ディープ・パープル『ファイアボール』

『Fireball』(ファイアボール)は、1971年9月にリリースされたDeep Purple(ディープ・パープル)の5枚目のスタジオアルバムです。このアルバムは、バンドの音楽的進化と実験性を示す重要な作品として位置づけられています。
『ファイアボール』の音楽性とサウンドの特徴
『ファイアボール』は、前作『Deep Purple in Rock』で確立したハードロックサウンドをさらに発展させつつ、新たな要素を取り入れた作品です。アルバムの特徴として以下が挙げられます:
- ハードロックの基盤に、ブルース、フォーク、サイケデリックな要素を融合
- リッチー・ブラックモアのギターとジョン・ロードのハモンドオルガンの絶妙な掛け合い
- イアン・ギランの広い音域と力強いボーカル
- 実験的なアプローチと多様な楽曲構成
タイトル曲「Fireball」は、イアン・ペイスのダブルバスドラムによる爆発的なオープニングが特徴的で、スピードメタルの先駆けとも言える楽曲です[1]。一方で、「Anyone's Daughter」のようなフォーク調の曲も収録されており、バンドの多様性を示しています[2]。
参加ミュージシャン
『ファイアボール』は、ディープ・パープルの黄金期といわれる第二期のラインナップで制作されました:
- イアン・ギラン(Ian Gillan):ボーカル
- リッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore):ギター
- ジョン・ロード(Jon Lord):キーボード、ハモンド・オルガン
- ロジャー・グローバー(Roger Glover):ベース
- イアン・ペイス(Ian Paice):ドラムス

制作時のエピソード
アルバムの制作は1970年9月から1971年6月にかけて行われました[5]。バンドは忙しいツアースケジュールの合間を縫って録音を進めました。この時期、メンバーの健康問題も浮上し、ジョン・ロードは背中の問題に悩まされ、ロジャー・グローバーは胃の問題で何度かライブ出演を見送ることがありました[3]。
リッチー・ブラックモアは、前作の成功により自信を深め、バンドの方向性に強い影響力を持つようになりました。これがイアン・ギランとの関係に緊張をもたらし始めたとされています[3]。
トラック・リスト
Side 1
- ファイアボール(Fireball) - 3:25
- ノー・ノー・ノー(No No No) - 6:54
- ストレンジ・ウーマン(Strange Kind of Woman) - 4:07
- 誰かの娘(Anyone's Daughter) - 4:43
Side 2
- らば(The Mule) - 5:23
- 愚か者たち(Fools) - 8:21
- 誰も来ない(No One Came) - 6:28
発表時の反響
『ファイアボール』は商業的に大成功を収め、イギリスのアルバムチャートで1位を獲得しました。また、ドイツ、オーストリア、スウェーデンなど、ヨーロッパの多くの国でも1位を記録しています[5]。
シングル「Strange Kind of Woman」は、イギリスで8位、ドイツでも8位、デンマークでは1位を獲得しました。タイトル曲「Fireball」もシングルとしてリリースされ、イギリスで15位に入りました[5]。

特筆すべきこと
- 音楽的成熟度:『ファイアボール』は、70年代初頭に録音されたにもかかわらず、今日でも高い評価を受ける音楽的成熟度を示しています[4]。
- 後世への影響:メタリカのドラマー、ラーズ・ウルリッヒは、1973年のディープ・パープルのコンサートを見た後12時間以内に『ファイアボール』を購入し、ハードロック音楽への興味を掻き立てられたと語っています[5]。
- バンドメンバーの評価:イアン・ギランは『ファイアボール』を自身のお気に入りアルバムの一つとして挙げており、表現の可能性が大きく広がったと評価しています。一方、リッチー・ブラックモアは制作の時間的制約に不満を持っていたようです[5]。
- 実験的アプローチ:『ファイアボール』は、ディープ・パープルが『In Rock』で確立したサウンドをさらに発展させつつ、新たな方向性を模索した作品として位置づけられています[6]。
『ファイアボール』は、ディープ・パープルの音楽的成長と実験性を示す重要なアルバムとして、ハードロック史に残る作品となりました。バンドの黄金期を象徴する作品の一つとして、今なお多くのファンや音楽評論家から高い評価を受け続けています。



Citations:
[1] https://vinyl-records.nl/deep-purple/deep-purple-fireball-demons-eye-fame-german-release-vinyl-lp-album.html
[2] https://mhf-mag.com/reviews/deep-purple-fireball-album-review/
[3] http://www.deep-purple.am/machine_head_album_history_en.html
[4] https://www.progarchives.com/album.asp?id=9121
[5] https://en.wikipedia.org/wiki/Fireball_(album)
[6] https://jhendrix110.tripod.com/DeepPurple.html
[7] https://johnmcferrinmusicreviews.org/purple.htm



