ZZトップ『アフターバーナー』

1985年にリリースされたZZ Topの『Afterburner』(アフターバーナー)は、アメリカン・ロックバンドZZ Topの9作目のスタジオアルバムであり、前作『Eliminator』の大ヒットを受けて高度なデジタルサウンドへと進化した意欲的な作品です。
スペースエイジをテーマにしたコンセプト、シンセポップとテキサス・ブルースが融合した音楽性、革新的な制作エピソードなど、多面的な魅力に富んでいます[1]。
『アフターバーナー』のコンセプトとアルバムの世界観
『Afterburner』は、宇宙旅を思わせるスペースエイジのコンセプトが特徴です。
前作『Eliminator』のシンボルであるホットロッドが、本作では宇宙シャトルとしてジャケットに登場し、地球を周回する姿が描かれています。
この発想は、イリュージョニストでありステージデザイナーのタイ・リヴィーン(Ty Reveen)によるアイデアが着想源となりました。
従来の“テキサスの小さなバンド”らしい地に足のついたイメージから、未来志向のロックバンドへの飛躍を意図しています[8]。
音楽性とサウンドの特徴
本作最大の特徴は、従来のブルース・ロックに加え、シンセサイザー、ドラムマシン、シーケンサーなどの電子音を大胆に導入した点です。
「Sleeping Bag」や「Stages」、「Rough Boy」などでは、人工的なリズムやキーボードが中心となり、当時の流行を反映したシンセポップ色が強く出ています。
特に「Sleeping Bag」では、ヒップホップ風のスクラッチ音やデジタルビートが組み合わされ、斬新な印象を与えました。
とはいえ、ビリー・ギボンズのギターソロは健在で、テキサス・ブルースの魂はサウンドの根底に流れ続けています[3]。
制作の舞台裏とエピソード
『Afterburner』の制作では従来のエンジニア、テリー・マニング(Terry Manning)が参加せず、新たにジョー・ハーディらが加わりました。
バンドはプロデューサービル・ハムの監督を外れて、密かにリズムやベースパートをフェアライトCMIなどの最新機器で録音するなど、制作陣との間に摩擦も生じました。
結果として、伝統的なバンド演奏よりもプログラムされたリズムやエレクトロニックな要素が前面に押し出されています[2]。
ビリー・ギボンズは当時を振り返り、「EliminatorとAfterburnerの時代は、ステージでもスタジオでも、すべての面で大きな変化の時期だった」と語っています。
参加ミュージシャン
主要メンバーは以下の通りです。
- ビリー・ギボンズ(Billy Gibbons):ギター、リード&バックボーカル
- ダスティ・ヒル(Dusty Hill):ベース、バック&リードボーカル(「Delirious」「Can't Stop Rockin'」)、キーボード
- フランク・ベアード(Frank Beard):ドラムス
また、プロデュースはビル・ハム(Bill Ham)が担当し、エンジニアにはジョー・ハーディ(Joe Hardy)やボブ・ラドウィック(Bob Ludwig)が名を連ねています[2]。

トラック・リスト
Side 1
- スリーピング・バッグ(Sleeping Bag) - 4:02
- ステージス(Stages) - 3:32
- ウォーク・アップ(Woke Up with Wood) - 3:45
- ラフ・ボーイ(Rough Boy) - 4:50
- キャント・ストップ・ロッキン(Can't Stop Rockin') - 3:01
Side 2
- プラネット・オブ・ウィメン(Planet of Women) - 4:04
- アイ・ガット・ザ・メッセージ(I Got the Message) - 3:27
- ヴェルクロ・フライ(Velcro Fly) - 3:29
- ディッピング・ロウ(Dipping Low (In the Lap of Luxury)) - 3:11
- デリリアス(Delirious) - 3:41
発表時の反響
『Afterburner』はリリース直後から高い商業的成功を収め、「Sleeping Bag」がビルボードHot 100で過去最高位の8位、Mainstream Rockチャートで1位を獲得しました。
アルバム自体もビルボード200で4位、UKチャートで2位など世界的なヒットとなり、米国で5×プラチナ(500万枚)達成しています。
同時に、シンセによる新路線を受け入れる新規ファンを獲得した一方、伝統的なZZ Topファンからは「デジタル化し過ぎ」と賛否両論が巻き起こりました。
批評家の評価は「時代性が強い」「ポップへの転換期」とも捉えられています[4]。
特筆すべきこと
- シンセサイザーとギターが絶妙に融合した「Rough Boy」や、ユーモラスなセクシャルメタファーを込めた「Velcro Fly」「Woke Up with Wood」など、実験的かつキャッチーな楽曲が多く収録されています[5]。
- 伝統的なブルース・ロックと最新の電子音楽の対比が、バンドの進化と限界を浮き彫りにしました。
“ブルースの根幹は変わらない”というZZ Topの姿勢が見て取れる一方、「時代の産物」「80年代サウンドの象徴」といった評価もあります[3]。 - アルバムのアートワークも斬新な宇宙デザインで、バンドのビジュアルアイデンティティを一新しました[1]。
おわりに
『Afterburner』は、ZZ Topの作品群の中でも異色のアルバムです。
スペースエイジ的コンセプトとデジタルサウンドの大胆な導入、制作時の革新性、新たなファン層の獲得など、彼らのチャレンジ精神が凝縮されています。
80年代のロック史、そしてZZ Topの進化を語る上で外せない一枚です[6]。
- https://ultimateclassicrock.com/zz-top-afterburner-stage-loverboy/
- https://en.wikipedia.org/wiki/Afterburner_(ZZ_Top_album)
- https://www.rhino.com/article/the-one-after-the-big-one-zz-top-afterburner
- https://ultimateclassicrock.com/zz-top-afterburner/
- https://ultimateclassicrock.com/zz-top-afterburner-review/
- http://www.tmq-web.com/2018/05/afterburner.html
- https://gearspace.com/board/electronic-music-instruments-and-electronic-music-production/616103-drum-machine-used-zz-top-afterburner.html
- https://popdose.com/uncovered-zz-top-afterburner/
- https://ultimateclassicrock.com/zz-top-afterburner-sessions/
- https://en.wikipedia.org/wiki/ZZ_Top
- https://www.facebook.com/inthestudiowithredbeard/posts/forty-years-ago-zz-tops-afterburner-joined-an-elite-list-of-multi-million-sellin/1377547921047458/
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC_(%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0)
- https://www.facebook.com/groups/478613695592616/posts/8868626829924552/
- https://ameblo.jp/katteni-sydbarrett/entry-12507911419.html
- https://80smetalman.wordpress.com/2019/01/06/great-rock-albums-of-1985-zz-top-afterburner/
- http://blog.livedoor.jp/jikkennezumi/archives/1907831.html
- https://www.inthestudio.net/online-on-demand/zz-top-afterburner-billy-gibbons-dusty-hill-frank-beard/
- https://www.facebook.com/groups/2001520780148037/posts/3765949833705114/
- https://www.aol.com/articles/zz-top-flies-too-close-133720178.html
- https://albumsinorder.com/zz-top-albums-in-order/


