を迎えます[2]。
音楽性とサウンドの特徴
本作の最大の特徴は、クラシック音楽を彷彿とさせるストリングスの壮大なアレンジと、あくまで太く低音の効いたバリー・ホワイトのヴォーカル、重厚かつグルーヴィーなリズムセクションにあります。
アイザック・ヘイズに影響を受けた語り(ラップ)の交錯や、ポップソングとして圧倒的親しみやすさを持つ「You're the First, the Last, My Everything」「Can't Get Enough of Your Love, Babe」などのスマッシュヒットは、純粋なソウルミュージックにキャッチーさ、躍動感、官能性を加え、従来のR&Bの枠を越えた存在感を放っています[3]。
バックにはオーケストラ的なアプローチが活用されており、ラヴ・アンリミテッド・オーケストラとも深く連携しています。
流麗で美しいストリングスと、粒立ちの良いブラス、そして徹底したグルーヴを生むリズム隊の一体感が際立っています[3]。
収録曲・楽曲構成
アルバムは「Mellow Mood」パートIの美しいインストゥルメンタルで幕を開け、「You're the First, the Last, My Everything」や、10分超の大作「I Can't Believe You Love Me」へと続きます。
B面では表題曲「Can't Get Enough of Your Love, Babe」が圧倒的なインパクトで続き、全編に渡って甘美なロマンスムードに貫かれています[5]。
参加ミュージシャンとスタッフ
・バリー・ホワイト(Barry White):リードヴォーカル、アレンジャー、コンセプト
・ジーン・ペイジ(Gene Page):アレンジャー
・ポール・エルモア(Paul Elmore)、フランク・ケイマー(Frank Kejmar):エンジニア
加えて、彼が率いたラヴ・アンリミテッド・オーケストラ(Love Unlimited Orchestra)や、バックヴォーカル陣など多数の実力派ミュージシャンが関与しています[1]。

トラック・リスト
Side 1
- メロウ・ムード(パート1)(Mellow Mood [Pt. I]) - 1:53
- マイ・エヴリシング(You're the First, the Last, My Everything) - 4:37
- 信じられない愛(I Can't Believe You Love Me) - 10:23
Side 2
- あふれる愛を(Can't Get Enough of Your Love, Babe) - 4:31
- オー・ラヴ(Oh Love, Well We Finally Made It) - 3:54
- 無上の愛(I Love You More Than Anything [In This World Girl]) - 5:02
- メロウ・ムード(パート2)(Mellow Mood [Pt. II] ) - 1:23
制作時のエピソード
当時ホワイトは、自身のヒットメーカーぶりだけでなく、プロデューサー/サウンド・クリエイターとしての技術にも磨きをかけていました。
彼の“セルフ・プロデュース”主義は、『Can't Get Enough』でも遺憾なく発揮され、ストリングス・アレンジの巨匠ジーン・ペイジとのコラボレーションによって、オーケストラサウンドとソウル・ファンクの融合を一段と進化させました[1]。
発表時の反響と評価
リリース直後から本作は全米アルバムチャートおよびR&Bチャート両方で1位を記録。
シングル「Can't Get Enough of Your Love, Babe」は全米ポップチャートでも1位、「You're the First, the Last, My Everything」も続いて大ヒット。イギリスや欧州、南アフリカなど世界各国のチャートでも上位にランクインしました。
ローリングストーン誌の「歴代最高のアルバム」ランキングにも選出され、評論家からは「バリー・ホワイト史上もっとも完成度が高い」と評されました[4]。
一方で、長尺なバラードについてはやや評価が分かれる部分もありましたが、全体的には極めてポジティブな評価が大勢を占めました[6]。
特筆すべきこと
・ストリングスを前面に出した極上のラブソング群は、70年代以降のR&B/ディスコを語る上で不可欠な金字塔[3]。
・自身のラヴ・アンリミテッド・オーケストラやプロデューサー活動を通じ、ブラック・ミュージックのあり方を「官能」「洗練」「交歓性」という新次元へ進化させた作品です。
・バリー・ホワイトのキャリアハイであり、後のディスコやアーバンコンテンポラリーの隆盛に影響した重要作です[2]。
『Can't Get Enough』は、今も“愛”を象徴するソウル/ディスコの大傑作として評価され続けています[7]。
- https://en.wikipedia.org/wiki/Can't_Get_Enough_(Barry_White_album)
- https://www.udiscovermusic.com/stories/barry-white-cant-get-enough-album/
- https://magazine.waxpoetics.com/article/barry-white-big-love/
- https://soulfinger.substack.com/p/barry-white-cant-get-enough
- https://www.bbc.co.uk/music/reviews/nvwx/
- http://www.robertchristgau.com/get_artist.php?name=barry+white
- https://www.allmusic.com/album/cant-get-enough-mw0000185465
- http://blog.musoscribe.com/index.php/2014/03/26/album-review-barry-white-cant-get-enough/
- https://www.reddit.com/r/Music/comments/6pozz5/barry_white_cant_get_enough_of_your_love_babe/
- https://eastzono.seesaa.net/article/471965738.html
- https://nightbeatrecords.com/products/barry-white-cant-get-enough-of-your-love-babe-just-not-enough-1



