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アル・ジャロウ『ライブ・イン・ヨーロッパ』

アル・ジャロウ『ライブ・イン・ヨーロッパ』
Al Jarreau(アル・ジャロウ)『Look to the Rainbow』(ライブ・イン・ヨーロッパ)

Al Jarreauの(アル・ジャロウ)『Look to the Rainbow』(邦題:ライブ・イン・ヨーロッパ)は、1977年にリリースされたライブアルバムで、彼のキャリアにおいて重要な転換点となった作品です。このアルバムは、ジャロウの独特の音楽性とボーカルスタイルを見事に捉えており、ジャズフュージョン時代の代表的な作品の一つとして評価されています。

『ライブ・イン・ヨーロッパ』の音楽性とサウンドの特徴

『Look to the Rainbow』(ルック・アト・ザ・レインボウ)は、ジャズを中心としながらも、軽やかでオープンなサウンドが特徴的です。ギターやブラス楽器を使用せず、トム・カニングのFender Rhodes(一部でARP String Ensembleによってサポート)とリン・ブレッシングのビブラフォンが伴奏を担当しています[1]。

このミニマルな編成により、ジャロウの声が主要な楽器として際立っています。彼は自身の声を楽器のように使い、スキャットやボカリーズを駆使して、複雑なリズムや音程の変化を表現しています。

アルバムには、ジャロウのオリジナル曲に加えて、ポップス、ジャズ、ファンクなど様々なジャンルの楽曲が収録されており、彼の幅広い音楽性が表れています[2]。

制作時のエピソード

このアルバムは、ジャロウの最初の2枚のスタジオアルバム(『We Got By』と『Glow』)がヨーロッパで大きな商業的成功を収めた後に録音されました。特にドイツでは高い評価を受け、ドイツ版グラミー賞を受賞しています[2]。

ヨーロッパツアーでの成功を受けて、ジャロウはこのライブアルバムを制作することを決意しました。アルバムは、彼のパフォーマンスの魅力を余すところなく捉えており、当時のジャロウの音楽的な立ち位置を示す重要な作品となりました[2]。

参加ミュージシャン

アルバムには小編成のフュージョンカルテットが参加しています:

  • トム・カニング(Tom Canning):キーボード
  • ジョー・コレロ(Joe Correro):ドラムス
  • アブラハム・ラボリエル(Abraham Laboriel):ベース
  • リン・ブレッシング(Lynn Blessing):ビブラフォン
  • プロディース:アル・シュミット(Al Schmitt)、トミー・リピューマ(Tommy LiPuma)
  • 録音・ミックス:アル・シュミット(Al Schmitt)

この編成により、ジャロウの声に焦点を当てた親密なサウンドが実現されています[2]。

トラック・リスト

Side 1

  1. Letter Perfect(レター・パーフェクト) - 5:16
  2. Rainbow in Your Eyes(瞳の中のレインボウ) - 6:17
  3. One Good Turn(よりよき世界) - 6:30

Side 2

  1. Could You Believe(信じられるかい) - 6:49
  2. Burst In with the Dawn(魅惑の夜明け) - 7:24
  3. Better Than Anything(ベタ・ザン・エニシング) - 5:08

Side 3

  1. So Long Girl(さらば恋人) - 3:44
  2. Look to the Rainbow(ルック・トゥ・ザ・レインボウ) - 7:54
  3. You Don't See Me(ユー・ドント・シー・ミー) - 6:44

Side 4

  1. Take Five(テイク・ファイヴ) - 7:20
  2. Loving You(ラヴィング・ユー) - 5:00
  3. We Got By(ウィ・ガット・バイ) - 6:57

発表時の反響

『Look to the Rainbow』は、批評家から概ね好意的な評価を受けました。ある批評家は、ジャロウのボーカルを「常に鋭く正確で、インテンシブだが、『Take Five』のクライマックスのようなスキャットの場面では狂ったムクドリの群れのように激しく飛び回る」と表現し、アルバム全体を「洗練された人々のための素晴らしいレコード」と評しています[1]。

一方で、NMEはアルバムの均質性と聴きやすさを指摘し、「MOR(ミドル・オブ・ザ・ロード/BGMのような間口の広い音楽のこと)に近すぎて不快」と批判的な見方を示しています[1]。

特筆すべき点

  1. ライブパフォーマンスの魅力: このアルバムは、ジャロウのライブパフォーマンスの魅力を余すところなく捉えています。彼の劇的なボカリーズと独特の音色が、聴衆の心を掴んでいることがわかります[2]。
  2. 楽曲解釈の多様性: ジャロウは自身の楽曲だけでなく、ポップス、ジャズ、ファンクなど様々なジャンルの楽曲を独自のスタイルで解釈しています。特に、Paul Desmond/デイヴ・ブルーベック(Dave Brubeck)の「Take Five」の演奏は、アルバムの白眉とされています[2]。
  3. ジャズフュージョンの代表作: このアルバムは、1970年代のジャズフュージョン時代を代表するライブアルバムの一つとして評価されています[2]。
  4. Jarreauの音楽性の集大成: アルバムは、ジャロウの初期キャリアにおける音楽的な強みを全て網羅しています。ボカリーズ、独特の音色、優れた作曲能力、そして様々なジャンルの楽曲を解釈する能力が存分に発揮されています[2]。
  5. ジャズの伝統の継承: Jon Hendrix、Johnny Mathis、Duke Ellington、Dave Brubeckといったジャズの巨人たちの影響を受けながらも、ジャロウは電気楽器の時代にそれらの芸術性を失うことなく、新しい形で表現しています[2]。

『Look to the Rainbow』は、アル・ジャロウの音楽キャリアにおける重要な転換点となったアルバムであり、彼の多才な音楽性と独特のボーカルスタイルを世界中のリスナーに印象づけました。ジャズの伝統を継承しつつ、新しい表現を模索したこの作品は、今日でも高い評価を受け続けている名作と言えるでしょう。

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Citations:
[1] https://en.wikipedia.org/wiki/Look_to_the_Rainbow_(Al_Jarreau_album)
[2] https://andresmusictalk.wordpress.com/2017/07/25/look-to-the-rainbow-at-40-al-jarreau-remembered-for-this-milestone-live-album-of-70s-the-jazz-fusion-era/

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