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シック『エレガンス・シック』

シック『エレガンス・シック』
シック(Chic)『エレガンス・シック』(C'est Chic)

Chic(シック)の1978年発表のアルバム『C'est Chic』(邦題:エレガンス・シック)は、ディスコ、ファンク、R&Bのジャンルを象徴する名盤として広く評価されています。
本作はバーナード・エドワーズとナイル・ロジャースのプロデュースによるもので、米国ではプラチナディスクを獲得し、R&Bチャートで11週連続首位を記録するなど、商業的にも大きな成功を収めました[1]。

『エレガンス・シック』のコンセプトと音楽性

『C'est Chic』の根底には、「都会的エレガンス」「集団の中の個とその移動」「ダンスフロアでの高揚感」といったテーマが流れています。
アルバム冒頭の「Chic Cheer」やラストの「(Funny) Bone」では、群衆の喧騒や歓声が盛り込まれ、現実世界の断片が音楽の中に溶け込んでいるのが特徴です。
全体を通じて、派手な弦楽アレンジ、リズム・ギター、ベースが生み出す艶やかなサウンドと都会的な洗練さが魅力です[2]。

特に「Le Freak」は、ナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズが、ニューヨークの有名クラブ「Studio 54」のバウンサーに入店を拒否された経験から生まれたという逸話があります。
当初は「Fuck Off」という抗議のフレーズがサビだったものの、のちに放送コードに触れない「Freak Out」に変更されたことで、時代の空気にフィットしたディスコ・アンセムとなりました[4]。

サウンドの特徴

ベースとギターが巧みに絡み合い、弦楽器やパーカッション、時にチューブラーベルやピアノまでが緻密に編成されています。
ディスコらしいダンスグルーヴに加え、時折ジャズやシンフォニック・ポップの要素も垣間見られる点が、本作の奥深さを演出しています。
特に「Savoir Faire」では、ナイル・ロジャースによる美しいジャズギターのソロが印象的で、インストゥルメンタルの透明感が高く評価されています[5]。

ボーカル面では「I Want Your Love」でのアルファ・アンダーソンのリードが絶賛され、コーラスワークやハーモニーも美しく、楽曲ごとに異なる表情を見せています[2]。

参加ミュージシャン

バーナード・エドワーズ(ベース)、ナイル・ロジャース(ギター)、トニー・トンプソン(ドラム)のトリオを軸に、アルファ・アンダーソンやルシ・マーティンなどのリードボーカル、加えて豪華なコーラス陣が独自のサウンドを支えます。さらに当時はバックボーカルとしてルーサー・ヴァンドロスも参加しており、次世代アーティストの育成にも貢献していました[6]。

  • バーナード・エドワーズ(Bernard Edwards) - ベース、ボーカル
  • ナイル・ロジャース(Nile Rodgers) - ギター
  • トニー・トンプソン(Tony Thompson) - ドラムス
  • ルーシー・マーティン(Luci Martin) - ボーカル
  • アルファ・アンダーソン(Alfa Anderson) - ボーカル
  • ルーサー・ヴァンドロス(Luther Vandross) - スペシャル・ゲスト・ボーカル
  • ディーヴァ・グレイ(Diva Gray) - ボーカル
  • デヴィッド・ラズリー(David Lasley) - ボーカル
  • ロビン・クラーク(Robin Clark):バッキング・ボーカル
  • ロバート・サビーノ(Robert Sabino) - クラビネット、ピアノ、エレクトリックピアノ
  • アンディ・シュワルツ(Andy Schwartz) - クラビネット、ピアノ、エレクトリックピアノ(on #6)
  • レイモンド・ジョーンズ(Raymond Jones) - ローズ・ピアノ
  • サミー・フィゲロア(Sammy Figueroa) - パーカッション
  • ホセ・ロッシー(Jose Rossy) - チューブラーベル
  • ジーン・オーロフ(Gene Orloff) - コンサートマスター
  • マリアンヌ・キャロル(Marianne Carroll)、シェリル・ホン(Cheryl Hong)、カレン・ミルン(Karen Milne) - ストリングス(The Chic Strings)
  • ジョン・ファディス(Jon Faddis)、エレン・シーリング(Ellen Seeling) - トランペット
  • アレックス・フォスター(Alex Foster)、ジーン・ファインバーグ(Jean Fineberg) - サクソフォーン
  • バリー・ロジャース(Barry Rogers) - トロンボーン

トラック・リスト

Side 1

  1. 陽気な仲間(Chic Cheer) - 4:43
  2. おしゃれフリーク(Le Freak) - 5:25
  3. 愛のかけひき(Savoir Faire) - 5:03
  4. ハッピー・マン(Happy Man) - 4:20

Side 2

  1. 愛してほしい(I Want Your Love) - 6:50
  2. 僕は自由(At Last I Am Free) - 7:11
  3. 愛の勝利(Sometimes You Win) - 4:28
  4. ファニー・ボーン((Funny) Bone) - 3:42

制作時のエピソード

ロジャースとエドワーズは、それまでの経験やNYクラブシーンでの出来事を楽曲に反映し、制作面ではエンジニアのボブ・クリアマウンテンと共に独自の音作りを追求しました。
曲の冒頭やエンドで観客の声を加える演出、あえて楽曲に「外部の世界」を感じさせる効果を施しています。
また、欧州向けには『Très Chic』というタイトルやアートワークのバリエーションも存在し、アルバムの国際的な多様性を感じさせます[1]。

発表時の反響・評価

1978年のリリース当時、「Le Freak」は米国シングルチャートで1位を記録し、アルバムも年間R&Bチャートで1位を獲得するなど、社会現象になりました。
批評面では、知性や洗練さが評価される一方、「Le Freak」以外はややテンプレ的という意見も一部にありましたが、総じて高い評価を受け、Rolling StoneやPitchforkでは8点台の好スコアを獲得しています[1]。

特筆すべきこと

『C'est Chic』は、ディスコというジャンルに限らず、現代ポップ音楽やダンス・ミュージックに多大な影響を与え続けています。
その後の多くのヒップホップやR&Bの楽曲が本作のグルーヴやサウンドをサンプリングしており、ナイル・ロジャース自身も音楽プロデューサーとしてレジェンド的存在となりました[7]。

また、「At Last I Am Free」のようなバラード曲も含まれており、ディスコの一面的なイメージにとどまらない多様な表現が随所に詰まっています[2]。

総じて『C'est Chic』は、時代を越えて聴かれるエレガントなダンスミュージックの金字塔であり、その完成度と余韻は今日に至るまで色褪せていません[1]。

  1. https://en.wikipedia.org/wiki/C'est_Chic
  2. https://www.subjectivesounds.com/musicblog/chic-cest-chic-album-review
  3. https://spectrumculture.com/2019/07/24/chic-cest-chic-vinyl-reissue-review/
  4. https://djrobblog.com/archives/7695
  5. https://1001albumsgenerator.com/albums/2KSmpFuIe2nOYYVgA7oa9o/cest-chic
  6. https://www.vice.com/en/article/chic-nile-rodgers-best-songs-albums-coachella-2018/
  7. https://www.rollingstone.com/music/music-lists/nile-rodgers-cest-chic-18307/
  8. https://rockandrollglobe.com/disco/savoir-faire-chics-cest-chic-at-45/
  9. https://www.bbc.co.uk/music/reviews/h2vh/
  10. https://andresmusictalk.wordpress.com/2017/09/19/anatomy-of-the-groove-est-ce-que-cest-chic-by-chic/
  11. https://www.reddit.com/r/1001AlbumsGenerator/comments/1kfqa4e/1001_album_of_the_day_252_05may2025_chic_cest/
  12. https://arts.fandom.com/wiki/C'est_Chic
  13. https://www.gq.com/story/nile-rodgers-le-freak-book-excerpt
  14. https://www.musicunplugged.in/reviews/vinyl_reviews_info/219/20
  15. https://www.rhino.com/aod/cest-chic-chic-1
  16. https://www.allmusic.com/album/cest-chic-mw0000615011
  17. https://www.rhino.com/article/happy-anniversary-chic-cest-chic
  18. https://ig.ft.com/life-of-a-song/at-last-i-am-free.html
  19. https://en.wikipedia.org/wiki/Risqu%C3%A9_(album)
  20. https://www.iheart.com/podcast/1248-at-first-listen-155551687/episode/music-legend-nile-rodgers-revisits-cest-164686732/
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