エアロスミス『ライヴ・ブートレッグ』

Aerosmith(エアロスミス)の『Live! Bootleg』(ライヴ・ブートレッグ)は、70年代後半の絶頂期と崩壊寸前の危うさが同居した、意図的に“粗い”ライヴ作品として位置づけられているアルバムです。
1978年当時の商業的に整えられたライヴ盤とは一線を画し、ブートレグそのものの質感を公式リリースとして提示した点が大きな特徴です[1]。
『ライヴ・ブートレッグ』のコンセプトと制作意図
『ライヴ・ブートレッグ』は、その名の通り“海賊盤風”の公式ライヴ・アルバムを作るという明確なコンセプトで企画されています。
バンドとマネージメントは、当時ラジオ放送などから作られる違法ブートレグが広まっていた状況を受け、あえてその雰囲気を自分たちで再現しようとしたとされています[3]。
このため、スタジオでの大掛かりなオーバーダビングやミックスの“修正”を最小限に抑え、ツアー各地やラジオ・セッションの音源を混在させた“本当のツアーの断片”として提示しているのが特徴です。
また、スティーヴン・タイラーやジョー・ペリーらが後年の回想で、意図的にブートレグらしいラフさを残そうとしていたことを語っており、そこにバンド自身のセルフ・イメージが表れているといえます[2]。
音楽性とサウンドの特徴
サウンド面では、当時のエアロスミスらしいブルース・ベースのハードロックを軸にしつつ、R&B/ファンク寄りのカバーやジャム要素の強い演奏が含まれていることが大きな特徴です。
「Sweet Emotion」「Walk This Way」「Dream On」といった代表曲が、スタジオ盤より荒々しく、テンション高めのアレンジで演奏され、演奏のギリギリ感が魅力として機能しています[4]。
録音は大きな会場からクラブ、さらにラジオ・スタジオまで複数の場所にまたがっており、曲ごとに音質や残響感、観客ノイズの量が大きく異なります。
その結果として、オーディオ的には統一感に欠ける部分もありますが、逆に“その場その場の空気”が生々しくパッケージされており、ロウで即物的なライヴ・ロックの魅力が前面に出た作品となっています[1]。
制作エピソードと参加ミュージシャン
プロデュースは、70年代のエアロスミスのサウンドを支えたジャック・ダグラス(Jack Douglas)が担当し、彼はエンジニアも兼ねてライヴ音源の編集とミックスを行っています。
当時のバンドはツアーとレコーディングを繰り返し、ドラッグ問題も深刻化していた時期であり、その疲弊した状態にもかかわらず、あえて手直しを抑えた“素の姿”に近い音像を残した点が語り草になっています[5]。
演奏メンバーはクラシックな5人編成で、スティーヴン・タイラー(ヴォーカル、ハーモニカ)、ジョー・ペリー(ギター)、ブラッド・ウィットフォード(ギター)、トム・ハミルトン(ベース)、ジョーイ・クレイマー(ドラムス)が中心です。
そこにキーボードとバッキング・ヴォーカルでマーク・ラディスが参加し、「Mother Popcorn」でサックスを吹くデヴィッド・ウッドフォードがゲストとしてクレジットされています[5]。
エアロスミス
- スティーヴン・タイラー(Steven Tyler) - ボーカル、ハーモニカ
- ジョー・ペリー(Joe Perry) - ギター、ボーカル
- ブラッド・ウィットフォード(Brad Whitford) - ギター
- トム・ハミルトン(Tom Hamilton) - ベース
- ジョーイ・クレイマー(Joey Kramer) - ドラムス、パーカッション
ゲスト・ミュージシャン
- マーク・ラディス(Mark Radice) - キーボード、バッキング・ボーカル
- デヴィッド・ウッドフォード(David Woodford) - サックス(on "Mother Popcorn")

トラック・リスト
SIde 1
- バック・イン・ザ・サドル(Back in the Saddle) - 4:25
- スウィート・エモーション(Sweet Emotion) - 4:42
- 支配者の女(Lord of the Thighs) - 7:18
- 闇夜のヘヴィ・ロック(Toys in the Attic) - 3:45
SIde 2
- ラスト・チャイルド(Last Child) - 3:14
- カム・トゥゲザー(Come Together) - 4:51
- ウォーク・ディス・ウェイ(Walk This Way) - 3:46
- シック・アズ・ア・ドッグ(Sick as a Dog) - 4:42
SIde 3
- ドリーム・オン(Dream On) - 4:31
- チップ・アウェイ・ザ・ストーン(Chip Away the Stone) - 4:12
- サイト・フォー・ソア・アイズ(Sight for Sore Eyes) - 3:17
- ママ・キン(Mama Kin) - 3:43
- S.O.S.(Too Bad)(S.O.S.) - 2:46
SIde 4
- アイ・エイント・ガット・ユー(I Ain't Got You) - 3:56
- マザー・ポップコーン(Mother Popcorn)/ドロー・ザ・ライン(Draw the Line) - 11:35 ※ドロー・ザ・ラインはトラック・リストに未表記
- トレイン・ケプト・ア・ローリン/夜のストレンジャー(Train Kept A-Rollin'/Strangers in the Night) - 4:51
ジャケット・デザインとブートレグ感の演出
アートディレクションとデザインはジョン・コッシュ(John Kosh)が担当し、ジャケットは“安っぽいブートレグ”を徹底的に模したものになっています。
タイプライター風のフォント、わざとズレたスタンプ風ロゴ、紙ジャケットに写ったようなコーヒー・シミなどが盛り込まれ、正規盤でありながら怪しげな裏商品を思わせるビジュアルを形成しています[6]。
さらにコンセプトを徹底するため、LPの曲目リストは意図的に誤表示が仕込まれており、「Mother Popcorn」の後ろに隠しトラックとして「Draw the Line」が収録されているにもかかわらず、クレジット上は記載されていません。
また、一部の曲はカセットに録音した音源をそのまま使用し、軽いヒスノイズをあえて残すことで、ブートレグ的な“音の汚さ”を演出しているとされています[3]。

発表時の反響と特筆すべきポイント
『ライヴ・ブートレッグ』は1978年にリリースされ、ロック・ライヴ・アルバムの中でも比較的“飾り気のない”作品として評価されてきました。
批評家や後年のレビューでは、演奏が荒く、時に不安定であることを指摘しつつも、その正直で加工感の少ないライブ感がエアロスミスの魅力をよく伝えているとされることが多いです[2]。
特筆すべき点としては、当時のライヴ盤の多くがスタジオ修正で“理想化されたコンサート”を目指していたのに対し、このアルバムはあえてミスや不揃いさ、セットリストの雑然さまで含めて提示していることが挙げられます。
その意味で、『ライヴ・ブートレッグ』はエアロスミスの黄金期の姿を、もっとも生々しく記録した作品の一つとみなされ、後世には“正直すぎるライヴ盤”という独自の位置づけで語られ続けているのです[4]。
- https://en.wikipedia.org/wiki/Live!_Bootleg
- https://ultimateclassicrock.com/aerosmith-live-bootleg/
- https://2loud2oldmusic.com/2021/11/11/aerosmith-live-bootleg-1978-album-review-the-aerosmith-collection-series/
- https://ontherecord.co/2024/09/23/aerosmith-live-bootleg/
- https://progrography.com/aerosmith/review-aerosmith-live-bootleg-1978/
- https://www.reddit.com/r/vinyl/comments/1orqy2e/found_today_aerosmith_live_bootleg_1978_official/
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B0
- https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Aerosmith_members
- https://gekirock.com/news/2025/10/aerosmith_album_reissue_4.php
- https://www.facebook.com/groups/478613695592616/posts/8725563454230891/
- https://www.facebook.com/groups/139634569939476/posts/1550093202226932/
- https://www.etsy.com/ie/listing/1088637397/aerosmith-live-bootleg-vinyl-record-lp
- https://www.reddit.com/r/Aerosmith/comments/1ntsj0m/will_there_ever_be_an_aerosmith_live_album/
- https://2loud2oldmusic.com/2021/11/01/aerosmith-draw-the-line-1977-album-review-the-aerosmith-collection-series/
- https://brainly.infogalactic.com/info/Live!_Bootleg
- https://www.reddit.com/r/Aerosmith/comments/1hym6up/which_is_the_superior_live_album_bootleg_or_a/



