デイヴィッド・ロバーツ『オール・ドレスト・アップ』

カナダ出身のDavid Roberts(デイヴィッド・ロバーツ)の『All Dressed Up』(オール・ドレスト・アップ)は、1982年にリリースされたAORとWestcoastロックの隠れた名盤です。
TOTOのメンバーやデヴィッド・フォスターら豪華なスタジオ・ミュージシャンを迎え、「TOTO系AORサウンド」の代表作とされています[1]。
『オール・ドレスト・アップ』のコンセプトと制作エピソード
このアルバムはデイヴィッド・ロバーツのデビュー作で、彼が24歳の時に発表されました。
もともとデイヴィッド・フォスター(David Foster)に制作を依頼するも、彼は多忙につき参加できず、代わってジェイ・グレイドン、そして最終的にはグレッグ・マティソンがプロデュースを担当しました。
ワーナーとのメジャー契約のおかげでトップクラスのミュージシャンが揃った幸運な環境で、ロサンゼルスの人気ライブハウス“ベイクド・ポテト”でのセッションがアルバム制作に直接影響したことも特徴です[2]。
音楽性・サウンドの特徴
本作のサウンドは、TOTO/AIRPLAY系AORとして、西海岸特有のさわやかでドライブ感あるアレンジがベースとなっています。
『All Dressed Up』はAOR(Adult Oriented Rock)ならではの洗練されたハーモニー、瑞々しいメロディ、そして爽やかなハイトーン・ヴォイスが際立っています。
ロバーツ独自のセンスで、TOTOのエッセンスを受け継ぎつつロマンスに満ちたロックナンバーからメロウなバラード、スタイリッシュでクールな楽曲まで幅広い曲調が展開されます。
とりわけオープニング曲「All in the Name of Love」は、ルカサー(g)のギターとポーカロ(dr)のリズムがTOTO節を炸裂させており、「Wrong Side Of The Tracks」ではジェフ・ポーカロのしなやかなドラムスとルカサーのエモーショナルなギターが融合し、アルバムのハイライトとなっています[3]。
「Midnight Rendezvous」や「Too Good To Last」といったバラードも高評価で、アルバム全体を通じて「動と静」が絶妙なバランスで配置された構成です。
西海岸ロックの爽快さと、都会的な洗練が感じられるサウンドは、ロバーツ独自の作曲力によるものです[4]。
参加ミュージシャン
演奏陣は「ほぼTOTO」と言われるほど豪華で、以下のミュージシャンが参加しています。
- ギター:スティーヴ・ルカサー(Steve Lukather)、ジェイ・グレイドン(Jay Graydon)
- ベース:マイク・ポーカロ(Mike Porcaro)
- ドラムス/パーカッション:ジェフ・ポーカロ(Jeff Porcaro)、パウリーニョ・ダ・コスタ(Paulinho Da Costa)
- キーボード/シンセサイザー:グレッグ・マティソン(Greg Mathieson)、デヴィッド・ロバーツ(David Roberts)、(David Foster)、マイケル・ボディカー(Michael Boddicker)
- サックス:ゲイリー・ハービッグ(Gary Herbig)
- バックボーカル:ビル・シャンプリン(Bill Champlin)、トム・ケリー(Tom Kelly)、ジョン・ジョイス(John Joyce)、ジョー・シェメイ(Joe Chemay)、ジム・ハース(Jim Haas)
- ストリングス編曲:ジェリー・ヘイ(Jerry Hey)、ジェレミー・ルボック(Jeremy Lubbock)
プロデューサーはグレッグ・マティソン(Greg Mathieson)、エグゼクティブ・プロデューサーはジェイ・グレイドンが担当しました[5]。
トラック・リスト
Side 1
- オール・イン・ザ・ネーム・オブ・ラヴ(ALL IN THE NAME OF LOVE)
- トゥー・グッド・トゥ・ラスト(TOO GOOD TO LAST)
- サムワン・ライク・ユー(SOMEONE LIKE YOU)
- ボーイズ・オブ・オータム(BOYS OF AUTUMN)
- シーズ・スティル・マイン(SHE'S STILL MINE [THAT'S MY GIRL])
Side 2
- ロング・サイド・オブ・ザ・トラックス(WRONG SIDE OF THE TRACKS)
- ミッドナイト・ランデヴー(MIDNIGHT RENDEZVOUS)
- エニイホエア・ユー・ラン・トゥ(ANYWHERE YOU RUN TO)
- ネヴァー・ゴナ・レット・ユー・ゴー(NEVER GONNA LET YOU GO)
- アナザー・ワールド(ANOTHER WORLD)
発表時の反響
当時はAORブームの真っ只中に登場したものの、商業的には大きなヒットに結びつきませんでした。
しかし、そのクオリティの高さから徐々に再評価され、特に日本ではAORファンの間で「必携」「幻の名盤」と位置づけられるようになりました。
一時は国内盤CDが再発されず入手困難になったものの、熱心なファンにより権利交渉が進み、2006年に国内再発を果たしました。
日本のAOR人気を背景に、2008年には26年ぶりのセカンドアルバムも先行発売されるなど、ロバーツ本人の活動は続いています[8]。
特筆すべきこと
- 全曲をデイヴィッド・ロバーツ自身が作曲・歌唱し、メロディとハーモニーは一級品と言われています[2]。
- 収録曲「Anywhere You Run To」はダイアナ・ロス、『Too Good To Last』はニールセン・ピアソン(Nielsen/Pearson)、『Midnight Rendezvous』はラムゼイ・ルイス & ナンシー・ウィルソン(Ramsey Lewis & Nancy Wilson)など他アーティストによるカバーも多く、その作品力の高さが証明されています[8]。
- アメリカ・カナダ・日本において根強い人気を誇り、「TOTOサウンドの継承」として今ではAOR史に残る名盤と言われています[6]。
- ソングライターとしても実力を発揮し、リリース後はTVテーマやCMソングなどにも楽曲提供するなど多方面で活躍しています[6]。

まとめ
『オール・ドレスト・アップ』は、AOR/ウェストコースト・ロック史に残る傑作としてデイヴィッド・ロバーツの作曲力、TOTOのスタジオミュージシャンたちの職人技、そしてLAの洗練されたサウンドが見事に融合したアルバムです。リリースから40年以上が経過した今なお、世界中の音楽ファンを魅了する輝きを持っています[1]。
- https://note.com/yuuichi2400/n/n4d288a88300c
- https://note.com/calm_phlox701/n/n09a513741176
- https://warmbreeze.jp/music/david-roberts-all-dressed-up
- https://heavyharmonies.com/cgi-bin/glamcd.cgi?BandNum=2598&CDName=All+Dressed+Up
- https://www.sessiondays.com/2014/10/1982-david-roberts-dressed/
- https://www.livestagemusic.com/?p=956
- https://javiny.net/products/david-roberts-all-dressed-up
- https://ameblo.jp/daddyplaystheashtray/entry-12019023643.html
- https://www.musicfirst.biz/news/%E3%80%90%E6%9C%AC%E6%97%A5%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%80%91-david-roberts-all-dressed-up-1982/
- https://wmg.jp/david-roberts/discography/17257/
- https://ticro.com/en/products/d00007770



