ケイト・ブッシュ『ドリーミング』

Kate Bush(ケイト・ブッシュ)の4枚目のスタジオアルバム『The Dreaming』(ドリーミング)は、1982年9月13日にEMIレコードからリリースされました。
このアルバムは、ブッシュの音楽キャリアにおける重要な転換点となりました。
『ドリーミング』のコンセプトと音楽性
『The Dreaming』は、ブッシュが初めて全曲を自身でプロデュースしたアルバムです[3]。
約2年の制作期間を経て完成し、彼女の創造性と実験精神が存分に発揮されています[5]。
アルバムの特徴は、多様な音楽スタイルを融合させた密度の高いサウンドスケープにあります[1][2]。
ブッシュは、デジタルサンプリングシンセサイザーであるフェアライトCMIを駆使し、従来のポップミュージックの枠を超えた革新的なサウンドを創り出しました[5]。
楽曲のテーマも多岐にわたり、アボリジニの土地問題(タイトル曲「The Dreaming」)、ベトナム戦争(「Pull Out the Pin」)、脱出術師ハリー・フーディーニ(「Houdini」)など、様々な物語や社会問題が取り上げられています[3][7]。
制作エピソード
アルバムの制作は、1980年9月に「Sat in Your Lap」のデモ録音から始まりました[5]。
ブッシュは、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)のコンサートに触発されてこの曲を書いたと言われています[2]。
制作過程では、Abbey Road StudiosやTownhouse Studiosなど複数のスタジオを使用し、様々なエンジニアと共同作業を行いました[5]。
ブッシュは、フェアライトCMIの可能性を最大限に引き出すため、長時間スタジオに籠もって実験を重ねました[7]。
参加ミュージシャン
アルバムには多くのゲストミュージシャンが参加しています。主な参加者は以下の通りです[5]:
- ケイト・ブッシュ(Kate Bush):ボーカル、ピアノ、フェアライトCMIシンセサイザー(1、2、5~10)、ヤマハCS-80(2)、ストリングス(4)
- パディ・ブッシュ(Paddy Bush[Kate Bushの兄]):スティック(1)、マンドリンおよび弦楽器(4)、ブルローラー(6)
- ジェフ・ダウンズ(Geoff Downes):フェアライトCMIトランペットセクション (1)
- ジミー・ベイン(Jimmy Bain):ベースギター (1, 5, 10)
- デル・パーマー(Del Palmer):ベースギター(2、4、8)、フレットレス、8弦ベース(7)
- プレストン・ヘイマン(Preston Heyman):ドラム(1、3、5、10)、スティック(1)
- スチュアート・エリオット(Stuart Elliott):ドラム (2, 4, 6–9)、スティック (4)、パーカッション (8)
- デイブ・ローソン(Dave Lawson):シンクラヴィア(2, 4)
- ブライアン・バス(Brian Bath):エレキギター (3)
- ダニー・トンプソン(Danny Thompson):ストリングベース (3)
- イアン・ベアンソン(Ian Bairnson):アコースティックギター (5)
- アラン・マーフィー(Alan Murphy):エレキギター (5, 10)
- ロルフ・ハリス(Rolf Harris):ディジュリドゥ (6)
- リアム・オフリン(Liam O'Flynn):ペニーホイッスルとユリアンパイプ(7)
- ショーン・キーン(Seán Keane):フィドル(7)
- ドナル・ルニー(Dónal Lunny):ブズーキ(7)
- エバーハルト・ウェーバー(Eberhard Weber):ウッドベース (9)
また、デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)がバックコーラスで参加しています[5]。
トラック・リスト
Side 1
- サット・イン・ユア・ラップ(Sat in Your Lap) - 3:29
- 10ポンド紙幣が1枚(There Goes a Tenner) - 3:24
- ピンを引き抜け(Pull Out the Pin) - 5:26
- ガッファにて(Suspended in Gaffa) - 3:54
- リーヴ・イット・オープン(Leave It Open) - 3:20
Side 2
- ドリーミング(The Dreaming) - 4:41
- 夜舞うつばめ(Night of the Swallow) - 5:22
- オール・ザ・ラヴ(All the Love) - 4:29
- フーディニ(Houdini) - 3:48
- 狂気の家(Get Out of My House) - 5:25
発表時の反響
『ドリーミング』は発売当初、批評家から賛否両論の評価を受けました[3]。
密度の高いサウンドと実験的なアプローチに戸惑う声もありましたが、一方で革新的な作品として高く評価する意見もありました[7]。
商業的には、イギリスのアルバムチャートで3位を記録し、成功を収めました[8]。
しかし、アメリカでは157位にとどまり、国際的な評価を得るまでには時間がかかりました[3]。

特筆すべき点
『ドリーミング』は、後にBjörkやBig Boiなど多くのアーティストに影響を与えた作品として知られています[4]。
その革新的なサウンドと実験精神は、1980年代のアートロックの先駆けとなりました[6]。
また、このアルバムは、ブッシュが自身のビジョンを完全に実現した最初の作品として、彼女のキャリアの中で重要な位置を占めています[1]。
『ドリーミング』での経験は、後の傑作『Hounds of Love』(1985)の制作にも大きな影響を与えました[4]。
結論として、『ドリーミング』は、ケイト・ブッシュの芸術性と音楽的野心が最も顕著に表れた作品の一つであり、彼女の音楽キャリアにおける重要な転換点となったアルバムだと言えるでしょう[3][7]。


Citations:
[1] https://faroutmagazine.co.uk/looking-back-at-kate-bush-seminal-album-the-dreaming/
[2] https://www.musicmusingsandsuch.com/musicmusingsandsuch/2022/2/23/feature-an-instinctive-and-experimental-producer-inside-kate-bushs-the-dreaming
[3] https://www.katebushencyclopedia.com/newsite/dreaming-the-album/
[4] https://www.musicmusingsandsuch.com/musicmusingsandsuch/2021/3/19/feature-kate-bushs-the-dreaming-the-enigmatic-the-underrated-the-influential
[5] https://en.wikipedia.org/wiki/The_Dreaming_(album)
[6] https://www.katebushnews.com/2022/09/13/the-dreaming-was-released-40-years-ago-today/
[7] https://thequietus.com/opinion-and-essays/anniversary/kate-bush-the-dreaming/
[8] https://www.rhino.com/article/september-1982-kate-bush-releases-the-dreaming
[9] https://www.fondsound.com/album-of-the-month-january-2015-kate-bush-the-dreaming-1982/
[10] https://www.progarchives.com/album.asp?id=9809
[11] https://www.reddit.com/r/katebush/comments/vztae4/i_want_to_discuss_the_dreaming_and_what_you_all/
[12] https://www.npr.org/2021/08/26/1031046350/how-kate-bushs-the-dreaming-made-my-monsters-my-own
[13] https://www.katebushencyclopedia.com/dreaming-the-album/
[14] https://musicboard.app/album/the-dreaming/kate-bush/


